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鬼の世界へ

22 赤首輪が良いです!

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 その晩。夕ご飯のあと。リューサさんが私に言いました。

「美玖。あなた、昨日、赤首輪の意味を聞いたのよね」

「は、はい……」

 え、え~っと、私、余計なことを知っちゃったのかな?
リューサさん、もしかして、怒ってる?

「そう。知ってしまったのね……。どう? 子供産むの、嫌?」

「えっ……。そ、それは……」

 女としては、やっぱり将来的には子供は欲しいですよ。
でもこの世界では人間は食用動物。私の産んだ子がどうなってしまうのか考えると、怖いんです。

「あなたが嫌なら、首輪の色、変えて上げても良いのよ」

 へええっ!!

 ……首輪の色を変える。
 黒は労働者で男性だけ。つまり、女の私は、赤じゃなければ白! それは、食肉用……。

「い、嫌です! 私、赤が良いです。赤のままにしてください!!」

 脇に控えているイマさんとカリさんが不安そうな顔で私とリューサさんを見比べます。
そう、この二人。私の味方をしてくれると言ってくれていますが、あくまで私は二番目。リューサさんには逆らえないのです。
 リューサさん、そんなイマさんとカリさんの表情もチラッと見た上で改めて私の方を向き、ニカッと笑います。

「そっか~。赤が良いなんて、美玖は繁殖したいのね~。そっか、そっか~。
普通の赤首輪女子はね、18歳相当から出産を開始するのよ~。その数日前に処女膜を除去してね、繁殖行為のための勉強をさせるの~。
あなた、昨日、処女膜完全除去したよね~。だから、まだ15歳だけど、いつでも繁殖できるよね~。
じゃあ早速、明日はナユのところで繁殖行為の勉強して来てね~」

 そ、そんな……。私、もう子どもを産ませられるの??
 でも、嫌だと言えば、白首輪でお肉ちゃんにされる!

「イサダクチマオ、マサジルア!」
「スマイモオトイヤハダマ、ハクションハ、ハニジョノカ」

 イマさんカリさん、何て言ったの?
意を決して間に入ってくれたって感じですが…。

「キルスンケイニシタワ。ニナ!」

 リューサさんの怖い一声とキツイ一睨みで「ヒイッ!」って言って、黙っちゃいました。
 仕方ありません。お二人にも立場があるのです。

 明日はナユさんのところで「繁殖行為の勉強」……。それが済んだら、多分すぐに繁殖…。つまり、初めてのセックスです。それも、全然知らない男との…。


 翌日、私は再度、ナユさんのところへ向かいます。イマさんとカリさんも同行すると申し出てくれましたが、お断りしました。
だって、「こうなったのはナユの所為だ。あの淫乱ド変態、絶対に許さない」とか「メッタメタのボッコボコに叩きのめす」とか、怖いコト言うんですもん。
大変なことになっちゃいそうで、一緒には行けませんよ! 絶対、ついてきちゃ、ダメですよ!

 そうして、恐る恐る診察室に入ると…。

「美玖ちゃん、ゴメンね~。さっき、双子が怒鳴り込んできたのよ~。処女膜完全除去なんかするからだって…。
中途半端になってたからさ、取っちゃった方が良いと思ったんだけどね。ホント、ゴメン」

 うわ、イマさんカリさん、いつの間に…。私がお手洗いに行っている隙に来たな。素早いな。

「えっと、その二人は?」

「あ、ああ、すぐにあなたが来るからって言って、騒ぐだけ騒いで急いで逃げて行った」

 よかった、暴力行為には及んでないみたいね……。

「とにかく、ホントにゴメン」

「大丈夫です。どのみち、赤首輪の私は、しなければならないことなんですよね。ちょっと早くなっただけですから」

 もう、覚悟決めました。この世界で生きてゆかなければならないのです。リューサさんの言う通りにするしかありません。

「そっか~。美玖は肝が据わってるね。嫌いじゃないよ、そういうの。私も、出来る限り力になるからね」

 味方が増えるのは有難いことです。よろしくお願いいたします。
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