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42 またまた、麗しき戦闘狂

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 さあ、作戦開始。
 まずは、敵を国境まで押し返して一旦引き上げて来た英雄、ストンヒル侯爵を呼び出しました。
 あ、父上が今回の戦闘で命を落とし、正式に爵位を継いで侯爵になっています『麗しき戦闘狂』レンカ・ストンヒルさんです。

 場所は、王城の謁見の間。
 女王代理として玉座に坐ることも許されていますが、やっぱりちょっと気が引けて、別の簡素な椅子を玉座前に置いて坐っています、私・・・。
 悪かったわね、小心者ですよ。なんか、文句ある?!

 私の前に進み出て来て跪く、若き女性侯爵レンカ・ストンヒルさん。
 軍服姿ですが謁見用の華麗な物で、汚れの無いパリッとした衣装は凛々しくカッコイイ。…彼女の美しさが際立っています。
 ヤッパリこの人ってば、超絶的美人だわ。

 でも・・・。

 彼女、なんか、悲壮感漂いまくりの顔してませんか?
 もう少し血色良い御顔だったと思うけど、色白になったというより、血の気の引いた青いような肌色で、生気が薄くドヨ~ンとした感じ・・・。
 まるで、引き立てられてきた処刑直前の重罪人の様です。

 御父上を戦闘で亡くし、部下も大勢失っているからかな?
 それにしても、ここは王城の謁見の間よ。
 見事に敵を追い散らしての凱旋なんだから、もう少し堂々としてればよいのにね。

「お目に掛かれて光栄でございます、女王代理閣下。私、以前は閣下に大変な仕打ちを…。誠に申し訳ありません。どのような罰であっても、謹んでお受けいたします。磔でも、串刺しでも、牛裂きでも、お気の済むままに・・・」

 へっ?? 仕打ち? 罰?

 あ・・・、前に、私を殺人実験台にしたことかあ。
 そんなの全く気にしてないよ。

「罰だなんてトンデモありません。あの時は、私は奴隷だった訳で、そんな私に気さくに色々なことを話してくれたあなたに、私自身は悪い印象なんてありませんよ。他ではもっと酷い扱いされてましたからね」

 あの時は奴隷…だなんて、今でも奴隷なんですけどね。
 但し今は、女王の代理を任されてますから、その間だけ女王の権限を行使できるというだけです。

「お、お許し頂けるので?」

「許すも許さないもありませんってば。何の罪も罰もありませんよ」

 あの時の奴隷が、女王代理になったという信じられない知らせ。更に、その女王代理から、急いで出頭するようにと王城へ呼び出された…。
 過去の報復で処罰されるのだろうと、ビクビクしながら出て来ていたのですね。
 それこそ、裸に剥かれて、串刺しの公開処刑にでもされるかもって・・・。

 怖がらせて悪いことしちゃったな。
 こんな美人で、気さくで、更には武勇にも秀でているって稀有な人を、死刑にしたりなんかしませんよ。国の損失になるじゃないですか。

 でもまあ、そんな罪悪感いだいてくれていたのなら、仕事を頼みやすいです。ある意味、これはラッキーなのかもしれません。
 彼女は、信用して良い味方となってくれるでしょう。

「これからも、王国の為に尽くしてください。期待してますよ」

「ははっ、あり難き幸せ。この命、我がナース王国に捧げます」

 うう~ん。なんか、気持ちイイぞ。女王代理、イイな!


 え~と、まあ、そんなことで・・・。

 戦闘続きで疲れているところ申し訳ないですけど、レンカさんには早速にセトリバ公爵領へ進撃してもらいましょう。
 だけど、戦闘は極力避け、公爵の兵を圧倒して逃亡させるようにと申し添えて。
 自国領での殺し合いはやっぱり頂けない。だからこそ、国内最強部隊である彼女の兵に頼むのです。
 やっぱ、最強の部隊が行かないと、恐れて逃げないでしょうからね。
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