究極ラッキーガール、最強貧乏神に取り憑かれました…。 ~神と人を繋ぐ“白結の巫女”ハルカの、ナイショ話~

しんいち

文字の大きさ
上 下
31 / 78
二人の弟子

31 大掃除一日目

しおりを挟む
 さ~て、翌日朝。
やってくるなり、祐奈が私に封筒を差し出します。
……分厚い。何?

「師匠。お約束の20万です。ヒスイ、売ってください」

 ああ、そうでした。昨日、そんな約束しましたね。
でも、本気だったんだ。
 言った翌日に現ナマっすか、スゴイ…。

「ホントに良いの? 拾った只の石なのよ?」

「またまた、そんな!
只の石じゃないですよ。ヒスイなんですってば!」

 まあ、本人がそう言うなら、私に異存はございません。
ビンちゃんの許可もありますしね。
 現金を受け取って、ヒスイを渡しました。

 祐奈とっても嬉しそう。
 でも、こんなのどうするつもりなんでしょうね。
金持ちのすることは、分っかりませんわ。

 そして、張り切る弟子二人と、大掃除の開始です。
今日は母屋を重点的に…。
 奥座敷から順番にハタキをかけて埃を落とし、箒で縁側から外へ掃き出します。
その上で、水拭き。…畳もですよ。

 祐奈が二階へ上がる階段を発見。
上は物置だから、やらなくていいよという私の制止も振り払い、ずんずん侵入。
 ここは埃が酷過ぎて叩くと大変だと、最初から水拭き。
何度も何度も水を替え、物置の中の箪笥・長持・柳行李を綺麗ピカピカにしてしまいます。

 「長持の中は何ですか?」と訊かれ、私も知らないので一緒に開けてみると……。

 中からは、大判小判がザックザク!!

 ……なんて、はずはない。
大量の座布団。そして布団でした~。
チャン、チャン!

 箪笥の中は着物。当然ですね…。
古い花嫁衣裳や、裃なんて、年代物まで。
庄屋をしていた先祖のモノですね。

 柳行李の中も着物で、綿製品。

 その他、木箱の中には大量の古い書類。
和紙に毛筆書きですが、崩し字で読めない…。
昔の出納帳のようなものでしょうか?
 あ、これは、地券だ!
歴史の教科書で見たことあるよ。

 古い写真もたくさん出て来たね。
二人の弟子も、ビンちゃんも、覗き込んできます。
……ビンちゃんの姿は、二人には見えていませんけどね。

 白黒写真。写っているの、誰だろう? 分かんないや。
着物姿だから、かなり古いモノね。
あ、裏に名前が書いてある。
多喜治作って、たしか、ひいお爺ちゃん……。

 あ~、だめだ。こういうモノ見始めると、進まないね。
この整理は、また暇なときに。
 あれあれ、いつのまにか、お昼過ぎてるじゃない!

 一人でやっていると全然進まなくて、直ぐに嫌になるけどね。
三人だと結構楽しいし、とってもはかどる。
時間が経つのも忘れちゃうわね。

 よし、お昼にしましょう!

 お昼御飯はオニギリを用意してあります。
具は梅干し。
 付け合わせにせりの茎の下の方を出汁と醤油で煮たモノ。
太くて硬い部分も、こうすると美味しく食べられます。

「うわ~! 師匠、これ、なんですか?
とっても良い香りで、美味しい!」

「それは、芹よ。ウチの元畑で採れたもの。
こっちへ帰ってきて、芹ばっかり食べてるからね。
明日も明後日も芹よ。許してね」

「い、いや~、許してだなんて、これ、最高じゃないですか!」
「そうですよ。私も初めて食べましたけど、すごく良い香りで美味しいですよ」

 あら、あら、二人とも気に入ってくれたようで、良かったです。
 道の駅に行っている時間がないので、当分はこれしかないのよね。
明日は、お味噌汁も付けちゃおうかな。

 で、私はちょっと失礼して、中座。
何故かというと、ビンちゃんのお食事の為です。
 二人にビンちゃんのお食事を見せるわけにはゆきません。
空中にオニギリが消えてゆくという、ホラー…。
そんなモノ見られたら、大騒ぎですよー!
 かといって、放っておくと、ビンちゃんねちゃいます。
機嫌損ねて、また二人に悪戯いたずらしかねない。
 だから、別室で。


 昼食後は階段の拭き掃除と、土間になっている炊事場。そして、古いお風呂場。
 二人は炊事場の設備に興味津々。かまどなんて初めて見たとのこと。
使ってみたいと言われましてもね。私も使ったことないし…。
まあ、機会ありましたらね。

 重ねて積み上げられている大きなおけ
これは古いモノではありません。プラスチック製。
あ、蓋もあるからたるって言う方が正確ですね。漬物樽です。
 こんなにたくさん、何を漬けていたのでしょうね……。

 お風呂は五右衛門風呂。小さい頃に入った記憶はありますが、その後は…。
でもこれには、二人、大興奮! ぜひ入りたいと。
 そう言われても、ストックの薪もチョットしかないし……。
と躊躇すると、薪は持ってくるとのこと。
 それなら沸かしてみてもよいですけどね。
まあ、まず掃除してよ。

