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富山での御縁
20 食事2
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ところで、美味しい料理には美味しいお酒が必需品。
ビールも飲まなくはありませんが、私は日本酒党。
普段は冷酒を頼むことが多いのですが、今日は何となく、気分的に燗酒を頼んでいます。
ビンちゃん、私が飲んでいるお酒にも興味があるらしく、物欲しそうにしています。
自分からは飲みたいと言わないのか奥床しい…。
でも、ビンちゃん、この容姿。幼児姿なのです。
お酒飲ませちゃって、大丈夫かな…。
まあ、神様なんだし、「御神酒上がらぬ神は無し」なんて言いますよね。
大丈夫……かな?
大丈夫……よね。
「飲みます?」
訊いてみると、コクコクと頷きます。
これがまた、可愛い~!
うふふ…。
よし、飲ませちゃおう!
座布団や箸を二人前要求するので、従業員さんが気を利かせてお猪口も二つ持ってきてくれていました。
でも、もう一つのお猪口を使ったのでは、おそらくお酒は下に毀れるだけでビンちゃんは飲めない。
ここは、アレ。日本の昔からの風習。
「お流れ頂戴」というやつです。
あ、これは、上の人の盃を頂戴するのだから、逆か。
「献杯」ですね。
いずれにしても、同じ盃で飲めば良いのです。
一見不衛生に見えるこの風習も、やっぱり意味あることなんだな。
こういうことも、もうちょっと勉強しておかなきゃ。
で、私の使っているお猪口にお酒を注ぎ、ビンちゃんのおちょぼ口へ。
ビンちゃん、スーッと一気に飲み干します。
お見事!
というか、私が一気にお口に入れたんですけどね。
てへっ。
「う~ん。美味い。美味いぞ。最高だ」
ありゃりゃ。こりゃあ、大変だ。
いける口らしい。
丁度、給仕のお姉さんが次の料理を運んできてくれました。
「お姉さん、ごめんなさい。お酒、取り敢えず四本追加で」
「え!?」
お姉さん、びっくり仰天。
何度も運んできてもらうのは、ビンちゃんも居るので都合悪い。
その為、お酒はまとめて頼んであります。
今、ここに、お銚子(正確には徳利かな?)が四本。
つまり四合の日本酒。
お姉さんに見えているのは私だけ。
四本追加ということは、一人で八合ということに…。
こりゃまあ、とんだ蟒蛇ですわ。
良いですよ。今更なんと思われようと、構いはしません。
金髪女は底なしです。どんどん追加しますよ!
……結局、ビンちゃんと私でお酒十五本頼んじゃいました。
(三分の二くらいはビンちゃんですよ!)
料理も一人前では足りないから、刺身の盛り合わせと、ノドグロの煮つけと、天ぷら盛り合わせを追加注文し、ご飯もお櫃を空にしてしまいました。
きっと、厨房では噂になっていることでしょう。
化け物だと。
もう、ホントに今更でございます。
なんとでも言ってやってくださいまし。
そして、そして。ビンちゃん、すっごい上機嫌。
一升くらい飲んでホンノリ桜色で済んでるってのも凄いですが、お腹がポッコリ出ているような…。
食べさせ過ぎたかな。
「ハルカよ。お前は素晴らしい。
お前に取り憑けて、私は本当に幸せだ。
体に力が漲ってきている。最高の気分だ。
今なら、あの思兼ジジイでもブッ飛ばせる気がする。
もう、お前を一生、離さぬぞ」
可愛らしい童女が私に抱き着いて、頬をスリスリして来てくれる…。
でも……。
思兼ジジイでもブッ飛ばせる?
もう、お前を一生、離さぬぞ?
そ、それって、超怖い発言なんですけど!!
