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富山での御縁
16 不思議な力
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私は、只今、ビンちゃんの「ここ掘れワンワン」で、ヘンチクリンな白っぽい石の捜索中であります。
クタクタになって九個掘り当てて、車に運び込みましたが、ビンちゃんは、更に続けようとします。
でも……、流石にこれは……、もう限界……。
「ビンちゃん、待って…」
私はビンちゃんを引き留めようと、思わず彼女の腕をグッと掴んでしまいました。
腕を掴まれたビンちゃん、ピタッと動きを止めます。
そして、驚愕の表情で、掴んでいる私の手を見ました。
あ、シマッタ! 神様の御腕を掴むなんて、私、なんてことを…。
「ゴメンナサイ!」
慌てて離し、土下座平伏します。
が、ビンちゃんは何も言いません。
恐る恐る顔を上げて、下からビンちゃんの顔を覗き込みますと……。
驚愕の表情のまま、固まっている。
うわ、ヤバイ。これは、かなり怒っている?
「は、ハルカ……。お前、何をした……」
ダメだ…。ヤバイ、やばいよ~! 怒り心頭?!
「ご、ゴメンナサイ~!! 神様の御腕に、何て失礼なことを~!」
「い、イヤ違う。というか、お前、何故、私に触れられる……」
「へ?」
触れられる? 何故?って……。
「お前、見えて聞こえるだけでは無いのか? 私に触れることまで出来るのか?」
「はい? ……あ、ああああああああ!!」
そうです。神様には実体が無い。
触れることなど、出来るはずが無いのです!
でも、私、今、ビンちゃんの腕を掴んだ…。触った!
「え、え~と……。なんか、触れちゃいましたね……」
「これは、これは…。トンデモナイ女に取り憑かされてしまったものだな……。
あのジジイ。知っておったのか?
いや、あいつのことだ。知っておったのだろう」
あちゃ~。『かわいそうな女』とは、よく言われますが、『トンデモナイ女』ですか…。
これは、誉め言葉として受け取らせて頂きまして、よろしいでしょうか……。
「うむ。まあ良い。面白くなりそうだ。それより、ここでのめぼしいモノは次が最後だ。だから、掘れ!」
ワン、ワン! ご主人様、了解であります!
最後ということでしたら、頑張りますワン!
ですが、これがまた……。
掘り当てた物は、今までで一番デカイ。
「ビンちゃん。これ、重くて私だけじゃ運べませんよ。ビンちゃんも手伝って!」
「バカを言うな。私には触れることが出来ないのだ。手伝えることなど、出来るはずが……。あ、いや…、もしかして……」
ビンちゃんは持ち上げようとしている私の手に、自分の手を添えます。
お~っと、石が上がる。
というか、ビンちゃん、小っちゃいのに、すっごい力持ち!
「あ、これは凄いんですけど、ビンちゃん。挟まれている私の手が痛い…。石の端を持ってもらえません?」
手を重ねるのではなく、両端を持った方が安定するし、私の手が痛くない……。
「そうか?しかし、それで私が持てるか?」
試してみると、大丈夫。二人でエッチラ、石を車に運び込みました。
その後、二人で色々パターンを試してみると、次のようなことが分かりました。
まず、私はビンちゃんに触れられる。
ビンちゃんも私に触れられるが、私が視覚か聴覚かでビンちゃんの存在を認識していない状態では、ビンちゃんは私に触れられない。
……つまり、後ろから私にそっと近づいて背後から蹴り入れるなんてマネはできませんよ~ってこと。
あ、声かけながら蹴れば、可能か……。
次、私が直接触れているモノは、ビンちゃんも触れられる。
……これで、一緒に石を運んでくることが出来ました。
そして、私が触れて渡した物は、ビンちゃんは受け取れる。
……但し、これに関しては、効力あるのは三十秒程度の間だけのようです。
三十秒経つと、ビンちゃんの手を通り抜けてボタッと落ちます。
う~ん。何なんでしょうね、この不思議極まりない現象…。この世の理を超えてしまっているような……。
でも、実際に起きていることだから、仕方ないのです。
クタクタになって九個掘り当てて、車に運び込みましたが、ビンちゃんは、更に続けようとします。
でも……、流石にこれは……、もう限界……。
「ビンちゃん、待って…」
私はビンちゃんを引き留めようと、思わず彼女の腕をグッと掴んでしまいました。
腕を掴まれたビンちゃん、ピタッと動きを止めます。
そして、驚愕の表情で、掴んでいる私の手を見ました。
あ、シマッタ! 神様の御腕を掴むなんて、私、なんてことを…。
「ゴメンナサイ!」
慌てて離し、土下座平伏します。
が、ビンちゃんは何も言いません。
恐る恐る顔を上げて、下からビンちゃんの顔を覗き込みますと……。
驚愕の表情のまま、固まっている。
うわ、ヤバイ。これは、かなり怒っている?
