真の敵は愛にあり

Emi 松原

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合同訓練の始まり

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「今日は初めての合同訓練だ。まず初めは、自分のチームの実力を知ることが大事だ。そして連携をとることが最優先課題。だから、まずは一番弱くて、動きも遅い魔獣から始めることを進める。三人で……いや、君たちは四人かな。しっかりと相談して、自分たちの訓練メニューを決めてくれ。決まったら、俺たち教官に声をかけてくれ。じゃあ、今日はこの区画を使ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
 俺たちは、教官に頭を下げた。そして四人で顔を見合わせる。
「えっと、アマナ、ブラン、どんな訓練をしたら良いかな?」
 リーダーは俺だけれど、こういうことを決めるのは二人の方が得意のはずだ。
「そうねぇ、まず、一人一人の実力……というより、まずはアタッカーのコルの動きを、そしてブランの魔法銃の得意分野、モカちゃんの魔力供給と治癒魔法の早さと正確性を知ることが必要よね」
「そうだな。じゃあ、魔獣を召喚してもらって、まずはコル、次に俺が一人で戦うか?その後に、モカに魔力供給と治癒魔法をかけてもらう、という計算だ」
 二人の言葉に、俺は頷いた。
「モカはどう?」
「はいっ!お二人の意見に賛成ですっ!私は、ブランとコルの動きをしっかりと見ないといけないのでっ!!」
「じゃあ、まずはコルからね。私たちは下がって見ているわ」
 アマナの言葉に頷くと、俺は教官に声をかけた。
「じゃあ、魔獣を召喚するぞ」
 教官の声と共に、青い魔方陣が目の前に現れ、自分と同じ大きさ程の魔獣が召喚される。召喚されたのは、地上型三体の魔獣。
「コル!手加減せずに、あなたの力を出すことをメインにしてね!」
 アマナの声に、俺は頷くと、両足に力を入れる。
「武器精製、召喚魔法、来い!」
 走りながら、いつもの武器を手に持つと、一直線に魔獣に向かう。
 長いスピアを回して、魔獣に叩きつける。一体の魔獣が消えた。後ろから迫ってきている魔獣に、スピアの柄でついて吹き飛ばすと、その間にもう一体の魔獣を仕留める。そして最後に吹き飛ばした魔獣を仕留めて、終了。
「わぁっ!コルっ、凄いですっ!!」
 モカの歓声が聞こえた。
 みんなの所に戻ると、アマナが満足そうに頷いてくれた。
「さすがだな。次は俺だ」
 ブランが俺に頷くと、場所を交代する。
 ブランの為に教官が召喚したのは、飛行型の魔獣五体。
「武器精製、召喚魔法、来い!」
 ブランは、両手に大きめの魔法銃を持った。二刀流だ。そして、飛んで動いている魔獣を正確に仕留めていく。訓練所でも見たけれど、早いし的確だ。
 全ての魔獣を仕留めたブランが、俺たちの元に来る。
「ではっ!私の番ですねっ!いきますっ!魔力供給、治癒魔法、開始しますっ!!」
 俺とブランの頭上に、青い魔方陣ができる。は、早い……!!一気に体に魔力が供給されていき、気がつかないうちにできた擦り傷も治っている。これには正直驚いた。
 アマナが、満足そうにメモをとっていた。
「じゃあ、三人揃っての訓練をしてみましょうか。ブランがとっさに判断して、モカちゃんが指示を出せるのが理想ね。アタッカーのコルは、その声を聞きながら、最前線に立つから、自己判断もしっかりとしてね」
 アマナの言葉に、俺たちは頷くと、三人での訓練を開始した。アマナはずっと真剣にメモをとっている。
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