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鬼の世界へ
28 牧場
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翌日は、朝食後に牧場の方へ。
ちょっと気が進みませんけれど、ナユさんに言われましたし、昨日、あんなトンデモグロ体験しました。もう、何でも来いですよ!
私が一人で行くのを心配して、メイドのキヅハちゃんがついてきてくれています。私が昨日の件でヘソを曲げて、イマさんカリさんの同行を拒否したからです。
キヅハちゃんは、そんな私を心配してって…、こういうところは鬼さんってホント優しいんですよ。
でも時々怖がらせて喜ぶのって、絶対やめて欲しいんです!
人間不信じゃなくて、鬼不信になりますからね。
牧場に着いて、担当鬼のキヅミさんを紹介されました。
実年齢28歳(見た目は女子高生くらい)の、細身の美人お姉さんです。けど、目つきが鋭い。ちょっとというか、かなり怖い感じ。
そういえば、鬼さんって、みんな美人揃いですよね。ここが偶々そうなっているだけなんでしょうかね?
「フン。オマエが例のニンゲンか。赤首輪様が何の用だ。憐れな食肉用白首輪を見下しに来たか」
おおっと、これは、初めての非友好的な雰囲気!
綺麗なお顔でのキッツイ先制パンチ。これこそ鬼らしいぞ!
「ちょっとお~、キヅミさん。牧場のことも知りたいって言ってるのよ。教えてあげてくださいよ~」
「うるさい。特別扱いかなんか知らないが、ニンゲンの分際でチョロチョロされると迷惑なんだよ」
え~っと、全く歓迎されてませんね。人間嫌いなの?
ということは、ここの人たちって、けっこう酷い扱いされているのかも…。
それで殺されてお肉ちゃんって、それは酷いよね。
ナユさんが言ってたことは、こういうことなのかな?
で、当のキズミさんは…。
「リューサ様からの指令もあるから、一応説明だけはしてやる。とっとと、ついてこい」
え、ええ~と、宜しくお願いします・・・。
キズミさんに続いて、牧場のニンゲンが遠く見渡せるところに来ます。
但し、あくまで遠く…。近寄らせてくれる気は無いみたいです。
「5歳になったメスは、ここに連れてこられる」
えっと、メスですか…。他のみんなは女って言うのにね。完全家畜扱いなんですね。
「私は特に世話はしない。基本、先輩メスが後輩メスの世話をする。エサも畑を耕して自分たちで自給自足させる」
え、エサ……。ま、まあ、自給すれば食事代が掛かりませんね。
でもじゃあ、この鬼さんの仕事は? 逃げないように見張るだけってことかな?
「10歳相当で白首輪をつける。その後、繁殖用の必要数も勘案し、選別して赤首輪にかけ替えられるのもいるが、大抵はその白首輪のままだ」
「えっと、その、10歳相当というのは?」
ナユさんもその「相当」ってのを言っていました。それほど深く考えていませんでしたが、やっぱり気になってきて訊いてみました。
「こっちに移されると、エサに成長促進剤が混ぜられるからな。成長が1.5倍になる。実年齢は8歳と4カ月だ」
成長促進剤…。そういえば、それ、イマさんたちから聞きましたよ、前に。
「他の牧場では早く出荷するために3倍くらいにしている所も有ったりするがな。そうすると品質が大分落ちる。普通は2倍くらいが質も効率も良い一番いいところだ。うちは、品質重視だからな。1.5倍に抑えている」
うへえええ…。とことん食肉家畜としての扱いですね。
「そうだ、オマエ、家畜どもに変なこと教えるなよ。あいつらは何も知らないんだ。
当然自分たちが食用として育てられていることもな。
オマエは家畜どもと同様で人語を話すから、余計なことを吹き込まれると非常に困る。
促進剤も、病気にならない為の薬だって混ぜさせているのだ」
「は、はい、理解しました。余計なことは言いません」
「出荷は、メスの場合はおおよそ15歳相当だな。つまり、実年齢11歳半くらい。
成長具合で前後はするが、ここではそれくらいが殆どだ。
どんなに遅くても20歳相当。実年齢15歳だ。それ過ぎると、価値が下がる」
男性の白首輪は、12歳で食肉にされるって前に聞きました。
女性も、実年齢としてはそれくらいで、そうなってしまう運命にある訳です。
長く生きても15歳までか…。つまり、今の私の年齢で殺されてしまうのです。
若い女子ばかり、緑あふれる自然の中で和気藹々、楽しそうに畑仕事しています。見た目はとっても平和で、とってものどか。でも…。赤首輪以外は長くて15年の命。そして、誰もそのことを知らずに生きているのです。
この後、自分たちは殺され、解体されて食用出荷されるだなんて…。
知らなければ、15年でも幸せかも…。いや、どうなのかな……。
あと10年生きられて赤ちゃん産める赤首輪の方が良いのかな? その後に赤ちゃんがどうなってゆくのかなんて、みんな知らないんだしね……。
う~ん。これ、やっぱり、どっちもどっちじゃないんですか?!
