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戦いの終わり・絆の魔法
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「あははは!!見た!?あのティーサ女王の顔!!」
エミルが魔獣の上で、腹を抱えて笑っていた。
「自分が殺されると思ったんだろうね。戦力全部集めちゃってさ。私たちに協力してくれてるようなもんじゃん!」
笑い続けているエミルに、タツが笑顔を向ける。
「余裕のようだね、お姫様」
「……その言い方やめろ……」
タツの言葉に、ヨネルが魔法銃を撃ちながら言った。
「怒らないでくれよ。奪うつもりなんかないからさ。お、目的地が見えたよ」
タツの言葉に、エミルが真顔になった。
そこは、魔力の泉。魔力が吹き出している。
魔獣はそこに着地すると、三人は魔力の泉の前に降り立った。
「……すぐにグリーン王国の奴らが集まってくるだろ。周りは俺に任せろ。エミルに傷一つでもつけたら、許さないからな」
ヨネルが、タツに言った。
タツが大剣を構える。
「あぁ、安心してくれ」
タツが言った。
「俺とエミルは、毎日ぶつかり合ってきた。この大剣で、何度もエミルと直接ぶつかってきた。直接ぶつかってこない奴らに、この剣は崩せやしないさ」
タツが笑って、エミルを守るように大剣を持った。
エミルは、深呼吸して、ヨネルを見た。頷き合う二人。そして、タツとも頷き合う。
「絆魔法発動!ここから、この魔力を全てテルの元へ!!」
エミルが叫んで、地面にバンと両手をついた。
その瞬間、その場に青い魔方陣ができ、魔力の泉からどんどん魔力が吸い込まれていった。
この三人の目的は、グリーン王国から魔力の泉を奪うことだったのだ。
※※※
「姉さんから、絆魔法が発動された!こちらも準備してくれ!絆魔法発動!姉さんからの魔力を、この造り上げてきた魔力の保管庫へ!!」
テルが大声で叫ぶと、大きな青い魔方陣ができ、エミルから送られてくる魔力を受け取り、歴史的建造物という名で長い時間をかけて造り上げてきた、魔力を保管する場所に魔力を送り込む。
「この魔法は、俺と姉さんにしかできない絆の魔法。解読もまだできていない。分かっているのは、血が繋がったものでないと使えない魔法だということ。姉さん、俺はずっと辛かった。後方で動くのは。でも、それは全てこの時のため。姉さんの全てを、俺は受け止めるよ」
テルは笑って言いながら、どんどん流れてくる魔力を受け止めた。
※※※
グリーン王国の騎士団が、魔力の泉付近に集まってきて、三人を囲む。
だが、三人とも動じていなかった。
ヨネルが、武器を変えた。近距離用の、剣を持つ。
そして、一気にグリーン王国の騎士団に切り込んだ。
戦闘に慣れていないグリーン王国の騎士団は、一気に乱れた。
タツは、飛んでくる魔法の玉を大剣で受け止めている。
エミルは、魔力の泉から、魔力をテルに送り続けていた。
「テルの調査では、魔力の泉は無限ではあるけれど、底から少しずつ少しずつ魔力が吹き出して今の状態になっている。だから、底が見えるまで一気に魔力を使えば、グリーン王国はしばらく魔力供給ができなくなるはず!」
エミルが、絆の魔法を使いながら、ヨネルとタツに叫んだ。
グリーン王国の騎士団が魔力を使うことも、魔力を奪うエミル達にとって好都合だ。
ヨネルが、グリーン王国騎士団の中で暴れている。今までの鬱憤をはらすかのように。
「俺に覚悟の魔法がかけられているせいで、俺は今までたいしたことは何もできなかった。やっとこの手で、エミルを守れるんだ」
オッドアイをあらわにしたヨネルは、少し笑うと、剣を振るう。
「このくらいの威力、エミルがぶつかってきた時の威力に比べたらなんともないね」
タツは、余裕の表情で魔法の玉を受け止めている。
「見えた!魔力の泉の底が!!」
エミルが叫んだ。
「これで最後だ!!」
エミルが、一気に魔力を吸い上げて、テルに送る。
そして、タツはまた飛行用の魔獣を召喚させ、三人はグリーン王国の騎士団を牽制しながら、魔獣に飛び乗った。
「じゃあねー!」
エミルが、グリーン王国騎士団に向けて手を振った。
魔獣が一気に飛び上がる。
そのまま、エミル達はグリーン王国の国境を抜けて、戦闘区域へと戻っていった。
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