月の影に隠れしモノは

しんいち

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新たな仲間と、…別れ

145 神子館と、夫候補2

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 向かい側は、拝殿に近い方に戻って六の神子館かんこのたちとなる。環奈が監禁されていたところで、祥子の子、さとの館だ。が、ここはクイが籤を引いていた。
 つまり、相手がいないのだ。

「なによ~。私は独り身になっちゃうの~!」

「いえ。もし神子かんこ様が宜しければ、前の世代から選んで頂ければと…。この二人です」

 二人の鬼が前へ出る。一世代前ということで、見た目は四十代くらい。(実年齢は百二十歳を超える…)タイプは違うが、どちらもなかなかのイケメンだ。

「いいな~。さとちゃんは選べるんだ!どっちがいいの~?」

 つきに冷やかされ、前に並んだ二人を見比べてさとは困惑している。初対面で、いきなり選べと言われても、困るのは当然である。

「母様、どっちがいい?」

 さとは、母親の祥子に助けを求めた。祥子なら、相手の本性を見抜けること知っていたからだ。

「うむ。どちらでも問題ないぞ。其方そなたの好きな方にせよ」

 祥子にも、そう言われてしまうと、後は自分の判断しかない。しばらうなった末……、

「じゃあ、こっち!」

 細身と、筋肉質の鬼からの選択であったが、さとが選んだのは筋肉質の方だった。

「こっちの方が、強そう!」

「え? 強そうって、まあ、腕力ありそうだけど、それが理由なの?」

 意外な理由に、慎也がくと。

「違う、父様! セックスが!」

 皆がギョッとした。

「だって、子供たくさん産むのが、私たちの仕事でしょ!」

 それはそうだが、先ほどの張形はりがたの件もあり、改めて白い目が、教育係の恵美に集中した。
 当の恵美は、その視線に気付かない振りをしている…。

 最後は七の神子館かんこのたち。舞衣の子の、あいの番だ。

「ええと…、ここの籤は、私が引きました。よろしくお願いします」

 照れながら頭を下げるテルに、あいは、ニッコリ笑った。
 娘たちは母親似で、皆、間違いなく美少女である。
 中でもあいは、舞衣の子だ。
 色白の舞衣以上に白い肌で、亜麻色の髪に栗色の瞳。少し色素欠乏の傾向があるのかもしれないが、それがまた美貌に輪をかけ、天使のような容貌容姿…。
 この超絶美少女と、鬼一番のイケメンは、文句の無い組み合わせである。

「あ~あ、やっぱり舞衣さんの子が一番いいとこ持ってくわ~。だって、このイケメンで、将来の村長むらおさよ~。でも、まあ、仕方ないわね~」

 こんな発言をするのは、当然、恵美だ…。


 夜も遅くなってきた。
 雲が厚く、月は出てこない。やはり、このまま泊まることになった。
 翌日は、雲一つない良い天気。日の光の中で、村を案内される。
 魚も取れる。獣や鳥もいて、肉もある。米は無いが、ひえのような雑穀があり、野菜・芋もある。四季があり、冬は雪も降るが、豪雪地帯ということでも無いようだ。生活するのには問題なさそうである。
 これなら、娘たちを送り出しても大丈夫と安心できた。
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