 というようなことで、その日のお掃除は終了と相成りました。

 で、明日は泊まり込みで来たいと二人が言いだします。
どうしてかというと、お風呂ですね。五右衛門風呂……。
お湯につかって、マッタリしたいという魂胆であるのです。
 その為の準備もあるので、明日は午後から来るということです。
 まあ、部屋はあるし、布団もあるから、泊っていってもらっても問題ありません。
但し、何もお構い出来ませんよ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

貧乏神の嫁入り

石田空
キャラ文芸
先祖が貧乏神のせいで、どれだけ事業を起こしても失敗ばかりしている中村家。 この年もめでたく御店を売りに出すことになり、長屋生活が終わらないと嘆いているいろりの元に、一発逆転の縁談の話が舞い込んだ。 風水師として名を馳せる鎮目家に、ぜひともと呼ばれたのだ。 貧乏神の末裔だけど受け入れてもらえるかしらと思いながらウキウキで嫁入りしたら……鎮目家の虚弱体質な跡取りのもとに嫁入りしろという。 貧乏神なのに、虚弱体質な旦那様の元に嫁いで大丈夫? いろりと桃矢のおかしなおかしな夫婦愛。 *カクヨム、エブリスタにも掲載中。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】召しませ神様おむすび処〜メニューは一択。思い出の味のみ〜

四片霞彩
キャラ文芸
【第6回ほっこり・じんわり大賞にて奨励賞を受賞いたしました🌸】 応援いただいた皆様、お読みいただいた皆様、本当にありがとうございました! ❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。. 疲れた時は神様のおにぎり処に足を運んで。店主の豊穣の神が握るおにぎりが貴方を癒してくれる。 ここは人もあやかしも神も訪れるおむすび処。メニューは一択。店主にとっての思い出の味のみ――。 大学進学を機に田舎から都会に上京した伊勢山莉亜は、都会に馴染めず、居場所のなさを感じていた。 とある夕方、花見で立ち寄った公園で人のいない場所を探していると、キジ白の猫である神使のハルに導かれて、名前を忘れた豊穣の神・蓬が営むおむすび処に辿り着く。 自分が使役する神使のハルが迷惑を掛けたお詫びとして、おむすび処の唯一のメニューである塩おにぎりをご馳走してくれる蓬。おにぎりを食べた莉亜は心を解きほぐされ、今まで溜めこんでいた感情を吐露して泣き出してしまうのだった。 店に通うようになった莉亜は、蓬が料理人として致命的なある物を失っていることを知ってしまう。そして、それを失っている蓬は近い内に消滅してしまうとも。 それでも蓬は自身が消える時までおにぎりを握り続け、店を開けるという。 そこにはおむすび処の唯一のメニューである塩おにぎりと、かつて蓬を信仰していた人間・セイとの間にあった優しい思い出と大切な借り物、そして蓬が犯した取り返しのつかない罪が深く関わっていたのだった。 「これも俺の運命だ。アイツが現れるまで、ここでアイツから借りたものを守り続けること。それが俺に出来る、唯一の贖罪だ」 蓬を助けるには、豊穣の神としての蓬の名前とセイとの思い出の味という塩おにぎりが必要だという。 莉亜は蓬とセイのために、蓬の名前とセイとの思い出の味を見つけると決意するがーー。 蓬がセイに犯した罪とは、そして蓬は名前と思い出の味を思い出せるのかーー。 ❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。. ※ノベマに掲載していた短編作品を加筆、修正した長編作品になります。 ※ほっこり・じんわり大賞の応募について、運営様より許可をいただいております。

金沢ひがし茶屋街 雨天様のお茶屋敷

河野美姫
キャラ文芸
古都・金沢、加賀百万石の城下町のお茶屋街で巡り会う、不思議なご縁。 雨の神様がもてなす甘味処。 祖母を亡くしたばかりの大学生のひかりは、ひとりで金沢にある祖母の家を訪れ、祖母と何度も足を運んだひがし茶屋街で銀髪の青年と出会う。 彼は、このひがし茶屋街に棲む神様で、自身が守る屋敷にやって来た者たちの傷ついた心を癒やしているのだと言う。 心の拠り所を失くしたばかりのひかりは、意図せずにその屋敷で過ごすことになってしまいーー? 神様と双子の狐の神使、そしてひとりの女子大生が紡ぐ、ひと夏の優しい物語。 アルファポリス 2021/12/22~2022/1/21 ※こちらの作品はノベマ!様・エブリスタ様でも公開中(完結済)です。 (2019年に書いた作品をブラッシュアップしています)

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

裏吉原あやかし語り

石田空
キャラ文芸
「堀の向こうには裏吉原があり、そこでは苦界の苦しみはないよ」 吉原に売られ、顔の火傷が原因で年季が明けるまで下働きとしてこき使われている音羽は、火事の日、遊女たちの噂になっている裏吉原に行けると信じて、堀に飛び込んだ。 そこで待っていたのは、人間のいない裏吉原。ここを出るためにはどのみち徳を積まないと出られないというあやかしだけの街だった。 「極楽浄土にそんな簡単に行けたら苦労はしないさね。あたしたちができるのは、ひとの苦しみを分かつことだけさ」 自称魔女の柊野に拾われた音羽は、裏吉原のひとびとの悩みを分かつ手伝いをはじめることになる。 *カクヨム、エブリスタ、pixivにも掲載しております。

処理中です...