女子切腹同好会

しんいち

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42 次は、美紀の番

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 夏実さんの切腹後。直ぐに私と美紀さんは着替えをし、終了連絡を入れて会館を後にしました。夏実さんの遺体は処理班に回収され、部屋の清掃もされます。
 切腹して果てた夏実さん。その遺体は特別扱いってことですが、具体的にはどうされるんでしょう?
 剥製とか、ホルマリン漬けとかの、標本にされたり? …それも晒しモノにされるようで、なんとなく嫌だな。
 若く綺麗な女性の遺体なんです。変なことに使われるんじゃないかと、心配なのです。
 特に来週切腹する美紀さんですよ。彼女は超絶美女。彼女の遺体が変な男たちに凌辱されたりするんじゃないかと考えてしまって、耐えられません。

 そのことを美紀さんにも話しました。彼女もそれを気にしていました。
 でも、処刑された遺体より悪い待遇は無いでしょうって…。
 そう思いたいですね。死後であっても、凌辱されたりするくらいなら腐らせて肥料にされる方がましですからね。


 その後の一週間。短かったような、長かったような…。私の憧れの先輩との、永遠のお別れが近づく。それも、彼女を最終的にあの世へ送るのは私なのです。介錯で、あの白く細く美しい首を、私がこの手で斬り落とすのですから。
 同じクラスに女子ながら居合をやっているという子がいましたので、巻きわらを斬るときのコツなんかを訊き、詳しく教えてもらいました。私が斬るのは藁で無くて生身の人間の首なんですけどね。

 切腹日の前日、土曜日。
 夏実さんの時のような送別会もありません。
 あれは、美紀さんが企画したこと。今回は美紀さんが当事者ですから、するなら私がってことになるかも知れませんが……。無理です。私、多分、大泣きしちゃいますから。

 ゴメンナサイ、美紀さん。


 そして、いよいよ、その時。
 会館内の切腹場。
 髪を高い位置で結った美紀さん。これは、介錯の時に髪が邪魔にならないようにする為ですが、この髪型も素敵です。

「有香ちゃん。いろいろありがとうね。これでお別れ。後は、よろしくね」

「は、はい。お任せください」

 しくじらない様、介錯もシッカリさせて頂きますよ。
 でも、もう、本当にお別れなんだ…。悲しいよ。

 始まってしまえば、介錯の時以外には言葉を掛けることも禁止です。ある意味、一連の儀式のようなものですからね。途中で邪魔してはいけないのです。
 もう、普通の会話も出来ない…。
 ジーンとして、目頭が熱くなってきます。

 今、美紀さんが着ているのは、夏実さんと同じ白い着物。私も同じものを着ています。
 夏実さんは脱いで全裸で切腹しました。美紀さんは…、彼女も脱ぐそうです。
 自分の体の全てをさらけ出したいんですって。

 正座している美紀さんの前へ、私が最後の御膳を出します。湯漬けとお酒とコノシロです。
 お酒って美紀さん、まだ18歳ですけどね。もう人生の最後ですからね。オッケーでしょう。飲みたいかどうかは別として、これも儀式なんです。

 美紀さんは、その麗しいお顔の表情を崩さず、優雅な作法で淡々と食事をし、お酒も上品に召して、全て食べ終えます。

 御膳を下げ、刀身のみの短刀を三方に乗せて…。
 美紀さん、立ち上がり、ササッと着物を脱ぐ。やはり、下着は着けていません。
 白い肌。すらっとした手足。豊かな胸。引き締まったお腹。最高に美しい。輝いて見えます。勿体もったい無い。勿体無さすぎますよ……。

 しゃがみ込み、短刀を取り、三方をお尻下へ。

「では、13代会長、谷本美紀。これより切腹いたします」

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