月の影に隠れしモノは

しんいち

文字の大きさ
上 下
148 / 167
新たな仲間と、…別れ

148 女鬼との交合1

しおりを挟む
 夜。「お勤め」の時間。女鬼たちは、大いに驚いた。
 一つの部屋に、自分たちの分の布団ふとんも一緒に並べられている。
 広間に十組の布団が並べられた光景は壮観である。合宿か、修学旅行か…。いや、鬼の世界にそのような習慣は無いのだが…。

「あ、あの~。これは……」

「何~。みんな一緒に寝るのよ~。セックスも、ここで順番にするんだからね~」

「い、一緒に? ……。一人ずつ別室で、ではなく、皆の前で…?」

 アマ始め、女鬼たちは顔を赤くして、互いに見合った。

「そうよ~。これが、うちの常識だから~」

「そ、そういうものですか…。我ら鬼の常識としては、公開でするものではないと思うのですが…。それが、ヒトの仕来りとあれば、止むを得ません。よろしくお願い致します」

 正座してお辞儀するアマに、他の女鬼もあわてて従った。
 いや、鬼の常識だけではなく、通常のヒトの常識としても、これは明らかに異常であるのだが…。

「あなたたちの種付け優先だから~、今日は、あなたたちからよね~」

 いつものように、恵美が仕切って進めようとする。しかし…。

「ちょっと待った~。恵美さん、何か忘れてますよね~」

 舞衣が割って入った。

「何~?」

「とぼけても駄目! 子供たちに秘密をばらしておいて、そのままで済むとお思い? これより、恵美さんの処刑です!」

「ひ~。それは御勘弁かんべん!」

「ダメ! 祥子さん、捕獲!」

 昨晩は月影村に泊まって交合は無かったので、保留になっていたことだ。
 委細承知とばかり放たれた祥子の念力により、恵美が浮かび上がった。
 恵美は、逃げようと手足をバタつかせる。…が、空しく手足は宙を切る。

「ちょっと~! 祥子さんも同罪でしょ!」

「いやいや、子供たちにバラしたのは、其方そなたじゃ」

 祥子の念力によって、恵美の着物が空中で脱がされ、裸にかれてゆく。
 アマは、その手際に驚いた。自分には、あんな器用な真似は出来ない。本当にヒトなのかと、改めて祥子を見詰めた。
 祥子は、そんな視線を気にしていない。
 全裸にされた恵美は、ジタバタ足掻あがくが、浮遊させられていてはどうしようもない。股を開けさせられ、卑猥ひわいなポーズ。
 慎也もニヤッと笑って、準備万端。さあ、執行開始!

 …と思ったら、舞衣が止めた。

「ちょっと待ってね。処刑の前に、尋問します」

 舞衣は恵美の近く行き、彼女の顔を見て、ニコッと笑った。
 結構近い位置…。

「な、なんですか~」

 情けない格好、情けない表情で、情けない声を出す恵美…。
 笑顔のままの舞衣…。

「恵美さん。性教育の教材として張形を入手したんですよね」

「そ、そうですよ~」

「それにしては、サイズが大き過ぎのような気がしますが?」

「そ、それは~。………。そ、そう、鬼のアレって大きいんじゃないの? 沙織もデカチンて、言ってたでしょう?」

 沙織の眉がピクピクッと動くが、舞衣による尋問中であるから口は出さない。

「ホントに、それが理由~?」

 舞衣は笑顔のまま、首をかしげた。

「自分が試したかったんでしょう?」

「………」

 恵美は視線をらした。

「使ってみたけど、あまり気持ち良くなくて、やっぱり慎也さんとじゃないとダメだと実感して、で、いらなくなったから、興味示したさとちゃんに上げちゃったと…」

「………」

 恵美は、逸らしていた視線を舞衣に戻した。
 ……見つめ合う。
 相変わらず、ニッコリ笑っている舞衣。
 恵美の顔が徐々に赤くなってくる。

「何よ~! 尋問なんて言って、言わなくても全部、心読んでる~!
 そうですよ~。その通りです~! 自分で使いました~!
 大きい方が気持ち良いかなと思って、大きいサイズ買いました~!
 使ってみたけど、イマイチだったのでさとに上げちゃいました~。何か悪い~?」

「いや、いや。バージンの娘に上げる物じゃないでしょうに…。
 まあ、性教育が必要なのも分かるし、それを一手にしてもらっているのは有難いことでもあるし。そもそも祥子さんが先にあの話をバラしたということもありますし…」

 舞衣はチラッと祥子を見た。
 祥子は、きまり悪そうに右手でほおいた。…左手は恵美を浮かせる為に、恵美に向けて挙げている。別に手を向けなくても念力は行使出来るが…。

「ということで、処刑は免除で」

「へ?」

 覚悟していた恵美が、気の抜けた声を出した。

「何? 期待してたの? じゃあ、やってもらいましょうか」

「いや、いや! 結構です!」

 恵美は布団に降ろされた。すぐに布団の中に、裸のままガバッと潜り込む。

「ひや~、助かった~!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...