鬼に飼われて生きる少女 ~異世界転移し、鬼と一緒にヒトを食べて生きています~

しんいち

文字の大きさ
9 / 66
鬼の世界へ

9 お風呂と、夜…

しおりを挟む
 食事の後に案内されたのは、別棟のお風呂場。温泉なんですって。
清掃中以外は、いつでも入って良いということです。
 広い浴槽に、無色透明だけどトロッとした上等なお湯。湯加減も丁度よく、最高です。

 異世界に迷い込んで、温泉入り放題。食事もキチンと用意してもらえる。
至れり尽くせりです。こんな好待遇、普通はあり得ませんよね。
 だから、その食事の内容に文句なんかつけちゃダメ。バチが当たります。ありがたく頂戴するのが礼儀です。
 それに…。よくよく思い出してみますとですね、リューサさんってば、一言もあれが「人肉だ」って言っていないんですよね。最高肉だとか、15歳の女の子とは言ってましたけど。
 もしかして、やっぱり違うのかもしれませんよ。羊の15歳の女の子とか!
 そうか、それよ! あれは15歳の雌の羊!

 ・・・。

 あ、なんか、虚しくなってきましたね。
 そんなはず無いです。テレビの動物番組で少し前に見ましたよ。
確か、羊の寿命って10年ちょっとです。15年も生きないし、超長生き羊だったとしても、そんなの硬くて臭くて食べられませんよ。
 牛にしたって寿命は同じくらいのはずです。あり得ません。

 もう良いです。認めましょうよ。私は食べてしまったのですよ。同年のニンゲンの若い女の子を。
で、その肉は案外美味しかったってことなんですよ。

 そう言えば、たしか、社会科の先生に薦められて読んだ『古事記』に書いてありましたね。こんなような話が…。あ、いや、人肉を食べる話じゃないんですけどね。
 元々、「日本の神話って結構エロくって面白いから読んでみな」ってことでした。
国を産むのに男神と女神が性器を合わせあうとか、アメノウズメノミコトがオッパイ出して陰部もみせて裸踊りしたりとか、そんな話が書いてあるんだなんて…。
 そんなこと言われましたらですね、そういうことが気になるお年頃ですもん。読みますよね。興味湧かないはず無いじゃないですか!(あ、社会科の先生、女ですよ)
 で、それに書いてあったのが「ヨモツヘグイ」。

 イザナミノミコトが火の神を産んで陰部に大火傷して死んでしまいました。(ここでも陰部が出てくるのよね……)
 それを悲しんだ夫のイザナギノミコト、黄泉よみの国(死者の国)へ妻を連れ戻しに行きます。
 だけど、イザナミノミコトは「ヨモツヘグイ」をした後で、もう帰れない。どういうことかというと、黄泉の国の食べ物を食べてしまったということ……。
 黄泉の食べ物を口にしてしまえば、もう、元の世界には戻れないというのです。

 私がしたのは、まさにこの「ヨモツヘグイ」ですよね……。

 ここは、一歩間違えば私があのステーキになっていても何の不思議もない世界なんです。
 リューサさんの御機嫌を損ねれば、私もあんなステーキになってしまうのです。
 この世界では、この世界のルールに従って生きていくしか無いんです。
 この世界では、アレは高級で美味しい食べ物なのです。

 だから、私がアレを食べたのは、悪いことじゃないですよね。
 仕方ないじゃないですか。
 この世界の当り前…。
 そう、当り前……。

 私は、悪いことはしていません。当たり前のことをしただけです。

 だけど……。

 人肉食という「ヨモツヘグイ」をしてしまった私は、この異界の仲間入り……。
 これで私も、完全に、この世界の住人……。

 私は、もう元の世界には戻れなくなったのです。




 物思いにふけってしまい、長湯してしまいました。
 待っていてくれたイマさんとカリさんに、離れの寝室へ案内されました。来客用寝室みたいです。
 取り敢えずのところ、今日はここで寝るようにということでした。


 深夜…。何だか目が覚めてしまって、横になったまま眼鏡をかけました。
部屋には常夜灯のホンノリの灯りがありますので、真っ暗ではありません。
 と、突然、入口の戸がスーッと開きます。

 へえっ、なに?!

 音もなくサッと入ってきたのは、イマさんとカリさん。大人っぽいネグリジェ姿。
でも、それをスッと脱いで、裸になります……。

 な…、なに、なに、なに!!

 余りのことに、横になったまま呆然としていた私。二人はササッと、私の寝ているベッドに侵入してきました!

「起きてるのか」
「静かにしろ」

 二人とも女の子だけども引き締まった筋肉質の体。
でも、膨らむところはキッチリ膨らんだ、カッコイイ女子アスリート体型。
 その引き締まった裸体が両側から私に押し付けられます。

 あっと言う間に私の着物が剥ぎ取られちゃいます。
この和服様の着物、脱ぐのに便利。あ、そういうことか。食材として処理するときに脱がせやすいから、こういうのを着せてるんだ……。

 うっ、処理…? 私、もしかして、これから『食肉処理』される?!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

処理中です...