女子切腹同好会

しんいち

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 もうすぐ夏実さんとはお別れ。そう思うと、とっても寂しい。短い間でしたが同好会活動を共にし、内臓内部まで見せあった仲です。出来れば、もっと一緒に活動したい…。
 でも、切腹同好会なんですからね。最終到達点は切腹なんですよ。

 切腹…。自分で自分のお腹を切って、内臓を取り出し、絶命する。…自害の一手段です。
 当然ながら、それをすれば死んでしまう。永遠の別れとなります。
 切腹をするのが目的の同好会なんです。この別れは、仕方ないコトです。

 仕方ない…。仕方ないんだけど……。

 やっぱり、寂しいですって!!


 そんなことで、その週は、私は元気が出ません。
 そこへ追い打ちを掛けるようなことが…。

 学校が終わり、電車で帰宅。私の家は隣町で、けっこうな田舎です。最寄り駅を出て少し歩くと、もう人通りは無い。そんな所で待ち構えるようにしていた20代前半くらいの女性から、急に声をかけられたのです。
 全く見たこともない人ですよ。そして、そのかけて来た言葉は、

「あなたの入っている同好会について、訊きたいのだけど」

 や、ヤバイ! 私の入っている同好会、それは女子切腹同好会!
 この人はその存在を知っているみたい。でも、あれは絶対の秘密。誰にも言ってはいけないこと!

「何のことですか。私、何にも知りませんから!」

 大慌てで横道へ逃げます。でも、その人、追っかけて来る!
 こ、これ、絶対ヤバいヤツ!!
 全力で逃げます。私、走るのだけは速い方なんですよ。
 何度か路地を折れ、神社に逃げ込んで茂みに隠れ、道の方を窺っていますと…。
 もう追ってこない? 撒いた・・・かな?
 念のため、そのまま少し様子を見てから、走って家へ逃げ込みました。
 すぐに緊急連絡用のスマホで、メール。美紀さんに報告します。

 美紀さんからは30分くらいで返事が来ました。事務局に連絡したから、もう大丈夫だってことです。
 但し、私が秘密を漏らしていないか、再度の確認と念押しされました。漏らすと消される。注意するようにって。

 私は、何も漏らしてませんよ。
 でも私が漏らさなくても、秘密がバレてるんじゃありません?
 そういう場合はどうなの?
 再度メールしてみると、すぐに返信。

 私自身が漏らしていないのなら大丈夫ですって。
 ホント?
 今週、夏実さんが切腹するんですよね。来週には、美紀さんも。
 ホントに、大丈夫なの?!

 事務局の方に消されないとしてもですね…。
 私、逮捕されちゃったりしないですよね!
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