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違和感の理由
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ブルー王国の王族が住む城の上、国王の間で、エリノア姫が父親である国王カナトと対面していた。
「お父様、ここまできても、まだ受け入れられませんか。エミルさん達が、命がけでこれほど情報を集めてくれているのですよ。本当は、お父様が一番分かっているはずです。この戦争は、グリーン王国によって、仕組まれたものであると」
エリノア姫が、厳しい声で言った。
「…………」
国王カナトは、無言でエリノアを見ていた。
「この戦争のせいで、どれだけの人間が苦しんだか、おわかりですか?命を失ったか、おわかりですか?それも、理由は姉弟喧嘩に巻き込まれただけです」
「……姉様が、俺たちに戦争をするように仕向けたのではないかと、後々になって、ようやく気がついた。それは、アルトも同じだろう。だが、姉様から頻繁に、俺たち弟を想う手紙がくるんだ。その中で、どうやって姉様の言うことを聞かないことができる。魔力供給を絶たれたら、この国の魔力だけで国は回せない。戦争は、止まらないよ」
厳しいエリノア姫の目から逃れるように、国王カナトは目線をそらしながら言った。
「エミルさん達が、戦争を終結させるために動いているのは気がついているはずです。必ず、あの人なら見つけ出してくれます。その時、王族は全力で手助けしなくてはいけないのです」
「…………」
「お父様が動かないのであれば、私が全て動きます。この国の為に。何よりも、私の大切な友人、エミルさんの為に」
エリノア姫は、国王カナトに向かってお辞儀をすると、部屋を出て行った。
国王カナトは、机の中の引き出しから、一枚の写真を取り出した。
そこに映るのは、幼いときのアルトとカナト。そしてティーサだ。
いつも一緒で、仲良しの、双子の兄弟と優しい姉。
「姉様……あの時俺に言った言葉は、嘘だったのか……?俺とアルトを戦わせるためにわざと……作り話をしたのか……?アルト……本当のことを教えてくれ。だが、姉様の監視がある元で、会うことすら阻まれている。エミル達、特別騎士団を使えば良いのは分かっている。だが、俺は彼女たちに何をした?どれだけむごいことをしている?それなのに、頼めるわけがないだろう。俺は、彼女から恨まれて殺されてもおかしくない立場だ。アルト、きっとお前も今同じことを考えているだろう?だって、俺たちは双子なのだから」
写真に向かって、悲しそうに国王カナトはつぶやいていた。
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