女子切腹同好会 ～４完結編～

1 今から、赤ちゃん産みます！

「ひい～！　う、ううう・・・、ああああ～。　い、い・・・、痛いよおぉ・・・」

・　・　・。

「ひっ…、　ひっ…、　ふううー。　・・・。　ひ、ひっ…、　ひっ…、　ふうううー」

・　・　・。

「う、うあっ、・・・。　あっ、ああああ～！！」

・　・　・　・　・　。



　こんにちは。新瀬有香、高校を中途退学しちゃった17歳の女子です。

　突然ですが、私、今から・・・、

　出産します！！


　ここはI市中央にポツンと聳える小山の頂上にある、宗教団体「樹神奉寧団」本部の儀式殿内。
私は何だか分かんないことに巻き込まれて、この教団の斎巫きのかんなぎ兼教主になっちゃいました。
　つまり、教団トップであり、神を宿す存在として崇められる身なのであります。

　私は、この体に宿している鬼神様の望みのまま・・・、前教主と毎日ひたすらセックスに励み、『鬼神様の子』を妊娠しました。
　鬼神様の子は、優れた神通力を持って生まれてくる人類の進化した存在。その子を産み、育て、増やし、劣った旧人類を駆逐するのが、鬼神様の目指す未来であり且つ私の使命であるのです。
　無事に妊娠を果たした私。出産阻止の為に私の首を斬り落とそうとした親友の百合をも殺し、その心臓ばかりか彼女の全ての内臓・肉をも食らってしまいました。
　こうなれば、もう後になんか絶対引けませんよ。

　鬼神様の子は通常とは違い、約8か月で生まれてくるとのこと。そして今日がその8か月目。出産予定日です。
　日が変わると同時頃、お腹が痛くなって目が覚めました。陣痛の始まりです。
　夜明け頃に、破水。股間から羊水がタラタラ流れ出ます。

　私から生まれるのは、神聖なる鬼神様の子。普通の人間ではない“新人類”。病院での出産というわけにはゆきませんので、本部儀式殿の毎日セックスしていた部屋が産室となりました。
　産科の医師は、市立病院からの派遣。この病院は、市立であっても教団の息のかかった病院なんですね。院長が供物や生贄を準備する『調達部』の部長で、教団有力幹部の一人ですからね。

　派遣されてきた先生は、若くて綺麗な女性でした。
　３０代前半くらいに見えるけども、産科部長なんですって。院長も見た目は３０代半ばのソコソコ美人。この病院は女医が多くて、更にその上美人ぞろい？？
　まあ、見た目通りの年齢とは限らないというのが、ミソだけどね。「オサガリ」を頂いていると、若さが保たれて老けないから。実年齢が見た目とカナリ違うってことが多々あるのよね。
　鬼神様の、不老の恩恵なんです……。

　この綺麗な女医さん一人で私の子を取り上げてくれるそうで、看護師は付きません。
　助手無しって、ちょっと不安ですが、産まれるのは普通の子じゃないし、私は未成年だからね。あまり他人に見せられない。仕方ないね。

　そんなことよりもです。とにかく痛いんですよ！！
　もう陣痛が始まってから、かなり経っています。収まったり痛くなったりを繰り返し、その間隔が短くなって、もう出てきそう！！
　出産って、こんなに大変だったんですね。刃物でお腹刺されて内臓グチャグチャにされたことありましたけども、あんな感じの痛みが、股間に続く。股がビリって裂けちゃいそう。私のお腹の中に居る赤ちゃんが、これから出てくるんだもんね。

　でも、苦しいのは私だけでなく、赤ちゃんの方も同じなんだそうです。狭いところを通って出てこなきゃいけないからね。
　私も頑張るから、早く出てきてねっ。
　ちょっともう、これ以上長引くと、私、ホントに死んじゃいそうなくらい痛いのよぉ～。お願いだから、早く出てきてよぉ・・・。


