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残虐非道なる異世界生活

4 異世界召喚

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 それは、今から3ヶ月くらい前のこと。私はいきなり、この異世界に召喚されました。
 この召喚、大きな能力(魔法と呼ばれてますが、超能力っぽいのかも…)を持った者を異世界から呼び出し、国の為に働いてもらうことを期待して行われるんだとか。
 その時は、治癒魔法を使える者を召喚するということだったそうです。

 でも、そんな魔法を使える人間なんて聞いたことありませんよね。居るはず無いじゃないと思ったら、違うんです。
 召喚されるときに、その力が付与されるみたいなのです。その最適合者が召喚されてくるということなんですね。

 全く、迷惑な話です。勝手に選ばれ、承諾も無しでイキナリ別世界に拉致られるんですから。
 オマケにですね。更に迷惑なことが…。
 選ばれた適合者の半径2メートル以内に居たモノは巻き添え。一緒に召喚されてしまうのです。

 その時の召喚者は、20歳の深川亜衣という女性。そう、私ではないのですよ。
 亜衣さんは優れた治癒能力を発揮し、現在は「癒しの聖女」として奉られ、立派に活躍をしておられるとか。

 おうらやましい……。

 そして、たまたま通りがかりで、彼女とすれ違っただけの私。
 巻き込まれてしまったというコトなのですね。

 ・・・。


 巻き込まれ者の運命は哀れです。
 特殊能力は、召喚される者には公平に一つずつ付与される。付与の条件が設定されていなければ、その人に適した能力が与えられるはず…。
 しかし、今回は治癒能力者の召喚ということであり、私はその巻き込まれ。与えられるのは、治癒の能力限定。
 召喚者本人はその最適合者だから良いですけど、巻き込まれ者は、そうは行かない。適合していなければ、力が極端に弱かったり、ゆがんだりするのです。

 私の場合は、大きく歪んだ…。
 確かに治癒の能力。しかし、それを外へ向けられない。自己治癒・再生なのです。
 身体能力が高ければ、死なない最強兵士という道もあったかも。ですが残念ながら私は完全運動音痴…。全く使えない不要の者とされ、奴隷の身分とされてしまいました。

 奴隷となった私は、なぜか、召喚魔法を取り仕切っている大神官の、そのまた孫娘であるところのチェリル嬢の所有となりました。
 といっても、彼女は私と同じ18歳の小娘。名目上、彼女の所有物ということにされただけのようで、実際のところ私の処遇は、彼女の祖父である大神官の思うがまま。
 で、大神官と医学校の校長が親しかったのかな?医学生の解剖実験体に使われているということなんですよ。


 処遇が決まった後、私は中央神殿の隣にある大神官邸内別館の、チェリルの館の地下に移されました。
 その監視役兼世話係としてつけられたのが、目の前に居るヘレーナです。

 彼女は元々、チェリルの側近侍女だったそうです。(…側近侍女だなんて大仰な存在が居るなんて、大神官の孫ってイイ御身分で…)
 チェリルからの信頼も厚かったようですが、ちょっとしたことで不興を買い、これ幸いと彼女を妬んでいた者たちから、ありもしない讒言をされ、地位を奪われてしまった…。まあ、ドラマかなんかで聞くような話ですね。
 で、奴隷(=私)の監視役にされてしまったみたいです…。
 ある意味、彼女も可哀想な身の上ですよ。

 そういうヒトですと、大抵2パターンに分かれることが想像できます。
 一つは自分より弱い立場の者=奴隷にアタリ、虐待をする。
 もう一つは、逆に弱い立場の奴隷に同情し、守ってくれる。
 多いのは虐待タイプなのかもしれませんが、彼女の場合は…。

 さあ、どっち?!

 実は私の脳には、変なチップが埋め込まれています。
 鼻から細く鋭い管をズブズブッと刺し込まれ、脳の中に突っ込まれたのです。逃亡防止のために奴隷には皆、やられること…。
 で、逃げ出そうとすると、そのチップから電撃!
 これ、猛烈に痛いのよ! 頭が割れそう、いや爆発しそうになる。
 脳味噌がグツグツ沸騰して鼻や耳から噴き出してきそうな痛みと同時に、全身が痙攣し、もだえ苦しみ、のた打ち回り、盛大に嘔吐し、失禁します。

 私も最初は何度も逃亡を図りました。当然ですよね。
 で、そのたびに電撃。
 それをするのが、へレーナなんです。
 そういった意味では完全虐待ですよね。
 でも、これは監視役としては、仕方のないこと。逃げられれば、彼女の責任になってしまいますから。
 逃げようとしなければ、彼女は悪い扱いはしません。チャンと、事細かに丁寧に世話を焼いてくれます。
 ですので、やはり彼女は、優しい人と言って良いのでしょう。
 但し、その分、彼女以外からタップリ残虐行為をされるのですがね・・・。

 ああ、ついでにですね、脳に埋め込まれているチップ。位置情報確認も出来るみたいなんです。
 ですから、逃げて隠れても無駄。すぐに電撃で動けなくされて、捕まえられてしまいます。
 凄い科学力って思ったら、科学じゃなくて魔法なんですって。
 この世界は魔法の世界なんです。
 まあ、治癒魔法云々ってことでありますしね。なんか良く分かんないけど、部屋の天井も光ってて地下室でも電灯無しで明るいし……。

 それから、召喚された異世界人は、能力と一緒にこの世界の話し言葉の知識を得ます。
 仕組みは分からないですけど、これも魔法の力…なんですかね?? いや、これはチョット違うのかな? 召喚に伴って起きる現象??
 まあどっちでも良いですが、そんなことで、意思疎通には不自由しません。
 但し、文字に関する知識は含まれない為、読み書き出来ないのが難点です。…奴隷の私には読み書きなんて、関係ありませんがね。
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