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富山での御縁

17 つるぎ温泉1

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 積み込んだ石でズッシリ重くなった車に乗り込み、ヒスイ海岸を後にした私たち。ビンちゃんは平気な顔ですが、私は石運びで結構グッタリです。

 向かうは今晩のお宿。
上市町にある、つるぎ温泉の、私の定宿。

 ここのスゴイところは、何と言ってもお湯!
茶褐色というか、黒っぽい色の独特の温泉です。
 湯口で少し泡立ち、それは、まるでコーラの様。
コーラに浸かっているような不思議な気分になります。
…少しヌルッとしたお湯で、滑りますので、要注意。

 あ、あと、料理も凄いんです。
感動的に美味しい!
 元は公の年金施設か何かだったようで、少し古い感じですが、私はその辺りは気になりません。
 富山に泊まるなら、絶対ここと決めている御宿です。

 え? 宿の名前を教えろって?
 ナイショ!
 だって、御客が殺到したら、私が泊まれなくなっちゃうも~ん!

 太鼓演奏のお迎えを受けながら、フロントでチェックイン手続き。
部屋に入り、浴衣に着替え、温泉へレッツゴー!
エレベーターで一階へ。
 あ、ちなみに、フロントがあるのは二階。
玄関入ると二階に着くという、変な作りです。
 私のお部屋は四階ですね。
階段も有りますが、まあ、普通、エレベーター使いますよね。

 でも、ビンちゃん、エレベーターに乗ったの初めてだったようで、目を丸くしていました。
 あ、否、乗ったと言うと、ちょっと違うのかな?
もともと浮遊しているのですから。
 いきなり床が下がって、着いて行くのにタイムラグが出来、驚いたようです。

 大浴場の脱衣室。誰もいない無人状態。
よし、ラッキー!
 いそいそと浴衣を脱いで裸になる私を、ビンちゃん、ジッと見ています。

「改めて見ると、お前、綺麗な肌をしとるな。それに…」

 いやだ、そんなこと言われたの、初めて。
照れるじゃあないですか……。
 でも、「それに…」って、なんですか?

「股の毛も、金色なんだな」

「う、な、ナニ見てるんですか~!」

 私は、サッと両手で股間を隠しました。

 まったく、何を言い出すかと思いきや。
 当り前じゃないですか。髪の毛も眉毛も睫毛も金髪なんです。
アンダーだけ黒かったら変でしょうにっ!

「あ、いや、すまぬ。他意は無い。
キラキラして綺麗だなと思っただけだ」

 う~っ! その「綺麗だ」っての、反則です。
言われ慣れない言葉に、顔が赤くなる……。

 そんな事より、です。
昼間の温泉の時は、ビンちゃんは御湯の周りを浮遊して遊んでいました。
でも、私と一緒なら、ビンちゃんも温泉に入れるかもしれないのです。
私が触れた物であれば、ビンちゃんも触れられるのだから…。

「ねえ、ビンちゃんも、温泉入りましょ!」

「い、いや、私は……」

「なんで? 入ってみたいと思わない? 気持ちイイよ」

「気持ち良いのか?
入れるものなら入ってみたいが…。入れるか?
水は石のようにはいかぬと思うぞ」

「そうかな……。でも、試す価値はあるんじゃない?」

「まあ、そうか…」

「あ、でも、着物……」

 そう、ビンちゃんの赤い着物。
これって脱げるの?

「着物? ああ、これか。こんなものは、問題ない」

 と言ったとたん、ビンちゃんの着物がポンと消えて、あっと言う間にスッポンポン。
 いやだ、人の肌のこと言って、ビンちゃんの方がツルツルのスベスベじゃあないですか。
 やっぱり、お子様姿だから、アソコのヘアは生えてないわね。
当たり前か…。

「こら、何をマジマジ見ておる」

「あ、いや、ビンちゃんの肌こそ、とっても綺麗だな~って」

「やめよ。照れるでは無いか」

 へへ~ん、さっきのお返しですよ。
でも、ちょっと顔を赤くしているビンちゃん、とっても可愛らしい。
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