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帰還、そして出産
73 招かざる客
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ピンポーン!
楽しい宴会中だが、来客を告げる呼び出し音が鳴った。
呼び出しボタンは門のところにある。門は閉めてあるので、押されたようだ。
いつもの、田中かもしれない。
「あ、私が出るね」
少し気恥しくなっていた舞衣が席を立ち、出ていった。
が、すぐ、舞衣を見送った恵美の表情が険しくなった。
「沙織、杏奈ちゃん、環奈ちゃん、ここから出ちゃだめよ。美月さんも!」
立ち上がる恵美。
シリアスモードになっている彼女を見て、皆に緊張が走る…。
恵美は、千里眼の能力で門の外を見ているのだ。来ているのは、好ましい来客では無いらしい。
「祥子さん、来て! 慎也さんは、この部屋をお願い」
慎也が頷くのを確認し、恵美は祥子と出て言った。
「こんばんは。私、こういうものです」
出て行って門を少し開けた舞衣に、男が名刺を差し出した。
週刊文冬記者…。
「舞衣さん、結婚されたそうで、おめでとうございます。ところが、相手の不良神主には愛人が何人もいてドロ沼状態になっているとか。それから愛人に脅されて無理やり神社の仕事でこき使われているとか。
どんな弱みを握られちゃったんですか? 隅田川乙女組内でも虐められていたみたいですけど、大変ですね~。詳しく教えてもらえませんか?」
男は一気に、まくし立てた。
(ドロ沼? こき使われている?)
どこから、そういう話になったのか…。
「あ、あの、迷惑なんですけど! 私はもう引退しているんです。それに、ドロ沼なんてありません。こき使われているなんてこともありません。みんな仲良く暮らしているんです!」
「ほー。じゃあ、愛人多数ってのは認めるんですね。それはすごい。さらに、その多数の愛人とも一緒に暮らしている!」
(仕舞った。引っかかっちゃった……)
「今も中に愛人たちがいるんですか? 仲良いなら紹介して欲しいですね~」
門扉の隙間に身をこじ入れて入り、更に中へ向かおうとする男を、舞衣は必死に押しとどめる。
「やめてください。迷惑なんです! 帰ってください!」
「記者さ~ん。それ以上入ると、不法侵入ですよ~」
恵美と祥子が出てきた。祥子は陶器製の茶色い小さな壷を持っている。
「あ、愛人さんですね! 中の生活はどんななんですか?」
「どんなと言われましてもね~。ごく普通ですよ~。今もパーティー中で~す」
「夜の生活は、どんななんですか?」
「そっちも楽しいですよ~。みんな一緒ですからね~」
「一緒?」
「もちろん正妻は舞衣さんで、籍が入っているのは舞衣さんだけで~す。 重婚してませんので、法的には何の問題もないはずで~す」
「一緒って、毎晩、みんなで乱交パーティーですか? それはすごい。どうすれば、こんな美女ばかり集められるんですかね? 是非とも、その絶倫淫乱神主さんにも会わせてください!」
…絶倫淫乱…
この言葉に、舞衣の理性が飛んだ…。
「いい加減にしなさい! 失礼にも程があります! 主人は、みんな平等に扱ってくれているだけです。妻の私がこれで良いと思ってますし、他のみんなも納得していることです。他人に、とやかく言われる筋合いはありません! 帰りなさい!」
舞衣の余りの剣幕に、さすがの記者も怯んだ。そこへすかさず、祥子が壷から塩をつかんで、ぶっかけた。
男は、たまらず退散していった。
楽しい宴会中だが、来客を告げる呼び出し音が鳴った。
呼び出しボタンは門のところにある。門は閉めてあるので、押されたようだ。
いつもの、田中かもしれない。
「あ、私が出るね」
少し気恥しくなっていた舞衣が席を立ち、出ていった。
が、すぐ、舞衣を見送った恵美の表情が険しくなった。
「沙織、杏奈ちゃん、環奈ちゃん、ここから出ちゃだめよ。美月さんも!」
立ち上がる恵美。
シリアスモードになっている彼女を見て、皆に緊張が走る…。
恵美は、千里眼の能力で門の外を見ているのだ。来ているのは、好ましい来客では無いらしい。
「祥子さん、来て! 慎也さんは、この部屋をお願い」
慎也が頷くのを確認し、恵美は祥子と出て言った。
「こんばんは。私、こういうものです」
出て行って門を少し開けた舞衣に、男が名刺を差し出した。
週刊文冬記者…。
「舞衣さん、結婚されたそうで、おめでとうございます。ところが、相手の不良神主には愛人が何人もいてドロ沼状態になっているとか。それから愛人に脅されて無理やり神社の仕事でこき使われているとか。
どんな弱みを握られちゃったんですか? 隅田川乙女組内でも虐められていたみたいですけど、大変ですね~。詳しく教えてもらえませんか?」
男は一気に、まくし立てた。
(ドロ沼? こき使われている?)
どこから、そういう話になったのか…。
「あ、あの、迷惑なんですけど! 私はもう引退しているんです。それに、ドロ沼なんてありません。こき使われているなんてこともありません。みんな仲良く暮らしているんです!」
「ほー。じゃあ、愛人多数ってのは認めるんですね。それはすごい。さらに、その多数の愛人とも一緒に暮らしている!」
(仕舞った。引っかかっちゃった……)
「今も中に愛人たちがいるんですか? 仲良いなら紹介して欲しいですね~」
門扉の隙間に身をこじ入れて入り、更に中へ向かおうとする男を、舞衣は必死に押しとどめる。
「やめてください。迷惑なんです! 帰ってください!」
「記者さ~ん。それ以上入ると、不法侵入ですよ~」
恵美と祥子が出てきた。祥子は陶器製の茶色い小さな壷を持っている。
「あ、愛人さんですね! 中の生活はどんななんですか?」
「どんなと言われましてもね~。ごく普通ですよ~。今もパーティー中で~す」
「夜の生活は、どんななんですか?」
「そっちも楽しいですよ~。みんな一緒ですからね~」
「一緒?」
「もちろん正妻は舞衣さんで、籍が入っているのは舞衣さんだけで~す。 重婚してませんので、法的には何の問題もないはずで~す」
「一緒って、毎晩、みんなで乱交パーティーですか? それはすごい。どうすれば、こんな美女ばかり集められるんですかね? 是非とも、その絶倫淫乱神主さんにも会わせてください!」
…絶倫淫乱…
この言葉に、舞衣の理性が飛んだ…。
「いい加減にしなさい! 失礼にも程があります! 主人は、みんな平等に扱ってくれているだけです。妻の私がこれで良いと思ってますし、他のみんなも納得していることです。他人に、とやかく言われる筋合いはありません! 帰りなさい!」
舞衣の余りの剣幕に、さすがの記者も怯んだ。そこへすかさず、祥子が壷から塩をつかんで、ぶっかけた。
男は、たまらず退散していった。
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