上 下
6 / 17
はじめまして異世界!

魔法の使い方だって

しおりを挟む
ロックタートルの甲羅の隙間から朝日差し込み、ユヅルを照らす。

重い瞼を開くものの、程よく暖かい日差しにすぐにまた瞼を閉じてしまう。

《おはようございます、ユヅル様。 どうか起きて下さいませ。 》

(ふぁあ、どうしたんだナビィ? まだ眠いんだが)

大きな欠伸をしながら、ナビィに質問と文句を口にする。

《ユヅル様、魔法の練習を行いましょう。 今でしたら周囲半径500メートル圏内に魔物おりませんので、今のうちに。》

昨日のオークとの鬼ごっこをしていた時、スキルの使い方は手探りの状態だったの思い出し、あれは辛かったと一人懐かしんでいた。なので、ナビィが今のうちに魔法の練習をしておこうという意見には賛成だ。

(仕方ないか、自分の命を守る為でもあるしやりますか。 ナビィ悪いんだけどアドバイスよろしく。 )、

《勿論でございます。 ユヅル様。》

そう言ってユヅルは体を起こし、ナビィによる魔法講座を受けるため、ロックタートルの甲羅から出るのであった。


・・・・・・


《では、僭越ながら魔法についてご説明いたします。 魔法とは魔力を消費して行う物になります。 また、魔力とはステータス上のMPことです。以前アルフィ様からスキルについて聞かれたかと思いますが、その時説明にあった『MPを消費して使うスキル』というのが魔法関連のスキルのことです。
進化前の時に使われるていた身体強化に関して、そのスキルを念じるだけで使えますが、ユヅル様のスキルの風魔法のようにと表記される魔法は、消費MPは多少多いですが、その分明確なイメージさえ出来ればその系統の魔法を様々な現象として行使する事ができます。また、行使できるものはレベルによって制限されますが、例えば火魔法であればファイアボールなフレイムランス、と言ったものが存在します。
また、魔法には属性というものがあり、火→風→土→水→火となり、互いに打ち消し合う光と闇、そしてなににも属さない無という属性が存在しております。中にはすでに使い手がいなくなった重力や時間、空間に作用する魔法も存在いたしますが、これらは習得がかなり難しいので、今は気にしなくていいと思われます。なので、まずは走り込みを行い体力作りと魔力を感じる事から始めましょう。》

現在、ロックタートル甲羅を出て10分程歩いた拓けた場所へと来ると早速ナビィの魔法講座を始めた。

(質問なんだが、魔力を感じる所から始めるのはわかるが、それと何故に走り込み? )

《魔力の流れ感じる例えば全力で走った後や100メートルをクロールで泳いだ後など、疲れた際に血を全身に流すため、心臓が脈打つの感じた事はございませんか? 魔力もそれと似たような現象が発生致します。なので、今のお身体に慣れて頂く為、そして持久力をつけて頂くことを鑑みて一石二鳥となるのが走り込みなのでございます。》

とナビィに質問しつつ、ナビィの魔法講座が本格的に始動する。

平原の広さはざっと半径200メートルほど広さがある中、はじめに行ったのは、はじめにあった通り、ではなく身体なれることであった。

ファストバードの時は尾羽であった上、転生前は人間だった。そのため、ソニックイーグル亜種なったことで生えた身体より長い尾のある身体に慣れていないのだ、その為、魔法の練習の前に身体の動かし方に慣れる必要があったのだが、その訓練法というのがかなりのスパルタである。

まず軽く尾を動かす練習だったのだが、これは意識を尾に向け集中する事ですぐに出来るようになった、その後からが地獄だった。

軽く動かす事が出来るようになってからすぐナビィはこんな事を言い出した。

《ユヅル様、ここからはわたくし心を鬼にして指導したいと思います。 お覚悟を!》

・・・これを聞いた時、質問する前にナビィは行動に出たのだ。

《このが、いつまで尻尾垂らして休んでんだ! さっさと次の訓練を始めるぞ! 返事はどうした!》

(イ、イエス マム‼︎ )

とっさに敬礼しちゃったよ。
でも仕様がないじゃん。
頭の中にリアル鬼軍曹が住んでいて逃げる事叶わないんだもん。
これを逃げれるやつを俺は勇者だと思う。

そんなこんなで、尾で丸太を叩き割ったり、尾だけで大木を持ち上げたりと大変だった。時々、聞こえてくる
《ユヅルさん、諦めたらそこで試合終了ですよ!》や《ファイトー! いっぱーつ! 》など、つっこみ待ちをしているのかと言いたい。というよりツッコンでいた。

そのせいで精神的にも肉体的にも疲れ果て、その度に《何を休んでいるのだ、そんな事ではこの世界では生きていけんぞ! 》と叩き起こされる、これを繰り返す事10日が過ぎ去った。

その頃には、いくつか新しいスキルが増え、風魔法のレベルも二つほどあがり、魔力操作も一人前と呼べるレベルにまで上達したのであった。

《褒めてやる、よくぞこの特訓についてきた。これでお前がこの世界で生きることが多少は楽になるだろう。これにて訓練は終了とする!》

(ありがとうございました! 教官殿!)

訓練終了後、しばらくの間ユヅルのナビィに対する態度がおかしかったのは仕方がないことだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした

月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。 それから程なくして―――― お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。 「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」 にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。 「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」 そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・ 頭の中を、凄まじい情報が巡った。 これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね? ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。 だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。 ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。 ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」 そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。 フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ! うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって? そんなの知らん。 設定はふわっと。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

処理中です...