上 下
3 / 30

3、救出

しおりを挟む
 デーアとアンジュが目を覚まし気が付くと、共に手首を縛られ、胸の大事なところが薄く透けて見えるベビードールに下の下着のみの格好で柱に括り付けられていた。

「おや、気が付いたのか。ん~、いい眺めだね」
「これはこれは。何とも背徳的でそそりますね」

 ゴルトとシュタールに恍惚こうこつとした表情で体の隅から隅までを舐め回すように見られ、デーアとアンジュは嫌悪感と恐怖感で涙が出そうになる。こんな姿をこの人達に見られるなんてと羞恥心で死にそうになった。

 ゴルトがデーアの太腿を撫で上げる。シュタールもアンジュの顎から首筋、鎖骨をつたい胸の輪郭を撫でた。恐怖で声にならない声を出すデーアとアンジュはガタガタと震える。

 デーアの脳裏にはいつもは喜怒哀楽の乏しいヴァイスハイトがたまに見せる笑顔が浮かんだ。アンジュの脳裏には実技試験でアンジュを負かせた後丁寧にアドバイスを入れ、教えてもらった通りに魔法が成功すると屈託のない笑顔で頭を撫でてくれたゲニーの笑顔が浮かぶ。

「「こんな事で自覚なんてしたくなかったのに」」
「ヴァイスハイトの」「ゲニーの」
「「バカ――!!」」

 二人が同時に叫んだ次の瞬間、けたたましい音と共に小屋が吹っ飛んだ。

「俺の」「僕の」
「「女に手を出すな!!」」

 土煙が立つ中、ヴァイスハイトとゲニーが同時に言い放ち駆け寄ってくる。幸いデーアとアンジュはかすり傷一つないが、ゴルトとシュタールは白目を向いて倒れていた。

「なんて格好されてるんだ!」
「大丈夫か? 怪我はないか?」

 ヴァイスハイトはデーアに、ゲニーはアンジュに着ていたジャケットを羽織らせる。安心したデーアとアンジュは子供のように泣きじゃくった。ヴァイスハイトとゲニーは赤子をあやすかのようにそれぞれを抱きしめらながら頭を撫で、段々と二人は落ち着きを取り戻す。

 ゲニーがかけた拘束魔法で縛り上げられたゴルトとシュタール、誘拐犯達は国家警察に連行された。

「色々と聞きたいことがあるんだが」

 すっかり泣き止んだ二人に対してヴァイスハイトは沈黙を破る。ゲニーも真剣な顔付きだ。

「ああ、聞きたいことがいくつかある。まず最初に聞くけど『バカ』ってどういうことだ?」

 そこから聞くのかとゲニーの気の利かない発言に頭痛がしてくるヴァイスハイトは弟の頭を思いっきり引っ叩いた。

「痛!」
「俺はお前の発言で頭が痛いよ……。とりあえずこんな所で長話するのはなんだから、俺達の家に来るといい。そこでゆっくり話を聞こう。オラーケル家にはちゃんと連絡しておくから安心していい」
「私達、今魔法が使えないの」

 転移魔法を詠唱しようとしたヴァイスハイトとゲニーに向かってアンジュがゲニーの服の袖を引っ張りながら慌てて言う。

「この指輪をしてると魔法が使えないのよ」

 困ったように続いてデーアが言った。

「外れ……ない」

 ヴァイスハイトはデーアの指から指輪を外そうとしたが一向にビクともしない。

「なんか厄介な魔法がかかってるな」

 解析魔法を使ったゲニーは眉をひそめた。

((うーん。中出しされないと外れないとは言えない))
「とりあえず体に接触してれば転移出来るから」

 そう言ったゲニーはひょいとアンジュをお姫様抱っこして転移魔法を使う。

「話も聞きたいし、早く着替えさせたいから行くぞ」

 ヴァイスハイトもそう言ってデーアを軽々お姫様抱っこし、ゲニーに続いて転移魔法を使った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~

ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。 ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。 一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。 目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!? 「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...