6 / 66
鬼の世界へ
6 赤首輪と夕食
しおりを挟む
その後の話によりますと、食肉にする人間は、12~20歳ころが一番美味しいのだそうです。特に商品価値が高いのは女で、男より美味しいとのこと。さらに、本当は飼育品よりも天然モノが断然美味いんですって。
ちなみに、人間界に行って人間を狩ってくることは固く禁じられていますが、迷い込んできた人間は食べても良いのだそうです。
そういう迷い込んだのが、天然モノってことなんですね。
えっと、私は今、15歳です…。オマケに女……。
リューサさんも言っていましたけど、まさに美味しそうな食べ時なんですよね。
更には、貴重な天然モノってことじゃない!
となると、赤首輪は、天然モノの極上肉って意味?
特別に扱って超高級肉として売るってことなの?
いやいや、でも飼育されていた人にも少数ですが赤首輪がありましたよ。
おかしいよね。あの中の人間は、全てこの異界で産まれた者だって、確か言っていましたよね。念のため、双子さんに再度確認してみますと、それに関しては間違いないとのこと。
それにリューサさんは、私は食べないと明言してくれています。
ということは、食肉とは別の区分ってことですよね。
じゃあ、どういうことなんでしょう?
食肉用でも、労働力でもない…。その他……。う~ん…。
あ、もしかすると、愛玩動物用だったりとか?
ほら、人間でも、ミニ豚とかをペットとして飼ってる人いるでしょう。あんな感じかも。
食肉用に交じっている赤首輪の子は、特に可愛い子だったよ。だから、この候補なのかもしれない。
私はリューサさんのお屋敷内で生活することになるって言われています。つまり、リューサさんのペット扱い。
で、あの混じっている牧場の赤首輪の子は、愛玩動物して販売予定ということなんじゃない? きっと、そうよ!
そういうことなら、嫌われないように精一杯尽くさなければなりませんね。
でないと、待っている運命は、白首輪に付け替えられて、高級お肉ちゃん……。
そんなの、絶対、ぜ~ったい、嫌ですよ~!!
夕ご飯……。
食堂には大きな机。だけど、席は二つだけ。
リューサさんが先に坐り、私も席に着くよう促されます。イマさんカリさんは一緒には食べないようです。従者だからですかね。
じゃあ、私は同席させてもらってよいのかな。ペット(なのかな?)の分際で…。
どうしても落ち着かなく、迷いましたが直接聞いてみることにします。
「あ、あの、私だけこんな待遇してもらっちゃって、良いのでしょうか?」
「ふふふ~っ。オーケーよ~。だ~って~、あなたは希少な天然モノなのよ~。天然モノは自由にしていなきゃね~。同じように飼育シチャッタら~、天然モノとしての価値が落ちちゃうじゃな~い」
え、えええ~!
そ、それって、やっぱり最後は食べるの前提発言に聞こえますけど?!
う、うう~ん。でも、この語尾を延ばす話し方…。私を怖がらせて面白がっている風でもあるし、真意はよく分かんないな……。
リューサさんは続けます。
「だからね、ここの塀で囲まれている部分内だったら、あなたは自由に行動しても良いわよ。
但し、塀の外は絶対ダメ。あっと言う間に河童に捕獲されて食べられちゃうからね」
今度は語尾を延ばさない。ということは、真面目な話ですね。
「それから、中に居る時も、なるべくその区域担当の鬼の近くに居なさい。念の為ね。
特に農場は、別の意味で襲われる可能性もあるからね」
「え? 別の意味?」
「そう、別の意味でね。まあ、ナユがシッカリ統制とってるから、めったなことは無いはずだけどね。そうなったらそうなったでも、構わないと言えば構わないし…。まあ、念の為ヨ。
さあ、もういいでしょ。食事にしましょう」
ナユ? そうなったらそうなったでも構わない?
いや、襲われて構わないなんて、冗談じゃないんですけど……。
疑問点は多々ありますが、この場では、このお話は打ち切りになってしまいました。
食事の給仕はイマさんカリさんがしてくれます。いつもはメイド鬼ちゃんの仕事のようですが、今日は特別ということです。
ナイフとフォークが置かれ、洋食スタイルみたいです。が、箸も用意されました。
「使いやすい方で食べて良いわよ。何にも遠慮はしなくてよいからね」
リューサさんのお言葉。
そうは言われてもですね。これ、明らかに試されていますよね。
だって、リューサさん、興味深そうに私の手元を見てきますもん!
リューサさんには箸は用意されない。じゃあ、私もナイフとフォークにした方が良いですよね。慣れてはいませんけど、一応作法は知っていますからね。
あ、だけども、こっちの世界の作法と、向こうの作法が同じとは限りません。
であるのなら、箸という選択もありなのかな…。
困ったぞ。どうしよう……。
まあ、いいや。気にしすぎると余計に混乱しちゃいます。
迷いながらも、「郷に入れば郷に従え」ってことで、結局ナイフとフォークを使うことにした私。箸は横へ除けます。
そんな私の心の葛藤もリューサさんは見透かすように、ニヤッと笑います。
前に置かれたのはサラダ。茹でたブロッコリーと生野菜です。この世界ではサラダからという順番のようですね。
リューサさんは目を閉じて合掌し、唱えます。
「スマキダタイ、シシャンカ ニミグメノンテ。
天の恵みに感謝し、頂きます」
食事前の感謝の言葉? あ、私も言わなきゃね。
同じように言えばよいかな?