「は、ハルカ……。お前、何をした……」
ダメだ…。ヤバイ、やばいよ~! 怒り心頭?!
「ご、ゴメンナサイ~!! 神様の御腕に、何て失礼なことを~!」
「い、イヤ違う。というか、お前、何故、私に触れられる……」
「へ?」
触れられる? 何故?って……。
「お前、見えて聞こえるだけでは無いのか? 私に触れることまで出来るのか?」
「はい? ……あ、ああああああああ!!」
そうです。神様には実体が無い。
触れることなど、出来るはずが無いのです!
でも、私、今、ビンちゃんの腕を掴んだ…。触った!
「え、え~と……。なんか、触れちゃいましたね……」
「これは、これは…。トンデモナイ女に取り憑かされてしまったものだな……。
あのジジイ。知っておったのか?
いや、あいつのことだ。知っておったのだろう」
あちゃ~。『かわいそうな女』とは、よく言われますが、『トンデモナイ女』ですか…。
これは、誉め言葉として受け取らせて頂きまして、よろしいでしょうか……。
「うむ。まあ良い。面白くなりそうだ。それより、ここでのめぼしいモノは次が最後だ。だから、掘れ!」
ワン、ワン! ご主人様、了解であります!
最後ということでしたら、頑張りますワン!
ですが、これがまた……。
掘り当てた物は、今までで一番デカイ。
「ビンちゃん。これ、重くて私だけじゃ運べませんよ。ビンちゃんも手伝って!」
「バカを言うな。私には触れることが出来ないのだ。手伝えることなど、出来るはずが……。あ、いや…、もしかして……」
ビンちゃんは持ち上げようとしている私の手に、自分の手を添えます。
お~っと、石が上がる。
というか、ビンちゃん、小っちゃいのに、すっごい力持ち!
「あ、これは凄いんですけど、ビンちゃん。挟まれている私の手が痛い…。石の端を持ってもらえません?」
手を重ねるのではなく、両端を持った方が安定するし、私の手が痛くない……。
「そうか?しかし、それで私が持てるか?」
試してみると、大丈夫。二人でエッチラ、石を車に運び込みました。
その後、二人で色々パターンを試してみると、次のようなことが分かりました。
まず、私はビンちゃんに触れられる。
ビンちゃんも私に触れられるが、私が視覚か聴覚かでビンちゃんの存在を認識していない状態では、ビンちゃんは私に触れられない。
……つまり、後ろから私にそっと近づいて背後から蹴り入れるなんてマネはできませんよ~ってこと。
あ、声かけながら蹴れば、可能か……。
次、私が直接触れているモノは、ビンちゃんも触れられる。
……これで、一緒に石を運んでくることが出来ました。
そして、私が触れて渡した物は、ビンちゃんは受け取れる。
……但し、これに関しては、効力あるのは三十秒程度の間だけのようです。
三十秒経つと、ビンちゃんの手を通り抜けてボタッと落ちます。
う~ん。何なんでしょうね、この不思議極まりない現象…。この世の理を超えてしまっているような……。
でも、実際に起きていることだから、仕方ないのです。
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