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親友との再会
62 誤解
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控室に移っても暫く泣いていた咲夜ちゃん。それでも、時間が経てば少し落ち着いてきました。
レイラと祐奈には、お手伝いしてくれたご近所さんとの折衝を任せています。
いやはや、ホント、出来た弟子でして女子大生には思えない。私が経営者なら、絶対秘書に採用したい人材ですよ。
咲夜ちゃんは親戚の叔母様との話もあるでしょうから、私も一旦席を外し、外の空気を吸いに出ました。
参列者はみんな帰ってしまい、もう誰もいない。
…い、いや、星野が居る。そして、私の方に歩いて来る……。
う、こいつ、待ちかまえてたの? ストーカーかい?
あ、こいつがいるってことは、性悪木弓も、居るの?
しかめっ面でキョロキョロ木弓を探す私に、星野は苦笑します。
「いや、真央は、もう帰ったよ」
「あっ、そう」
素っ気ない私の返事。さっきは不覚にもチョットだけドキッとトキメイテしまいましたけどさ、失礼さではコイツもドッコイなんですからね。
そんな私に向かい、星野は言い出しにくそうに口を開きます。
「あ、あのさあ。多喜ってばさ、たぶん、まだ誤解してるんだろうけどさ」
へえ? 誤解?
誤解って、何をよ!
訳分かりませんが、取り敢えず、睨みつけてやります。
「俺、中学の時にお前に、多くの喜びは遥か彼方って言って……」
「あ~ら、あなたも覚えてました~?
そうですよ~。シ~ッカリと、根に持たせてもらってます~!」
厭味ったらしく応答。私、性格悪いかな。
「い、いや、だからさ…。そ、その……。あ、あれには続きがあるんだよ」
ん? つ、続き……?
「だ、だからさ。多喜だからそうだけど、星野になれば、ロマンチックな名前になるぞって」
「はあああ??」
星野ハルカ……。星の遥か?
え~、それ、ロマンチックか~??
ん? い、いや待て。
なんで私が星野になんなきゃならないのよ!
ほえ?! 星野に苗字が変わるって……。
う、嘘…。そ、それって……。
愛の告白だったってこと~?!?!
一気に顔が熱くなる。
多分、私、今顔が真っ赤!
いや、いや、いや、ありえない!
ありえない!! ありえない!!
ぜ~ったい、あり得ない~!!!
告白されていたのを最後まで聞かずに誤解して、怒って引っ叩いていたなんて。
そんなの、あり得ないよ~!!
もう、ホントに、情けないやら、恥ずかしいやら、悲しいやら……。
あ~! わけ分かんない!!
いや待て。そもそも、誤解を招くような告白するコイツが悪い!
いや、そうよ。それまでもそんな素振り全くなかったのよ。
あれ? あ、それは、単に鈍感な私が気付いてなかっただけ……?
「お、おい、多喜。だ、大丈夫か? ちょっとフラフラしてるぞ」
「あ、当たり前でしょう。もう私、自分が嫌になった……。
と、取り敢えず、ごめんなさい。ずっと誤解してました。謝ります」
「い、いや、俺の方が悪かったんだ。スマン。
でも、誤解が解けて良かった。スッキリした」
「ふ~ん。で、私に振られて~、今は木弓と付き合ってる~ってことなのね~」
この辺は、ちょっと納得いかない。あんな性悪なヤツと付き合うようでは同類と判断されて仕方ない。
だから、やはり厭味ったらしい口調になってしまいました。
「まさか! 冗談止めてくれよ。あいつが勝手に言い寄ってきてるだけだよ。
迷惑してるんだ。近所の手前、あまり邪険にもできないしな」
ああ、そういうことか。まあ、あいつなら、あり得るね……。
「俺は、今、咲夜と、その……。付き合っているというか、いや、まだ正式には、そういう関係にはなってはいないが、そ、その……」
「はああああ!! な、な、な、なんですと~!!
さ、咲夜ちゃんと~!!」
「あ、いや、ちょっと待てよ!
多分、向こうも俺のこと、悪くは思っていないんじゃないかなと。
で、俺も、同じような感じで、告白も何にもしてないんだがな……」
はああ?!
