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35 処刑「生体解剖」
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さて、処刑が始まります。
手術着姿の美紀さん夏実さん。…あ、これ、夢と同じだ。
血が飛び散るといけませんので、私も手術着を借りて着ます。
横たわっているスパイさんは、調査のために一年前から市立図書館の職員として入り込んでいたそうです。私はそこで目を付けられたのですね。
秘密が漏れれば、私たち会員も大変なことになります。そう考えると、処刑は必要・・・なんでしょうね。
でも殺しちゃうんですよ。それはチョット……。
身体に掛けられていた白いタオルケットを取ると、全裸。手足は一応縛られていますが、薬で動かせない状態にされているとか。念のために縛っているんですって。
この時点で拘束をすべて解いてしまいます。自由な状態にされても、やはり動きません。いや、動けないのね。
声も、やはり薬で出せなくされているようです。ウーウーかすれた小さな声で唸っているだけ。
でも、ハッキリと意識はある。目を開けて、涙を流しています。
まだ若い。20代前半くらいだよね。か、可哀想だな…。
麻酔は…。処刑なんだから、してないんですって。
それは痛いよね。う、う~ん惨い。
私がされる立場になっていても、麻酔はしてもらえなかったということですか……。
これから行われるのは殺人。一人の人間が殺されます。
本来なら止めなきゃいけないこと。でも、期待して見入っている私。完全な異常者です。救いようがありません。これは、執刀しなくても殺人の同罪です。
いや、やらなきゃ、こっちが危ないのですよ。仕方ないですよね。正当防衛です。
うん? いや、どう考えても正当じゃないな……。
ああ、もうどうでも良いです!!
美紀さん、夢とは違い、メスでは無くて短刀を取り出します。
解剖っていうより、切腹の予行練習ですね。自分でする前に他人のお腹で切る感触を確かめるつもりみたいです。
切腹の時、内臓の内の消化器内の汚物をどう処理するか…。前に美紀さんが言っていたことです。以前に見た同好会先輩の切腹で、それが気になっていたのだと。
切れた腸から汚いモノがドロドロこぼれ出していて、カナリ臭かったんですって。
いろいろ検討した結果、やっぱり腸を傷つけずにお腹を切って、上下からも出ないよう完全摘出してしまうしかないと結論付けたようです。
何も食べないというのも確実な方法として候補に有りましたが、切腹前の儀式として最後の食事があり、それは行いたいということ。
となれば、食べずに切腹は無理なんですね。
それに、さっきの私じゃないですけど、空腹でお腹グーグー鳴らして切腹ってのも、締まりませんし…。
ただ、腸を傷つけずに切るってのは、加減が難しいんですよ。ぶっつけ本番では、うまくやる自信が無いよねってところで、今回の話が舞い込んできたのでした。
事務局の方も美紀さんたちの意を酌んで、実験材料を提供したということなんでしょう。
「さて、切るよ」
短刀を女性のお腹の左の方に当てます。刃が薄く、良く斬れそうな短刀です。
切っ先をツプッと刺し込み、奥へ突っ込まずに短刀を寝かせて表面の方だけを切るようにズバッと一気に横へ!
横一直線の大きな傷の両端から血がツーッと赤い筋となって伝います。
女性は……。かすかにお腹が痙攣しているような…。表情は変わりません…。が、息を荒くしていて、涙が流れ続けています。
薬で動けなくても意識はある。猛烈に痛いのでしょう。
美紀さん、今度は短刀を女性の腹部上の方へ…。やはりツプッと刺し込み、刃を寝かせて下へ一気に! 十文字切りです。
「切れましたね~。お見事っす。内臓の方は、どんなですかね~」
「そうね。たぶん、上手くいっていると思うけどね」
美紀さんは短刀を置き、十文字に切れたお腹の皮を掴んでグワッと広げました。
「あ、大丈夫。傷ついていないわ。綺麗に切れてる。よし、コツが掴めたわよ」
成功したみたいですね。はたして同じことを自分のお腹で出来るかどうかという懸念はあるにしても、美紀さんにとっては大きな収穫でしょう。
続いて内臓の観察と摘出に移ります。
お腹の皮が邪魔ですので、解剖図なんかでよく見るように切り取ってしまい、腸を露出させます。これは夏実さんが行いました。
う、うわ、グニュグニュ蠢いている。凄いよ。生きている腸だ…。こ、興奮する!
