真の敵は愛にあり

Emi 松原

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入団・面談・混乱

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 入団式の日がやってきた。
 荷物は、もう寮に送られている。
 騎士団の人たちに従って、新しく入る入団者は、それぞれの部隊ごとに並んでいく。
 俺とアマナは、勧誘者として、別の場所に並ばされた。
 もう、それだけで、周りの視線が痛いというか……。
 それに、アマナの車椅子姿を見て、誰もが驚いているのが分かった。
 だけれど、アマナは全く気にしていない様子で、俺に向かってニコニコしている。
 そして、入団式が始まった。
 まず第一騎士団団長の言葉だ。いかつくて、怖そうな男の人が前に立った。
「新たな入団者諸君、まずは、入団おめでとう。これから、君たちには命がけの戦いが待っている。だが、命を無駄にすることは許さない。必ずレッド王国に勝利するために、生きて、戦い続けろ。この式が終わって、一週間、君たちにはここに慣れて貰うことと、チームを組んで貰う為に、騎士団の敷地内の中で休みが与えられる。この休みの間に、アタッカー、シューター、ヒーラーは、三人一組でチームを組むように。自分の命を預けて戦う三人だ。心して決めるように」
 第一騎士団長が、チラリと横を向くと、頭を下げて、舞台から降りた。
 続けて、エミルさんが舞台に上がった。
「お前達は、何の為にここにきた?何の為に戦う?それが分からないやつは、今すぐにここを去れ。チーム結成後、特別騎士団でどの順位の騎士団に入れるか決める。あぁ、コル、アマナ、お前達はこの後すぐ、私たちと面談だ。以上」
 突然、全員の前で名前を呼ばれて、俺は固まった。アマナは堂々としている。アマナ、凄いよ……。
 そして、入団式が終わり、解散となった。

「じゃあ、お二人さん、お兄さん達と、お話しようか」
 突然俺たちに話しかけてきた男の人。
 その人を見て、俺とアマナはすぐに頭を下げた。
 うす紫色の髪の毛を真ん中で分け。耳の後ろまで綺麗なストレートの男の人。特別騎士団最年長の、ハヤテさんの姿がそこにはあった。
「そんなにかしこまらなくても良いよ。お兄さん、そういうの好きじゃないからね。さぁ、行こうか。みんな待ってるよ」
 ハヤテさんに促されて、俺とアマナは、ハヤテさんの後ろに続いた。
 他の騎士団メンバーの視線が刺さって、痛かった。

 俺たちが連れて行かれたのは、特別騎士団専用の寮だという場所だった。
 凄い……五人しかいない特別騎士団の為に、一つのお城のような寮だ……。
 当たり前だけれど、俺たちの寮とは雲底の差だ。
 俺とアマナは、一つの部屋に連れて行かれた。
「お兄さんが、二人を連れてきたよー」
 ハヤテさんがそう言うと、扉を開ける。
 目の前には、エミルさんを中心として、俺から見て右側にシルクさん、左側にヨネルさん、そしてヨネルさんの隣には、ラベンダー色の髪の毛を肩まで無造作にたらし、顔に大きな傷跡がある女の人……フユさんが座っていた。
 ハヤテさんが、俺を正面の椅子に座らせて、アマナの車椅子をその隣に連れて行くと、シルクさんの隣に座った。
「まずは、二人とも、入団おめでとう。特別騎士団の、シルクだ」
 シルクさんが、話し始めた。
「俺の隣に座っているのが、知っての通り、特別騎士団団長のエミル。その隣の男は、ヨネル、更にその隣は、フユだ。そして、俺の隣が、ハヤテ兄さん。今から、面談をするよ。堅苦しいものじゃないから、リラックスして話をしてくれ」
 シルクさんの優しい笑顔に、緊張が少しほぐれる。
 ハヤテさんも優しい笑顔をしている。ヨネルさんとフユさんは無表情。エミルさんは……楽しげに、こっちを見て笑っていた。
「じゃあ、まずは勧誘者の待遇から話そうか。勧誘者は、自分の希望する部隊に入れる。そして、寮でも、個室が与えられる。もし、俺たちに何か進言したいことがあれば、直接繋ぐこともできる。このくらいかな」
 シルクさんが、話し合いの場を仕切っている。団長のエミルさんは、楽しげにこちらを見ているだけだ。
「早速だけれど、二人の希望の部隊を教えてもらえるかい?アマナは、後方支援として勧誘したけれど、ヒーラーとしても活動しようと思ったらできると思うんだ」
 シルクさんが、俺たちを見ながら聞いた。
 先に答えたのは、アマナだった。
「私は、後方部隊を希望します。私、まさか騎士団に入れるなんて思いませんでした。だから、私の力を一番活かせる場所に、そして、コルを支えることができる部隊に入りたいんです」
 はっきりとアマナが言い切った。凄い……。
 エミルさんが、満足そうに頷いた。
「コルはどうだい?」
 シルクさんに問われて、俺はしどろもどろになりながら答えた。
「あの……お……私は、アタッカー部隊に入りたいです」
「うん、君のアタッカーとしての実力は、俺もこの前間近で見させて貰った。文句はない。だけれど、君の志望書に書いてある夢は、戦争をなくすことだよね?アタッカー部隊は、最前線で戦う部隊だよ?」
 シルクさんの言葉に、俺は頷いた。
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