　出産時にウンチを漏らしちゃうことって、よくあるそうです。思いっきり息むからね。一緒にプリッて出ちゃうんだよね。
　ですので、事前に下剤を浣腸されました。
　ああ、あの腸内洗浄に使った注射器型のデッカイのじゃないですよ。普通のイチジク浣腸です。そして大腸内のモノは全て排泄済み…。
　今の私は下半身丸出しで、準備された分娩台に乗って股を全開御開帳状態。
　下腹はボコンと大きく膨らんでいますよ。胎児が入っていますからね。
　赤ちゃんは元気に育っていて普通より少し大きくなっているって、それ、産むの大変ってことですよね。もう、不安しかありませんよぉ・・・。

　子宮口は、既に開いているとのこと。それが更に大きく、グワグワ開いてくるというか、中から押し広げられてくるのが分かります。
　そこからジワジワと、赤ちゃんの頭が出てくる。

　あああ・・・。痛いよ。

　ううう、痛い、痛い、痛い・・・。

　私の狭い膣が産道として大きく大きく広がり、そこをゆっくりゆっくり赤ちゃんが通ってくる。

　ふうううう～。う、ううううううう～！

　ああ、出てくる・・・。赤ちゃんが私の膣を通り・・・、お股の穴『膣口』から出てくる～。

　ふううううううう～！

　う、産まれる～！

　ふうううううううう～！！

　う・・・、出た！

　はあ、はあ、はあ、はあ・・・。
　やっと痛みから解放された・・・。

　さあ、元気な産声を上げて頂戴、私の赤ちゃん。あなたの名前はもう決まっている。「百合」よ。
　私の可愛い赤ちゃん、「百合」！

　あ、あれ？　産声が・・・聞こえないね。なんで？？

　産まれてくれば「オギャー」と元気な産声上げ、私と繋がっている臍の緒の処理がなされて、私から完全分離。新たな生命の誕生、おめでとう！・・・となるはず。
　私はもう力尽きて、汗びっしょりで、グッタリヘロヘロ状態。それでも僅かに残った力を振り絞り、体を動かし、股間の方を見る。

　私の赤ちゃん・・・。
　血まみれだ。これ、私からの出血だよね。

　い、いや・・・、　く、首がない・・・。
　小さく赤い胴体の先は・・・切断面？　血を噴いている・・・。
　首が斬られ、斬り落とされた小さな頭部は、刃物で更にまっぷたつにされた。胴体はピクピク痙攣し、血を噴いている・・・。

　赤ちゃんが・・・。　私の赤ちゃんが・・・。　斬殺された？！

「い、イヤ～！！」

　すぐにドアが開き、女性警備員が２人駆け込んできた。出産の呻きとは違う私の絶叫を聞き、異変を察知して飛び込んできたのです。
　犯人の女医は即刻取り押さえられ、連行されます。私の赤ちゃんは・・・、動かない。
　治さなきゃ。治してあげなきゃ！
　必死に体を起こし、両手をかざす。治れと念じる。
　私は自身の傷を治せるのです。赤ちゃんの胴体はまだ、臍の緒で私と繋がった状態でもあります。だったら治せるんじゃない？！
　が・・・、首を切断され、頭を割られている。これは即死。
　完全に死んでいる。……治せない。
　死んでしまった者を生き返らせることなんて、不可能なのです。

　私の赤ちゃん・・・、死んじゃった。

　殺されちゃった。

　産まれると同時に、産声を上げることさえ許されずに・・・。

　親友百合を殺して食べてまで産んだ、私の大切な赤ちゃん・・・。
　ああ、なんてこと。これでは親友の死は、全くの無駄・・・。
　ヒドイよ。ヒドイよ・・・。
　なんで、こんな酷いコトするのよ・・・。

　私はボロボロ泣きながら・・・、大慌てで駆け付けてきた３人の秘書に介助してもらい、子宮内に残った胎盤の排出を終えました。