真の敵は愛にあり

Emi 松原

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配属・戦場へ

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俺たちは次の日から、時間の空いている第一騎士団の人たちに、次々と決闘を申し込まれていた。
 俺は、何かが吹っ切れていて、騎士団の中でも一番強い人たちの胸を借りて訓練できると思って、積極的に決闘を受けていた。
 戦法はいつもアマナがすぐに組み立てていてくれていたし、ブランも、俺と前に出て戦うタイミングが、回数を重ねるごとに声を出さなくても動きだけで合うようになったし、モカの魔力供給が絶えず行われていた為、強い人たちとの決闘は、目に見えて俺たちチームの連携を上達させていた。
 もちろん、魔獣を倒す訓練も行った。戦場では、レッド王国は魔獣で攻撃してくるのだから、魔獣の特徴も覚えないといけない。実際には、もっと大きくて力の強い魔獣と戦わなければいけない。俺たちは、教官にレベルを調整してもらいながら、合同訓練を重ねた。
 一日一日があっという間に過ぎて、ついに明日、俺たち新人の配属が発表される。そうすれば、俺たちは戦場に出ることになる。
 正直、不安はあまりなかった。それだけ、ブランとモカ、そしてアマナといることが安心できたのだ。だけれど、ブランとモカは少しソワソワしている様子だ。アマナは、いつものように笑っている。
「ブラン、モカ、不安なのか?」
 俺たちは、俺の部屋で集まって話をしていた。
「不安ではないが、何か、計算外のことが起きるような気がしてならない。ここに来てから、計算外のことばかりだ」
 ブランが難しい顔で言った。
「計算外のことって?」
 俺は首をかしげると、ブランを見た。
「新人は、第三騎士団以下に配属されるのが妥当なはずだ。だけれど、俺たちは第一騎士団の人間と決闘している。それは配属を決める特別騎士団の方々の耳に入っているはずだ。もし俺たち新人が第三騎士団以上に配属されるなんてことがあったら、計算外だということだ」
 ブランが説明してくれた。その説明に、モカが激しく頷く。
「その通りですっ!コルとアマナちゃんは勧誘者ですっ!第三騎士団以上に配属される可能性は十分にありますっ!そうすれば、ますます注目の的になってしまうのです……」
 それを聞いて、アマナがクスクスと笑った。
「あら、別に良いじゃない。だって、コルは特別騎士団を目指しているのよ?上の部隊に入れるなら何も問題ないわ。それに、私ずっと三人を見ていたけれど、あなた達は本当に良いチームだと思うわ。だから、どこに配属になっても胸を張っていて」
「アマナ、実は俺、よく分かってないんだけれど……。部隊が上になるほど偉いことは分かっているんだけれど、もっと具体的には、何が違うんだい?」
 俺はアマナに向き直った。
「部隊が上になるごとに、最前線に立つことになるのよ。つまり、戦闘で最も危険に晒されるわ。だけれどその分、特別騎士団の人たちと近い位置で戦うことができるわ」
「そっか……」
 沈黙が続いた。
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