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二人の弟子
31 大掃除一日目
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さ~て、翌日朝。
やってくるなり、祐奈が私に封筒を差し出します。
……分厚い。何?
「師匠。お約束の20万です。ヒスイ、売ってください」
ああ、そうでした。昨日、そんな約束しましたね。
でも、本気だったんだ。
言った翌日に現ナマっすか、スゴイ…。
「ホントに良いの? 拾った只の石なのよ?」
「またまた、そんな!
只の石じゃないですよ。ヒスイなんですってば!」
まあ、本人がそう言うなら、私に異存はございません。
ビンちゃんの許可もありますしね。
現金を受け取って、ヒスイを渡しました。
祐奈とっても嬉しそう。
でも、こんなのどうするつもりなんでしょうね。
金持ちのすることは、分っかりませんわ。
そして、張り切る弟子二人と、大掃除の開始です。
今日は母屋を重点的に…。
奥座敷から順番にハタキをかけて埃を落とし、箒で縁側から外へ掃き出します。
その上で、水拭き。…畳もですよ。
祐奈が二階へ上がる階段を発見。
上は物置だから、やらなくていいよという私の制止も振り払い、ずんずん侵入。
ここは埃が酷過ぎて叩くと大変だと、最初から水拭き。
何度も何度も水を替え、物置の中の箪笥・長持・柳行李を綺麗ピカピカにしてしまいます。
「長持の中は何ですか?」と訊かれ、私も知らないので一緒に開けてみると……。
中からは、大判小判がザックザク!!
……なんて、はずはない。
大量の座布団。そして布団でした~。
チャン、チャン!
箪笥の中は着物。当然ですね…。
古い花嫁衣裳や、裃なんて、年代物まで。
庄屋をしていた先祖のモノですね。
柳行李の中も着物で、綿製品。
その他、木箱の中には大量の古い書類。
和紙に毛筆書きですが、崩し字で読めない…。
昔の出納帳のようなものでしょうか?
あ、これは、地券だ!
歴史の教科書で見たことあるよ。
古い写真もたくさん出て来たね。
二人の弟子も、ビンちゃんも、覗き込んできます。
……ビンちゃんの姿は、二人には見えていませんけどね。
白黒写真。写っているの、誰だろう? 分かんないや。
着物姿だから、かなり古いモノね。
あ、裏に名前が書いてある。
多喜治作って、たしか、ひいお爺ちゃん……。
あ~、だめだ。こういうモノ見始めると、進まないね。
この整理は、また暇なときに。
あれあれ、いつのまにか、お昼過ぎてるじゃない!
一人でやっていると全然進まなくて、直ぐに嫌になるけどね。
三人だと結構楽しいし、とっても捗る。
時間が経つのも忘れちゃうわね。
よし、お昼にしましょう!
お昼御飯はオニギリを用意してあります。
具は梅干し。
付け合わせに芹の茎の下の方を出汁と醤油で煮たモノ。
太くて硬い部分も、こうすると美味しく食べられます。
「うわ~! 師匠、これ、なんですか?
とっても良い香りで、美味しい!」
「それは、芹よ。ウチの元畑で採れたもの。
こっちへ帰ってきて、芹ばっかり食べてるからね。
明日も明後日も芹よ。許してね」
「い、いや~、許してだなんて、これ、最高じゃないですか!」
「そうですよ。私も初めて食べましたけど、すごく良い香りで美味しいですよ」
あら、あら、二人とも気に入ってくれたようで、良かったです。
道の駅に行っている時間がないので、当分はこれしかないのよね。
明日は、お味噌汁も付けちゃおうかな。
で、私はちょっと失礼して、中座。
何故かというと、ビンちゃんのお食事の為です。
二人にビンちゃんのお食事を見せるわけにはゆきません。
空中にオニギリが消えてゆくという、ホラー…。
そんなモノ見られたら、大騒ぎですよー!
かといって、放っておくと、ビンちゃん拗ねちゃいます。
機嫌損ねて、また二人に悪戯しかねない。
だから、別室で。
昼食後は階段の拭き掃除と、土間になっている炊事場。そして、古いお風呂場。
二人は炊事場の設備に興味津々。竈なんて初めて見たとのこと。
使ってみたいと言われましてもね。私も使ったことないし…。
まあ、機会ありましたらね。
重ねて積み上げられている大きな桶。
これは古いモノではありません。プラスチック製。
あ、蓋もあるから樽って言う方が正確ですね。漬物樽です。
こんなにたくさん、何を漬けていたのでしょうね……。
お風呂は五右衛門風呂。小さい頃に入った記憶はありますが、その後は…。
でもこれには、二人、大興奮! ぜひ入りたいと。
そう言われても、ストックの薪もチョットしかないし……。
と躊躇すると、薪は持ってくるとのこと。
それなら沸かしてみてもよいですけどね。
まあ、まず掃除してよ。
というようなことで、その日のお掃除は終了と相成りました。
で、明日は泊まり込みで来たいと二人が言いだします。
どうしてかというと、お風呂ですね。五右衛門風呂……。
お湯につかって、マッタリしたいという魂胆であるのです。
その為の準備もあるので、明日は午後から来るということです。
まあ、部屋はあるし、布団もあるから、泊っていってもらっても問題ありません。
但し、何もお構い出来ませんよ!