あ、あいや~。そ~んなことになっていたのね。
友達以上、恋人未満ってやつですかね。
もしかして、私に引っ叩かれたのがトラウマになっていて告白できずにいるとか、言わないよね。
止めてよね。私の所為にするのは……。
レイラと祐奈には、お手伝いしてくれたご近所さんとの折衝を任せています。
いやはや、ホント、出来た弟子でして女子大生には思えない。私が経営者なら、絶対秘書に採用したい人材ですよ。
咲夜ちゃんは親戚の叔母様との話もあるでしょうから、私も一旦席を外し、外の空気を吸いに出ました。
参列者はみんな帰ってしまい、もう誰もいない。
…い、いや、星野が居る。そして、私の方に歩いて来る……。
う、こいつ、待ちかまえてたの? ストーカーかい?
あ、こいつがいるってことは、性悪木弓も、居るの?
しかめっ面でキョロキョロ木弓を探す私に、星野は苦笑します。
「いや、真央は、もう帰ったよ」
「あっ、そう」
素っ気ない私の返事。さっきは不覚にもチョットだけドキッとトキメイテしまいましたけどさ、失礼さではコイツもドッコイなんですからね。
そんな私に向かい、星野は言い出しにくそうに口を開きます。
「あ、あのさあ。多喜ってばさ、たぶん、まだ誤解してるんだろうけどさ」
へえ? 誤解?
誤解って、何をよ!
訳分かりませんが、取り敢えず、睨みつけてやります。
「俺、中学の時にお前に、多くの喜びは遥か彼方って言って……」
「あ~ら、あなたも覚えてました~?
そうですよ~。シ~ッカリと、根に持たせてもらってます~!」
厭味ったらしく応答。私、性格悪いかな。
「い、いや、だからさ…。そ、その……。あ、あれには続きがあるんだよ」
ん? つ、続き……?
「だ、だからさ。多喜だからそうだけど、星野になれば、ロマンチックな名前になるぞって」
「はあああ??」
星野ハルカ……。星の遥か?
え~、それ、ロマンチックか~??
ん? い、いや待て。
なんで私が星野になんなきゃならないのよ!
ほえ?! 星野に苗字が変わるって……。
う、嘘…。そ、それって……。
愛の告白だったってこと~?!?!
一気に顔が熱くなる。
多分、私、今顔が真っ赤!
いや、いや、いや、ありえない!
ありえない!! ありえない!!
ぜ~ったい、あり得ない~!!!
告白されていたのを最後まで聞かずに誤解して、怒って引っ叩いていたなんて。
そんなの、あり得ないよ~!!
もう、ホントに、情けないやら、恥ずかしいやら、悲しいやら……。
あ~! わけ分かんない!!
いや待て。そもそも、誤解を招くような告白するコイツが悪い!
いや、そうよ。それまでもそんな素振り全くなかったのよ。
あれ? あ、それは、単に鈍感な私が気付いてなかっただけ……?
「お、おい、多喜。だ、大丈夫か? ちょっとフラフラしてるぞ」
「あ、当たり前でしょう。もう私、自分が嫌になった……。
と、取り敢えず、ごめんなさい。ずっと誤解してました。謝ります」
「い、いや、俺の方が悪かったんだ。スマン。
でも、誤解が解けて良かった。スッキリした」
「ふ~ん。で、私に振られて~、今は木弓と付き合ってる~ってことなのね~」
この辺は、ちょっと納得いかない。あんな性悪なヤツと付き合うようでは同類と判断されて仕方ない。
だから、やはり厭味ったらしい口調になってしまいました。
「まさか! 冗談止めてくれよ。あいつが勝手に言い寄ってきてるだけだよ。
迷惑してるんだ。近所の手前、あまり邪険にもできないしな」
ああ、そういうことか。まあ、あいつなら、あり得るね……。
「俺は、今、咲夜と、その……。付き合っているというか、いや、まだ正式には、そういう関係にはなってはいないが、そ、その……」
「はああああ!! な、な、な、なんですと~!!
さ、咲夜ちゃんと~!!」
「あ、いや、ちょっと待てよ!
多分、向こうも俺のこと、悪くは思っていないんじゃないかなと。
で、俺も、同じような感じで、告白も何にもしてないんだがな……」
はああ?!
あ、あいや~。そ~んなことになっていたのね。
友達以上、恋人未満ってやつですかね。
もしかして、私に引っ叩かれたのがトラウマになっていて告白できずにいるとか、言わないよね。
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