・・・そういえば、こんな感じのをどこかで見たような。
張りが合って色つやの良い肌の解剖被験体と、流れ出る赤い血…。プリプリして新鮮そうで、血色良いピンク色の腸。どこで見たっけ? あれ?夢だったかな? 写真だっけ?・・・
まあ、いいや。そんなことよりも、目の前の解剖ですよ。
手術着姿の美紀さん夏実さん。…あ、これ、夢と同じだ。
血が飛び散るといけませんので、私も手術着を借りて着ます。
横たわっているスパイさんは、調査のために一年前から市立図書館の職員として入り込んでいたそうです。私はそこで目を付けられたのですね。
秘密が漏れれば、私たち会員も大変なことになります。そう考えると、処刑は必要・・・なんでしょうね。
でも殺しちゃうんですよ。それはチョット……。
身体に掛けられていた白いタオルケットを取ると、全裸。手足は一応縛られていますが、薬で動かせない状態にされているとか。念のために縛っているんですって。
この時点で拘束をすべて解いてしまいます。自由な状態にされても、やはり動きません。いや、動けないのね。
声も、やはり薬で出せなくされているようです。ウーウーかすれた小さな声で唸っているだけ。
でも、ハッキリと意識はある。目を開けて、涙を流しています。
まだ若い。20代前半くらいだよね。か、可哀想だな…。
麻酔は…。処刑なんだから、してないんですって。
それは痛いよね。う、う~ん惨い。
私がされる立場になっていても、麻酔はしてもらえなかったということですか……。
これから行われるのは殺人。一人の人間が殺されます。
本来なら止めなきゃいけないこと。でも、期待して見入っている私。完全な異常者です。救いようがありません。これは、執刀しなくても殺人の同罪です。
いや、やらなきゃ、こっちが危ないのですよ。仕方ないですよね。正当防衛です。
うん? いや、どう考えても正当じゃないな……。
ああ、もうどうでも良いです!!
美紀さん、夢とは違い、メスでは無くて短刀を取り出します。
解剖っていうより、切腹の予行練習ですね。自分でする前に他人のお腹で切る感触を確かめるつもりみたいです。
切腹の時、内臓の内の消化器内の汚物をどう処理するか…。前に美紀さんが言っていたことです。以前に見た同好会先輩の切腹で、それが気になっていたのだと。
切れた腸から汚いモノがドロドロこぼれ出していて、カナリ臭かったんですって。
いろいろ検討した結果、やっぱり腸を傷つけずにお腹を切って、上下からも出ないよう完全摘出してしまうしかないと結論付けたようです。
何も食べないというのも確実な方法として候補に有りましたが、切腹前の儀式として最後の食事があり、それは行いたいということ。
となれば、食べずに切腹は無理なんですね。
それに、さっきの私じゃないですけど、空腹でお腹グーグー鳴らして切腹ってのも、締まりませんし…。
ただ、腸を傷つけずに切るってのは、加減が難しいんですよ。ぶっつけ本番では、うまくやる自信が無いよねってところで、今回の話が舞い込んできたのでした。
事務局の方も美紀さんたちの意を酌んで、実験材料を提供したということなんでしょう。
「さて、切るよ」
短刀を女性のお腹の左の方に当てます。刃が薄く、良く斬れそうな短刀です。
切っ先をツプッと刺し込み、奥へ突っ込まずに短刀を寝かせて表面の方だけを切るようにズバッと一気に横へ!
横一直線の大きな傷の両端から血がツーッと赤い筋となって伝います。
女性は……。かすかにお腹が痙攣しているような…。表情は変わりません…。が、息を荒くしていて、涙が流れ続けています。
薬で動けなくても意識はある。猛烈に痛いのでしょう。
美紀さん、今度は短刀を女性の腹部上の方へ…。やはりツプッと刺し込み、刃を寝かせて下へ一気に! 十文字切りです。
「切れましたね~。お見事っす。内臓の方は、どんなですかね~」
「そうね。たぶん、上手くいっていると思うけどね」
美紀さんは短刀を置き、十文字に切れたお腹の皮を掴んでグワッと広げました。
「あ、大丈夫。傷ついていないわ。綺麗に切れてる。よし、コツが掴めたわよ」
成功したみたいですね。はたして同じことを自分のお腹で出来るかどうかという懸念はあるにしても、美紀さんにとっては大きな収穫でしょう。
続いて内臓の観察と摘出に移ります。
お腹の皮が邪魔ですので、解剖図なんかでよく見るように切り取ってしまい、腸を露出させます。これは夏実さんが行いました。
う、うわ、グニュグニュ蠢いている。凄いよ。生きている腸だ…。こ、興奮する!
・・・そういえば、こんな感じのをどこかで見たような。
張りが合って色つやの良い肌の解剖被験体と、流れ出る赤い血…。プリプリして新鮮そうで、血色良いピンク色の腸。どこで見たっけ? あれ?夢だったかな? 写真だっけ?・・・
まあ、いいや。そんなことよりも、目の前の解剖ですよ。
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