巻き込まれ召喚娘の大逆転！？ 外伝 ～生贄巫女のハナ～

7 私、屠殺されます

　生贄としての私の屠殺、これから執行です。
　今から私は、命を絶たれるのです。

　ここからは、ユナに見せてもらった通りですね。裸のままで屠殺台に乗りますと、同僚巫女たちによって、足首にロープが縛り付けられます。
　ああ、泣いてくれている同僚もいます。中央神殿での勤務は短い間だったけど、お世話になりました。
　私は王国の為に自らの命を捧げるのです。これは名誉なこと。だから、泣かないで、笑って見送ってくださいな。

　衛兵長も刀を抜いてスタンバイ。練習の時よりも落ち着いているように見えます。
　ユナで練習したお陰かも。彼女に感謝ですね。あれが無ければ、間違いなく私は悲惨なことになっていたでしょう。

　さて、まず自分でお腹を切らなければなりません。
　ユナは言っていました。素早く切って、即刻首を落としてもらった方が楽だって。
　長く苦しみたくありません。手早く、素早く！

「いきます！」

　両手で刃物をシッカリ持ち、左下腹へ当てて・・・、ツプッと突き刺します！
　硬く冷たい刃物がお腹の皮膚をズブッと貫く。
　痛い！　物凄く痛い！　想像以上です！！
　でも、止めちゃダメ。早くしないと、いつまでも辛いだけなんです。一気に右横へとお腹を切り開きます。

「ふうううううう～！！」

　き、切れた・・・。

　ザックリ切れた傷口の中に右手を突っ込むと、更に耐えがたい激痛！
　でも、止めちゃダメ。急いだ方が楽なんだから！

　お腹の中、とっても温かい。それにグニョグニョグニュグニュした変な感触の物がいっぱい詰まっている。
　これは、あの腸よね。浣腸で全て綺麗に清められているはずだけど。グロいから、腸は出さないように、傷付けないように・・・。

　自分の体のことです。生殖器官が何処にあるかは見当が付きます。女の子の大事な部分＝アソコの先に有るはずなのです。
　手に触れた、丸い肉塊。引っ張ってみると、アソコが中へ引き込まれる感じ・・・。
　これよね。
　しっかり握り、グッと外へ引き出します。
　ううっ、キモチワルイ。洋ナシ形をした塊。左右には丸い玉が付いてる。これが私の生殖器で間違いない。
　アソコと繋がっている管も付けて摘出するようにって指示でした。左手の刃物をお腹の中へ入れて、管の根元でサクッと切り取ります。

　うわ、血で真っ赤だ。早くしないと、儀式で使う大切な血が外に漏れちゃう。
　取り出した生殖器と刃物を台に置き、すぐ四つん這い。そして首を差し出すようにして、そのまま…、

「お願いします」

　衛兵長さんからの答えは

「斬ります！」

　その言葉が終わると即座に、首に強い衝撃と痛み。
　ああ、景色が回る。
　私の首、一息で切断されたのですね。上手く斬ってもらえてよかった・・・。

　あうっ、また衝撃。頭が床に落ちたのです。
　なるほど、痺れた感じって、こういうことか。確かにそれ程痛くはなくなったけど…、気分は良くないよ。

　ユナ、普通はすぐに意識なくなるだろうって言ってましたが、やっぱり私も意識あります。ああ、頭部が無くなっちゃった自分の体が見える。
　あ～、ユナと同じね。激しく痙攣して、首の切断面から血を噴き出してるね。
　気味の悪い臓物は、お腹から零こぼれていない。おしっこもウンチも漏らしていない。
　私は、上手く屠殺してもらえました。成功ですね。よかった。

　奇妙な痙攣を続ける私の首無し胴体は、逆さに吊り下げられます。
　切断面からドクドク流れ出る大量の血が、容器に受けられます。
　あの血は儀式に使われますから、全部残さず体から抜き取られてしまうのです。

　あれ、私、持ち上げられるよ。
　向きが変えられた。
　私の頭部を拾ってくれたのは・・・。ラーラさんだ。

　ラーラさん、色々お世話になりました。有難うございました。
　御礼を言いたいけど、頭だけになっちゃうと声は出せないね…。

　自分の顔近くに私の頭を近づけたラーラさん。
　うん？　どうしたの？

「ゴメン。ホントにゴメンね、ハナちゃん。許してね」

　周りに聞こえないくらいの囁ささやき声。
　え？何で謝るの？　許すって何を？？

　ラーラさんをよく見ようとしたからか、目の焦点がうまく合わなくなってしまいました。ボヤ～っとしか見えなくなっちゃった。でも、音の方はシッカリ聞こえます。

　ゴメンって何が？　何を許すの？
　私は、あなたに感謝しかありませんよ。