でも、前半の意味わかんなかったし、覚えきれなかった。
じゃあ、私なりに、ちょっとアレンジして……。
手を合わせ、目を閉じて、
「天の恵みと偉大なるリューサさんの御慈悲に感謝し、頂きます」
目を開け、チラッとリューサさんを見ると、またニヤッと笑っています。
なんだか自分でも恥ずかしくなって目を逸らしました。
ちなみに、人間界に行って人間を狩ってくることは固く禁じられていますが、迷い込んできた人間は食べても良いのだそうです。
そういう迷い込んだのが、天然モノってことなんですね。
えっと、私は今、15歳です…。オマケに女……。
リューサさんも言っていましたけど、まさに美味しそうな食べ時なんですよね。
更には、貴重な天然モノってことじゃない!
となると、赤首輪は、天然モノの極上肉って意味?
特別に扱って超高級肉として売るってことなの?
いやいや、でも飼育されていた人にも少数ですが赤首輪がありましたよ。
おかしいよね。あの中の人間は、全てこの異界で産まれた者だって、確か言っていましたよね。念のため、双子さんに再度確認してみますと、それに関しては間違いないとのこと。
それにリューサさんは、私は食べないと明言してくれています。
ということは、食肉とは別の区分ってことですよね。
じゃあ、どういうことなんでしょう?
食肉用でも、労働力でもない…。その他……。う~ん…。
あ、もしかすると、愛玩動物用だったりとか?
ほら、人間でも、ミニ豚とかをペットとして飼ってる人いるでしょう。あんな感じかも。
食肉用に交じっている赤首輪の子は、特に可愛い子だったよ。だから、この候補なのかもしれない。
私はリューサさんのお屋敷内で生活することになるって言われています。つまり、リューサさんのペット扱い。
で、あの混じっている牧場の赤首輪の子は、愛玩動物して販売予定ということなんじゃない? きっと、そうよ!
そういうことなら、嫌われないように精一杯尽くさなければなりませんね。
でないと、待っている運命は、白首輪に付け替えられて、高級お肉ちゃん……。
そんなの、絶対、ぜ~ったい、嫌ですよ~!!
夕ご飯……。
食堂には大きな机。だけど、席は二つだけ。
リューサさんが先に坐り、私も席に着くよう促されます。イマさんカリさんは一緒には食べないようです。従者だからですかね。
じゃあ、私は同席させてもらってよいのかな。ペット(なのかな?)の分際で…。
どうしても落ち着かなく、迷いましたが直接聞いてみることにします。
「あ、あの、私だけこんな待遇してもらっちゃって、良いのでしょうか?」
「ふふふ~っ。オーケーよ~。だ~って~、あなたは希少な天然モノなのよ~。天然モノは自由にしていなきゃね~。同じように飼育シチャッタら~、天然モノとしての価値が落ちちゃうじゃな~い」
え、えええ~!
そ、それって、やっぱり最後は食べるの前提発言に聞こえますけど?!
う、うう~ん。でも、この語尾を延ばす話し方…。私を怖がらせて面白がっている風でもあるし、真意はよく分かんないな……。
リューサさんは続けます。
「だからね、ここの塀で囲まれている部分内だったら、あなたは自由に行動しても良いわよ。
但し、塀の外は絶対ダメ。あっと言う間に河童に捕獲されて食べられちゃうからね」
今度は語尾を延ばさない。ということは、真面目な話ですね。
「それから、中に居る時も、なるべくその区域担当の鬼の近くに居なさい。念の為ね。
特に農場は、別の意味で襲われる可能性もあるからね」
「え? 別の意味?」
「そう、別の意味でね。まあ、ナユがシッカリ統制とってるから、めったなことは無いはずだけどね。そうなったらそうなったでも、構わないと言えば構わないし…。まあ、念の為ヨ。
さあ、もういいでしょ。食事にしましょう」
ナユ? そうなったらそうなったでも構わない?
いや、襲われて構わないなんて、冗談じゃないんですけど……。
疑問点は多々ありますが、この場では、このお話は打ち切りになってしまいました。
食事の給仕はイマさんカリさんがしてくれます。いつもはメイド鬼ちゃんの仕事のようですが、今日は特別ということです。
ナイフとフォークが置かれ、洋食スタイルみたいです。が、箸も用意されました。
「使いやすい方で食べて良いわよ。何にも遠慮はしなくてよいからね」
リューサさんのお言葉。
そうは言われてもですね。これ、明らかに試されていますよね。
だって、リューサさん、興味深そうに私の手元を見てきますもん!
リューサさんには箸は用意されない。じゃあ、私もナイフとフォークにした方が良いですよね。慣れてはいませんけど、一応作法は知っていますからね。
あ、だけども、こっちの世界の作法と、向こうの作法が同じとは限りません。
であるのなら、箸という選択もありなのかな…。
困ったぞ。どうしよう……。
まあ、いいや。気にしすぎると余計に混乱しちゃいます。
迷いながらも、「郷に入れば郷に従え」ってことで、結局ナイフとフォークを使うことにした私。箸は横へ除けます。
そんな私の心の葛藤もリューサさんは見透かすように、ニヤッと笑います。
前に置かれたのはサラダ。茹でたブロッコリーと生野菜です。この世界ではサラダからという順番のようですね。
リューサさんは目を閉じて合掌し、唱えます。
「スマキダタイ、シシャンカ ニミグメノンテ。
天の恵みに感謝し、頂きます」
食事前の感謝の言葉? あ、私も言わなきゃね。
同じように言えばよいかな?
でも、前半の意味わかんなかったし、覚えきれなかった。
じゃあ、私なりに、ちょっとアレンジして……。
手を合わせ、目を閉じて、
「天の恵みと偉大なるリューサさんの御慈悲に感謝し、頂きます」
目を開け、チラッとリューサさんを見ると、またニヤッと笑っています。
なんだか自分でも恥ずかしくなって目を逸らしました。
1
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる