真の敵は愛にあり

Emi 松原

文字の大きさ
上 下
50 / 83
もう一つの覚悟の魔法を使う

1-1

しおりを挟む


 次の日、俺たちはエミルさんとヨネルさんと一緒に、騎士団へと戻った。
 明日から俺たちは、戦場に戻る。
「コル、最後にお前に言っておく。もし、もう一つの覚悟の魔法を使っても、お前が夢を追うことができると思ったら、アマナと……お前のチームに、存分に甘えて、皆を頼れ。分かったな」
 エミルさんが、真剣な顔で言った。
 俺は意味が分からなかったけれど、頷くしかなかった。
 俺が頷いたのを確認すると、エミルさんとヨネルさんは特別騎士団専用寮に戻っていった。
「さぁ、私たちも、明日からの戦闘に備えましょう」
 アマナが明るく言った。
 俺たちはそれぞれ自分の部屋に戻った。アマナの所に行ってみたけれど、また分厚い本を広げようとしていたから、邪魔したらいけないと思って自分の部屋に戻った。
 ベッドに横になった瞬間、また一気に瞼が重くなった。俺は、そのまま眠りに落ちていた。


 次の日、俺たちは戦場に戻っていた。
「コルの部隊は、後ろで待機だ!あいつが出てきたらすぐに応戦できるようにしておけ!」
 第一騎士団団長の指示が飛ぶ。
 あいつとは、ラオンのことだ。ラオンの相手をするのは、俺たちの仕事のようになっていた。俺たちは後方でラオンが来るのを待った。
「来たぞ!《赤い竜巻》と、《赤い旋風》だ!」
 前線で戦っている人が叫んだ。《赤い旋風》とは、ラオンについた異名だ。
「特別騎士団と第一騎士団第二部隊が相手をする。他は下がってな」
 エミルさんの指示が飛ぶ。
 俺たちは、一気に前線へと飛び出した。
 ラオンが俺を狙って距離を詰める。
 距離を詰められる前に、俺はスピアを振った。
 いつものように、一騎打ちになった。
「なぁ、コル。お前、大将戦の魔法を教えてもらったか?俺は教えてもらったぜ。だけれどあの魔法、お前も同じ魔法でぶつかってこないと、お前のこと葬れないそうだ」
 ラオンが、挑発的に言った。
 俺は、ゆっくりと頷いた。
「へー。俺を殺す覚悟ができたんだな」
 ラオンが攻撃を繰り返しながら言った。
 俺は、スピアを振りながら、叫んだ。
 ピアスの通信は、チームだけに繋いでいる。周りにも特別騎士団だけだ。エミルさんの想いを知ったんだから、もう聞かれても構わない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界複利! 【1000万PV突破感謝致します】 ~日利1%で始める追放生活~

蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。 中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。 役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

異形狩り

アルゴ
ファンタジー
舞台は荒廃した未来の世界。突如として出現した異形の怪物と、それに抗う人々のファンタジー作品となっております!詳しくはプロローグから!どうかほんの少しの間だけお付き合い下さい!よろしくお願い致します!!2話以降は1000字程ずつ公開していきます!

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

卑怯と言われても最強です。〜ヒロインは全てヤンデレだけど不意打ちスキルで異世界無双

真木悔人
ファンタジー
「俺は自分の物差しで物事を測る」 自分の目で見た物でしか物事を判断しない、少し傲慢で卑怯な主人公、黒須涼介。 彼は、神の気まぐれで異世界に転生し、『クロス』として第二の人生をスタートさせる。 彼が目を覚ましたのは、凶暴な魔物が跋扈する森。しかし、そんな彼が手にしているのは、神から授けられたユニークスキルが只一つ。【不意討ち】と言う、不名誉なスキルだけだった。 如何にも役に立たなそうなこの能力に、憤るクロス。だが、ハズレだと思われたこの能力、実はとんでもない可能性を秘めたスキルだった……。 様々な事情を抱える、少女達との出会い。しかも何故か、全員、タイプの違うヤンデレ。 人間、亜人、魔族の国が、其々の思惑で交錯する。 そして、彼は知る事になる。この世界に隠された、とんでもない秘密を──。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

処理中です...