真の敵は愛にあり

Emi 松原

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終わらせる準備

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※※※


 国王の間で、国王カナトは窓の外を見つめていた。
 その後ろには、エリノア姫と、膝をついて頭を下げているエミルがいる。
「以上が全ての報告です。歴史発掘だとしか報告をせず、内容を偽り隠していたことはお詫びします。ですが、これでこの戦争は終わらせられるはずです」
 エミルが言った。
 国王カナトは答えずに、窓の外を見つめたままだ。
「お父様!!いい加減になさってください!!」
 エリノア姫が叫んだ。
 エミルが驚いて、一瞬顔を上げた。国王カナトも、びくりと体が震えた。
「この後に及んでも、まだこの計画に協力しない、戦争は止まらないとおっしゃるおつもりですか!?それは、ただのお父様の傲慢な意地です!!エミルさんは命を削って、ここまでして下さったのですよ!?それがどういうことか、分かっているのですか!?私たち王族のせいで、どれだけエミルさんを苦しめたと思っているのですか!!今ここで、私たちはエミルさんに刃を向けられてもおかしくないことをおわかりですか!?何よりも、何よりも……お父様達の勝手なる戦争によって、私とエミルさんの友人という仲は引き裂かれたのです!!お父様が動かないというのであれば、私が全ての責任を持ってエミルさん達に協力し、戦争を終えます。勿論、アルト叔父様が動かなければ、ユウトが動いてくれるでしょう!!」
 エリノア姫が大きな声で言った。
 エミルの肩が震えている。エミルは、無言で唇を噛み、涙を流していた。
 国王カナトが、ゆっくりとエリノア姫と、エミルの方を向いた。
 エリノア姫は驚いた。
 国王カナトの目からも、涙が流れていたのだ。
「私が、何をしたか。それは私が一番良く分かっている。姉様の手のひらで踊らされ、それを打開する方法すら考えられず、全てを特別騎士団と騎士団に押しつけた。アルトに引けをとってはいけないと、感情のままに動き、人々を追放し、幽閉し、ヨネル達に酷い魔法をかけた。そんな私が、今更……」
「お父様……。お父様は責任をとらなくてはなりません。その責任の取り方は、もう分かっているはずです。己の行いから逃げてはなりません。時は戻らないのです。これからこの国をどうしていくのか、王族が何をするべきか、答えは目の前にあるのです」
 エリノア姫が静かに言った。

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