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突然の訪問者・アマナの努力
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しおりを挟む戦闘区域から出ると、笑顔のアマナが出迎えてくれた。
「おかえりなさい!コル!それにブラン、モカちゃん!」
俺は気持ちの整理ができなくて、両膝を地面につくと、アマナに抱きついた。
「あら、本当にコルは甘えんぼさんね」
アマナは笑ったけれど、ブランとモカが心配してくれているのが伝わってきた。
ラオンと俺の会話は、この三人には聞こえているから……。
「ラオンという存在が計算外だったからな……」
ブランが、俺の葛藤を分かっているというように、背中に手を置いてくれた。
「私にも何かできたら良いのですがっ……。そうだっ、数日間、私たち戦闘がお休みですよねっ!?私っ、一度家に帰ってきますっ!もしかしたらですが、貴族にしか入らない情報が入っているかもしれませんからっ!!」
モカが、俺を励ますように言った。
俺は黙って頷いた。
「モカちゃん、それなら、少し貴族の中で調べて欲しいことがあるんだけれど、良いかしら?今日中にメモ帳にまとめるから」
アマナがモカに向かって、真剣な声で言った。
「もちろんですっ!私にできることなら、なんでもっ!」
モカが、アマナに向かって力強く頷いた。
俺……駄目だな。皆に支えて貰って……。俺の夢の為に、みんなチームになってくれたのに……。
そんな俺の気持ちを察したのだろうか、ブランが、かがんで俺と視線を合わせた。
「コル、君が前線で戦ってくれているおかげで、その側で俺が戦えるおかげで、俺は、兄がどんな景色を見たのか、ほんの少しだけれど分かってきた気がするんだ。今日、ラオンがコルの後ろに回ったとき、俺は、射撃だけでなく、走ってあの場に向かいたかった。君を失うのが怖かったんだ。その時思ったんだ。兄も、似たような気持ちだったのではないかと」
俺は、ブランを見た。
「君と居ると計算外のことばかりだ。だけれど、今はそれが嬉しい。だから、コルも感じたことを俺たちに話して欲しい」
ブランの言葉に、俺は涙が出そうになった。
モカも、ぶんぶんと首を縦に振りながら涙目で頷いている。
「俺……殺したくないよ……。おかしいよな。魔獣はあんなに倒しているのに、ラオンを殺すのが嫌なんだ……」
それだけ、絞り出すように声が出た。
アマナが、優しく頭を撫でてくれている。
もう騎士団の人たちはみんな戻っていて、戦闘区域の前にいるのは俺たちだけだったから、誰かに聞かれる心配もないだろう。そう思ったのに。
「いやー、悩んでるね。若いって良いねぇ」
男の人の声が突然聞こえて、俺は顔を上げた。
みんなも気がついてなかったようで、驚いて声の方に顔を向ける。
気配もなく立っていた男の人は、優しく微笑んでいた。青い髪の毛をさらさらとなびかせ、手には何か持っている。
誰だろう……。騎士団の制服を着ていない。
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