やってくるなり、祐奈が私に封筒を差し出します。
……分厚い。何?
「師匠。お約束の20万です。ヒスイ、売ってください」
ああ、そうでした。昨日、そんな約束しましたね。
でも、本気だったんだ。
言った翌日に現ナマっすか、スゴイ…。
「ホントに良いの? 拾った只の石なのよ?」
「またまた、そんな!
只の石じゃないですよ。ヒスイなんですってば!」
まあ、本人がそう言うなら、私に異存はございません。
ビンちゃんの許可もありますしね。
現金を受け取って、ヒスイを渡しました。
祐奈とっても嬉しそう。
でも、こんなのどうするつもりなんでしょうね。
金持ちのすることは、分っかりませんわ。
そして、張り切る弟子二人と、大掃除の開始です。
今日は母屋を重点的に…。
奥座敷から順番にハタキをかけて埃を落とし、箒で縁側から外へ掃き出します。
その上で、水拭き。…畳もですよ。
祐奈が二階へ上がる階段を発見。
上は物置だから、やらなくていいよという私の制止も振り払い、ずんずん侵入。
ここは埃が酷過ぎて叩くと大変だと、最初から水拭き。
何度も何度も水を替え、物置の中の箪笥・長持・柳行李を綺麗ピカピカにしてしまいます。
「長持の中は何ですか?」と訊かれ、私も知らないので一緒に開けてみると……。
中からは、大判小判がザックザク!!
……なんて、はずはない。
大量の座布団。そして布団でした~。
チャン、チャン!
箪笥の中は着物。当然ですね…。
古い花嫁衣裳や、裃なんて、年代物まで。
庄屋をしていた先祖のモノですね。
柳行李の中も着物で、綿製品。
その他、木箱の中には大量の古い書類。
和紙に毛筆書きですが、崩し字で読めない…。
昔の出納帳のようなものでしょうか?
あ、これは、地券だ!
歴史の教科書で見たことあるよ。
古い写真もたくさん出て来たね。
二人の弟子も、ビンちゃんも、覗き込んできます。
……ビンちゃんの姿は、二人には見えていませんけどね。
白黒写真。写っているの、誰だろう? 分かんないや。
着物姿だから、かなり古いモノね。
あ、裏に名前が書いてある。
多喜治作って、たしか、ひいお爺ちゃん……。
あ~、だめだ。こういうモノ見始めると、進まないね。
この整理は、また暇なときに。
あれあれ、いつのまにか、お昼過ぎてるじゃない!
一人でやっていると全然進まなくて、直ぐに嫌になるけどね。
三人だと結構楽しいし、とっても捗る。
時間が経つのも忘れちゃうわね。
よし、お昼にしましょう!
お昼御飯はオニギリを用意してあります。
具は梅干し。
付け合わせに芹の茎の下の方を出汁と醤油で煮たモノ。
太くて硬い部分も、こうすると美味しく食べられます。
「うわ~! 師匠、これ、なんですか?
とっても良い香りで、美味しい!」
「それは、芹よ。ウチの元畑で採れたもの。
こっちへ帰ってきて、芹ばっかり食べてるからね。
明日も明後日も芹よ。許してね」
「い、いや~、許してだなんて、これ、最高じゃないですか!」
「そうですよ。私も初めて食べましたけど、すごく良い香りで美味しいですよ」
あら、あら、二人とも気に入ってくれたようで、良かったです。
道の駅に行っている時間がないので、当分はこれしかないのよね。
明日は、お味噌汁も付けちゃおうかな。
で、私はちょっと失礼して、中座。
何故かというと、ビンちゃんのお食事の為です。
二人にビンちゃんのお食事を見せるわけにはゆきません。
空中にオニギリが消えてゆくという、ホラー…。
そんなモノ見られたら、大騒ぎですよー!
かといって、放っておくと、ビンちゃん拗ねちゃいます。
機嫌損ねて、また二人に悪戯しかねない。
だから、別室で。
昼食後は階段の拭き掃除と、土間になっている炊事場。そして、古いお風呂場。
二人は炊事場の設備に興味津々。竈なんて初めて見たとのこと。
使ってみたいと言われましてもね。私も使ったことないし…。
まあ、機会ありましたらね。
重ねて積み上げられている大きな桶。
これは古いモノではありません。プラスチック製。
あ、蓋もあるから樽って言う方が正確ですね。漬物樽です。
こんなにたくさん、何を漬けていたのでしょうね……。
お風呂は五右衛門風呂。小さい頃に入った記憶はありますが、その後は…。
でもこれには、二人、大興奮! ぜひ入りたいと。
そう言われても、ストックの薪もチョットしかないし……。
と躊躇すると、薪は持ってくるとのこと。
それなら沸かしてみてもよいですけどね。
まあ、まず掃除してよ。
というようなことで、その日のお掃除は終了と相成りました。
で、明日は泊まり込みで来たいと二人が言いだします。
どうしてかというと、お風呂ですね。五右衛門風呂……。
お湯につかって、マッタリしたいという魂胆であるのです。
その為の準備もあるので、明日は午後から来るということです。
まあ、部屋はあるし、布団もあるから、泊っていってもらっても問題ありません。
但し、何もお構い出来ませんよ!
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