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戦いの終わり・絆の魔法
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しおりを挟む俺とラオンは、グリーン王国の騎士団に突っ込んでいき、二人で次々と騎士団を倒していった。
俺は、ラオンの戦う動きを良く知っている、ラオンも、俺の戦う動きを誰よりも知っている。だから、どんな動きをしても合わせられた。
グリーン王国の鎧は固くて、殺すことはないだろうと安心できたけれど、気絶させるだけでも大変だ。見たこともない武器を持っていて、最初はどうしようかと思ったけれど、どうやらあれは短距離では自分達も巻き込まれてしまうようだ。つまり、距離を詰めて戦えば、こっちが有利だ!
俺は、シューター部隊も前に出るように指示した。そして、シューター部隊をブランに任せて、ラオンとグリーン王国の騎士団の中に突っ込んでいく。
今、アマナも戦っている。ラオンの妹のリーシャさんも。
だから、俺が、俺たちがここで引くわけにはいかないんだ。
ふと、エミルさん達が飛び立っていった空を見上げた。
エミルさん達なら、必ず絆の魔法でやり遂げてくれる。
だから、ここで、俺たちは最後まで戦うんだ。
俺とラオンは顔を見合わせると、頷き合って、グリーン王国の騎士団を相手取る。
後ろからは、ブラン達が射撃を繰り返してくれている。
俺たちにとっては、いつも通りの戦いだ。いつもぶつかってきた、俺たちの戦いだ。
グリーン王国の騎士団は、防具と武器は俺たちより良いものを使っているようだけれど、俺たちのぶつかり合ってきた経験に勝るものはない。
向こうが、大分、乱れているのが分かった。
「このまま押すぞ!」
俺は大きな声で、指示を出した。
※※※
エミル、ヨネル、タツは、タツの召喚した魔獣に乗って、グリーン王国の国境に入っていた。
遠距離用の強い魔法の玉が飛んでくる。
それを、ヨネルが大きな魔法銃を放ち、相殺させる。
タツは魔獣を操っていた。
エミルは両手を広げて風を浴びている。
そのまま三人は、ある場所に向かった。
※※※
「ティーサ女王!魔獣に乗って、三人が飛び込んできています!!」
「ティーサ女王のお命を狙っているはずです!!」
グリーン王国の従者が、ティーサ女王に叫んだ。
ティーサ女王は、誰にも見えないように顔を歪めて怒りをあらわにしていた。
だが、従者達に向き直ったときには、いつもの優しい余裕の笑みを浮かべていた。
「私が死んでしまったら、民が路頭に迷ってしまいます。この国の全ての戦力を、この城に集めなさい。私を守るのです」
「は!!」
こうして、グリーン王国の城に、残っている全ての戦力が集められた。
エミル達の乗った魔獣が、城に接近してきた。
一瞬、ティーサ女王は恐怖に震えた。
しかし、魔獣は速度を緩めず、ティーサ女王の部屋のガラスを割ると、何処かへ飛んでいった。その時、エミルが笑っていたのを、ティーサ女王は見逃さなかった。
「ま……まさか、あいつらの狙いは……!!」
ティーサ女王が叫んだときには、三人の乗った魔獣は消えていた。
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