鬼に飼われて生きる少女 ~異世界転移し、鬼と一緒にヒトを食べて生きています~

しんいち

文字の大きさ
28 / 66
鬼の世界へ

28 牧場

しおりを挟む
 翌日は、朝食後に牧場の方へ。
ちょっと気が進みませんけれど、ナユさんに言われましたし、昨日、あんなトンデモグロ体験しました。もう、何でも来いですよ!

 私が一人で行くのを心配して、メイドのキヅハちゃんがついてきてくれています。私が昨日の件でヘソを曲げて、イマさんカリさんの同行を拒否したからです。
 キヅハちゃんは、そんな私を心配してって…、こういうところは鬼さんってホント優しいんですよ。
 でも時々怖がらせて喜ぶのって、絶対やめて欲しいんです!
 人間不信じゃなくて、鬼不信になりますからね。


 牧場に着いて、担当鬼のキヅミさんを紹介されました。
実年齢28歳(見た目は女子高生くらい)の、細身の美人お姉さんです。けど、目つきが鋭い。ちょっとというか、かなり怖い感じ。
 そういえば、鬼さんって、みんな美人揃いですよね。ここが偶々そうなっているだけなんでしょうかね?

「フン。オマエが例のニンゲンか。赤首輪様が何の用だ。憐れな食肉用白首輪を見下しに来たか」

 おおっと、これは、初めての非友好的な雰囲気!
 綺麗なお顔でのキッツイ先制パンチ。これこそ鬼らしいぞ!

「ちょっとお~、キヅミさん。牧場のことも知りたいって言ってるのよ。教えてあげてくださいよ~」

「うるさい。特別扱いかなんか知らないが、ニンゲンの分際でチョロチョロされると迷惑なんだよ」

 え~っと、全く歓迎されてませんね。人間嫌いなの?
 ということは、ここの人たちって、けっこう酷い扱いされているのかも…。
それで殺されてお肉ちゃんって、それは酷いよね。
 ナユさんが言ってたことは、こういうことなのかな?

 で、当のキズミさんは…。

「リューサ様からの指令もあるから、一応説明だけはしてやる。とっとと、ついてこい」

 え、ええ~と、宜しくお願いします・・・。
 キズミさんに続いて、牧場のニンゲンが遠く見渡せるところに来ます。
但し、あくまで遠く…。近寄らせてくれる気は無いみたいです。

「5歳になったメスは、ここに連れてこられる」

 えっと、メスですか…。他のみんなは女って言うのにね。完全家畜扱いなんですね。

「私は特に世話はしない。基本、先輩メスが後輩メスの世話をする。エサも畑を耕して自分たちで自給自足させる」

 え、エサ……。ま、まあ、自給すれば食事代が掛かりませんね。
 でもじゃあ、この鬼さんの仕事は? 逃げないように見張るだけってことかな?

「10歳相当で白首輪をつける。その後、繁殖用の必要数も勘案し、選別して赤首輪にかけ替えられるのもいるが、大抵はその白首輪のままだ」

「えっと、その、10歳相当というのは?」

 ナユさんもその「相当」ってのを言っていました。それほど深く考えていませんでしたが、やっぱり気になってきて訊いてみました。

「こっちに移されると、エサに成長促進剤が混ぜられるからな。成長が1.5倍になる。実年齢は8歳と4カ月だ」

 成長促進剤…。そういえば、それ、イマさんたちから聞きましたよ、前に。

「他の牧場では早く出荷するために3倍くらいにしている所も有ったりするがな。そうすると品質が大分落ちる。普通は2倍くらいが質も効率も良い一番いいところだ。うちは、品質重視だからな。1.5倍に抑えている」

 うへえええ…。とことん食肉家畜としての扱いですね。

「そうだ、オマエ、家畜どもに変なこと教えるなよ。あいつらは何も知らないんだ。
当然自分たちが食用として育てられていることもな。
オマエは家畜どもと同様で人語を話すから、余計なことを吹き込まれると非常に困る。
促進剤も、病気にならない為の薬だって混ぜさせているのだ」

「は、はい、理解しました。余計なことは言いません」

「出荷は、メスの場合はおおよそ15歳相当だな。つまり、実年齢11歳半くらい。
成長具合で前後はするが、ここではそれくらいが殆どだ。
どんなに遅くても20歳相当。実年齢15歳だ。それ過ぎると、価値が下がる」

 男性の白首輪は、12歳で食肉にされるって前に聞きました。
 女性も、実年齢としてはそれくらいで、そうなってしまう運命にある訳です。
 長く生きても15歳までか…。つまり、今の私の年齢で殺されてしまうのです。

 若い女子ばかり、緑あふれる自然の中で和気藹々、楽しそうに畑仕事しています。見た目はとっても平和で、とってものどか。でも…。赤首輪以外は長くて15年の命。そして、誰もそのことを知らずに生きているのです。
 この後、自分たちは殺され、解体されて食用出荷されるだなんて…。

 知らなければ、15年でも幸せかも…。いや、どうなのかな……。
 あと10年生きられて赤ちゃん産める赤首輪の方が良いのかな? その後に赤ちゃんがどうなってゆくのかなんて、みんな知らないんだしね……。

 う~ん。これ、やっぱり、どっちもどっちじゃないんですか?!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

処理中です...