ちょっと気が進みませんけれど、ナユさんに言われましたし、昨日、あんなトンデモグロ体験しました。もう、何でも来いですよ!
私が一人で行くのを心配して、メイドのキヅハちゃんがついてきてくれています。私が昨日の件でヘソを曲げて、イマさんカリさんの同行を拒否したからです。
キヅハちゃんは、そんな私を心配してって…、こういうところは鬼さんってホント優しいんですよ。
でも時々怖がらせて喜ぶのって、絶対やめて欲しいんです!
人間不信じゃなくて、鬼不信になりますからね。
牧場に着いて、担当鬼のキヅミさんを紹介されました。
実年齢28歳(見た目は女子高生くらい)の、細身の美人お姉さんです。けど、目つきが鋭い。ちょっとというか、かなり怖い感じ。
そういえば、鬼さんって、みんな美人揃いですよね。ここが偶々そうなっているだけなんでしょうかね?
「フン。オマエが例のニンゲンか。赤首輪様が何の用だ。憐れな食肉用白首輪を見下しに来たか」
おおっと、これは、初めての非友好的な雰囲気!
綺麗なお顔でのキッツイ先制パンチ。これこそ鬼らしいぞ!
「ちょっとお~、キヅミさん。牧場のことも知りたいって言ってるのよ。教えてあげてくださいよ~」
「うるさい。特別扱いかなんか知らないが、ニンゲンの分際でチョロチョロされると迷惑なんだよ」
え~っと、全く歓迎されてませんね。人間嫌いなの?
ということは、ここの人たちって、けっこう酷い扱いされているのかも…。
それで殺されてお肉ちゃんって、それは酷いよね。
ナユさんが言ってたことは、こういうことなのかな?
で、当のキズミさんは…。
「リューサ様からの指令もあるから、一応説明だけはしてやる。とっとと、ついてこい」
え、ええ~と、宜しくお願いします・・・。
キズミさんに続いて、牧場のニンゲンが遠く見渡せるところに来ます。
但し、あくまで遠く…。近寄らせてくれる気は無いみたいです。
「5歳になったメスは、ここに連れてこられる」
えっと、メスですか…。他のみんなは女って言うのにね。完全家畜扱いなんですね。
「私は特に世話はしない。基本、先輩メスが後輩メスの世話をする。エサも畑を耕して自分たちで自給自足させる」
え、エサ……。ま、まあ、自給すれば食事代が掛かりませんね。
でもじゃあ、この鬼さんの仕事は? 逃げないように見張るだけってことかな?
「10歳相当で白首輪をつける。その後、繁殖用の必要数も勘案し、選別して赤首輪にかけ替えられるのもいるが、大抵はその白首輪のままだ」
「えっと、その、10歳相当というのは?」
ナユさんもその「相当」ってのを言っていました。それほど深く考えていませんでしたが、やっぱり気になってきて訊いてみました。
「こっちに移されると、エサに成長促進剤が混ぜられるからな。成長が1.5倍になる。実年齢は8歳と4カ月だ」
成長促進剤…。そういえば、それ、イマさんたちから聞きましたよ、前に。
「他の牧場では早く出荷するために3倍くらいにしている所も有ったりするがな。そうすると品質が大分落ちる。普通は2倍くらいが質も効率も良い一番いいところだ。うちは、品質重視だからな。1.5倍に抑えている」
うへえええ…。とことん食肉家畜としての扱いですね。
「そうだ、オマエ、家畜どもに変なこと教えるなよ。あいつらは何も知らないんだ。
当然自分たちが食用として育てられていることもな。
オマエは家畜どもと同様で人語を話すから、余計なことを吹き込まれると非常に困る。
促進剤も、病気にならない為の薬だって混ぜさせているのだ」
「は、はい、理解しました。余計なことは言いません」
「出荷は、メスの場合はおおよそ15歳相当だな。つまり、実年齢11歳半くらい。
成長具合で前後はするが、ここではそれくらいが殆どだ。
どんなに遅くても20歳相当。実年齢15歳だ。それ過ぎると、価値が下がる」
男性の白首輪は、12歳で食肉にされるって前に聞きました。
女性も、実年齢としてはそれくらいで、そうなってしまう運命にある訳です。
長く生きても15歳までか…。つまり、今の私の年齢で殺されてしまうのです。
若い女子ばかり、緑あふれる自然の中で和気藹々、楽しそうに畑仕事しています。見た目はとっても平和で、とってものどか。でも…。赤首輪以外は長くて15年の命。そして、誰もそのことを知らずに生きているのです。
この後、自分たちは殺され、解体されて食用出荷されるだなんて…。
知らなければ、15年でも幸せかも…。いや、どうなのかな……。
あと10年生きられて赤ちゃん産める赤首輪の方が良いのかな? その後に赤ちゃんがどうなってゆくのかなんて、みんな知らないんだしね……。
う~ん。これ、やっぱり、どっちもどっちじゃないんですか?!
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