そう、この子は強力な貧乏神様なのです。
外見の可愛さですっかり忘れていました。
その貧乏神のエース様に、力を得させてしまった…。
私、なんだか、トンデモナイことヤラカシちゃいましたかね……。
ビールも飲まなくはありませんが、私は日本酒党。
普段は冷酒を頼むことが多いのですが、今日は何となく、気分的に燗酒を頼んでいます。
ビンちゃん、私が飲んでいるお酒にも興味があるらしく、物欲しそうにしています。
自分からは飲みたいと言わないのか奥床しい…。
でも、ビンちゃん、この容姿。幼児姿なのです。
お酒飲ませちゃって、大丈夫かな…。
まあ、神様なんだし、「御神酒上がらぬ神は無し」なんて言いますよね。
大丈夫……かな?
大丈夫……よね。
「飲みます?」
訊いてみると、コクコクと頷きます。
これがまた、可愛い~!
うふふ…。
よし、飲ませちゃおう!
座布団や箸を二人前要求するので、従業員さんが気を利かせてお猪口も二つ持ってきてくれていました。
でも、もう一つのお猪口を使ったのでは、おそらくお酒は下に毀れるだけでビンちゃんは飲めない。
ここは、アレ。日本の昔からの風習。
「お流れ頂戴」というやつです。
あ、これは、上の人の盃を頂戴するのだから、逆か。
「献杯」ですね。
いずれにしても、同じ盃で飲めば良いのです。
一見不衛生に見えるこの風習も、やっぱり意味あることなんだな。
こういうことも、もうちょっと勉強しておかなきゃ。
で、私の使っているお猪口にお酒を注ぎ、ビンちゃんのおちょぼ口へ。
ビンちゃん、スーッと一気に飲み干します。
お見事!
というか、私が一気にお口に入れたんですけどね。
てへっ。
「う~ん。美味い。美味いぞ。最高だ」
ありゃりゃ。こりゃあ、大変だ。
いける口らしい。
丁度、給仕のお姉さんが次の料理を運んできてくれました。
「お姉さん、ごめんなさい。お酒、取り敢えず四本追加で」
「え!?」
お姉さん、びっくり仰天。
何度も運んできてもらうのは、ビンちゃんも居るので都合悪い。
その為、お酒はまとめて頼んであります。
今、ここに、お銚子(正確には徳利かな?)が四本。
つまり四合の日本酒。
お姉さんに見えているのは私だけ。
四本追加ということは、一人で八合ということに…。
こりゃまあ、とんだ蟒蛇ですわ。
良いですよ。今更なんと思われようと、構いはしません。
金髪女は底なしです。どんどん追加しますよ!
……結局、ビンちゃんと私でお酒十五本頼んじゃいました。
(三分の二くらいはビンちゃんですよ!)
料理も一人前では足りないから、刺身の盛り合わせと、ノドグロの煮つけと、天ぷら盛り合わせを追加注文し、ご飯もお櫃を空にしてしまいました。
きっと、厨房では噂になっていることでしょう。
化け物だと。
もう、ホントに今更でございます。
なんとでも言ってやってくださいまし。
そして、そして。ビンちゃん、すっごい上機嫌。
一升くらい飲んでホンノリ桜色で済んでるってのも凄いですが、お腹がポッコリ出ているような…。
食べさせ過ぎたかな。
「ハルカよ。お前は素晴らしい。
お前に取り憑けて、私は本当に幸せだ。
体に力が漲ってきている。最高の気分だ。
今なら、あの思兼ジジイでもブッ飛ばせる気がする。
もう、お前を一生、離さぬぞ」
可愛らしい童女が私に抱き着いて、頬をスリスリして来てくれる…。
でも……。
思兼ジジイでもブッ飛ばせる?
もう、お前を一生、離さぬぞ?
そ、それって、超怖い発言なんですけど!!
そう、この子は強力な貧乏神様なのです。
外見の可愛さですっかり忘れていました。
その貧乏神のエース様に、力を得させてしまった…。
私、なんだか、トンデモナイことヤラカシちゃいましたかね……。
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