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親友との再会

61 葬儀

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 翌日は、お通夜。
しかし、咲夜ちゃん、着る物も燃えてしまって、喪服が無い…。
 私のを貸すって訳にもいかないんですよね。彼女は結構身長あるし、胸もゴリッパ…サイズが合わないんです。それに、私自身も参列したいし。

 あの……。
 どうでも良いけどさ。弟子といい、咲夜ちゃんといい、ナギさんまでも、どうして私の周りには、こんな巨乳が集まるのかな。
 私だって、決してペチャパイって訳じゃ無いのですよ。極々普通の、標準サイズ(…よりも、ホンノ、ホンノちょっとだけ控え目?)なんです!
 でも周りがデカイと、極端に小さく見えちゃうじゃないですか…。

 いや、こんな話は、ホンットどうでも良いんですが……。

 で、お店で急ぎ咲夜ちゃんの喪服を調達し、私の運転で葬斎場へ。


 田舎では、葬儀はご近所さん総出で手伝ってくれます。
最近は家族葬も増えて、こういったのはだいぶ少なくなってきていますが、ヒトリボッチになってしまった咲夜ちゃんにとっては有難いこと。
 そうそう、私が彼女の家にお世話になっていた時は、彼女のお婆ちゃんも健在でした。
でも、私の祖母と一日違いで亡くなってしまい、互いに互いの御葬儀には行けませんでした。

 あの時は大変だったな。
祖母の家は超山奥の一軒家で、ご近所さんもいない。余計なシガラミが無い反面、全てこっちで手配しないといけなかったからね。
 ただ、どっちが楽かというと、これは、どっちもどっちかもしれない。
人にしてもらうのは、気苦労が多い。その気苦労、彼女一人が背負わなければいけないのです。
 聞きたくもない中傷も聞こえてきたりします。貧乏神だの、厄病神だのって、咲夜ちゃんのことよね。
悪魔の眼だなんて、咲夜ちゃんが気にしているオッドアイに関する囁きも…。
 こいつら、なんて失礼なヤツラなの?!

 ふざけたことをボソボソ言っている奴は私がキッと睨みつけてやります。

 すると、
「ひいっ、死神…」って、逃げてゆきます。

 が、なんだと~!
御葬儀の場でそれは、洒落にもならんだろうがっ!
 まったくもう、失礼極まりないっ!!



 その翌日は告別式。
弟子二人も学校休んで来てくれました。

 相変わらず、ボソボソ小声で聞こえてくるのは「貧乏神」やら、「厄病神」やら、「死神」の声…。
 私と弟子の三人がかりで、フザケタ発言をする奴らを睨みつけます。
 尤も、死神ってのは大方私に向けられた言葉ではありまするが……。
まあ、もはや私はそんな中傷、気にしておりませんよ。バッカバカしい!

 だけれども……。ああ、嫌な奴らが来た。

 それは、中学・高校時代の同級生二人。
 いちいち私に突っかかって、私を率先してハバにした女子の中心人物、木弓真央。
コイツの妨害が無ければ、私ももう少し皆と関りが持てていたかもしれないという諸悪の根源!
 さらに、もう一人は男子。前に話しましたよね。私、多喜ハルカに「多くの喜びは遥か彼方」なんて言いくさったヤツがいたって。
それがコイツ、星野勇樹。
 あの時は私も頭にカッときて、思いっきり頬を引っ叩いてやりました。
以後、コイツとは一切口をきいていません。

 二人とも、咲夜ちゃんのご近所さんだからね。来ても仕方ないか。
 コイツラさ、中学卒業したら離れられると思ったら、高校までも一緒だったんだよね。まあ、クラスは違ったけどね。
 あれ? でも、二人一緒に来たってことは、御両人さんは、付き合ってるの?
 嫌な奴ら同士で、お似合いカップルかもね……。

 え? うそうそ、いやいや、私を見るなり、木弓がこっちへツカツカ寄ってくるよ。
来なくて良いよ。あんたなんかと話したくない。

 私の真ん前までズカズカ進んで来た木弓。

「なんで、アンタがここに居るのよ、死神!
アンタが咲夜のお父さんを呪い殺したんじゃないの」

 あいや~。久しぶりに顔を合わせた相手に、面と向かって、そこまで言うか?!
これには流石さすがの私も、呆気に取られて言葉が出ません。

「止めろよ、真央。そんなこと、有るはず無いだろ! お前、失礼が過ぎるぞ!」

 なんて、私をかばってくれるのは、弟子二人ではありません。彼女らも、真ん前での堂々たる失礼発言に、目を剥いてフリーズしてる…。
 そして、その庇ってくれた人物というのが、発言者を追いかけてきた星野でした。

 でもさあ、何だかね~。アンタがそれ、言うか~?
中学時代の多感な私に向かって「多くの喜びは遥か彼方」なんて言い放ったのは、誰なんだよ!
 とは言え、庇ってくれるのは嬉しかったりする。
 それに、すっかりたくましくなって、ちょっとイケてるかも……。

 失礼な木弓は、星野が引っ張って連れて行ってくれます。
が、木弓め、離れざまに私に向かい、ニクッタラシイ顔してアッカンベーしていきやがった。
 ホント、ムカつく!!

 それに引き換え、星野は何だかイイ奴に思えてしまう。
 ちょっと、カッコよかったかも。

 いや、いや、いや。何考えてるんだ、私。
あんな奴にトキメイテどうする!
 あいつが私に言った暴言! ひと時も忘れちゃいませんよ!


 告別式が終わり、そのまま斎場の火葬室へ。
親戚が少なくて叔母様だけですので、私も、弟子二人も付き添います。
 火事で亡くなったとはいえ、土葬という訳にはゆきませんので、火葬。
再度火の中で焼かれるということになります。
 これは、どうなんでしょうね…。ちょっと複雑な気分。

 棺が炉の中へ、ゆっくり移動させられ、扉が閉まる。
 スイッチが押され、点火…。

 永遠の別れ。
やっぱり、この瞬間が一番悲しい。

 咲夜ちゃんも声を上げて泣き出してしまいました。

 分かるよ。分かるよ、咲夜ちゃん。私もお父さんを送っているからね。
我慢なんてしなくて良いの。気が済むまで、思いっきり泣いて…。

 私は、うずくまってしまった咲夜ちゃんをシッカリと抱き締めました。
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