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10 胃カメラ2
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モニター画面。カメラはズーッと食道を降りて行き、見えて来た半開きの弁みたいのからが、夏実さんの胃ですね。
「噴門を通過しますよ。胃の内部に侵入します」
へ~。この入口は噴門って言うんだ。勉強になります。
あ、通過…胃袋内です。
胃の中はクシャクシャ縦方向メインのシワシワがいっぱいあります。内容物はありません。やっぱり、既に消化して小腸へ送られてしまったようですね。
「空気を入れますよ」
シューッと空気が送られ、胃が膨らまされます。
うわ、シワがどんどん広がってくね。クニュクニュ動いています。生きている人間の胃の中を見ているのですよ。もう、感動です!
胃の壁はタップリの粘液でヌルッとしてますね。血色良い肌色で、滑らか。健康な胃です。
「奥の方へ入れますね」
湾曲した袋になっている胃。それに沿うように曲がって、ズーッとカメラを突っ込んでいって、奥は…。少し細くなってきました。
「幽門前庭部ね。胃の端っこの方よ」
お尻の穴のような感じで、シッカリ閉じている穴があります。
「幽門ね。胃の最終部分ね。この先が十二指腸。突っ込むわよ」
閉じている穴の中央、そこにグニュッと入り込みます。十二指腸の中ですね。空気が送られて膨らまされます。細く丸い管。輪状のたくさんの襞が特徴ですね。胃とは様子が違います。
先がずーっと続いています。
「夏実さん。いま、十二指腸に入ったところよ。カメラの位置、分かる?」
いや、訊かれても夏実さんは答えられませんよ。手振りで「分からない」と示します。
「長さ的には70cmくらい体内に入れているのよね。でも、真っ直ぐ入ってはいないからね。曲がりくねって入っているはず。どの位置なのか知りたいから、先を振動させてみるね」
あら、そんな機能までついているの? 普通はそんなのないでしょ? 特別製なんですかね…。
モニター画面が激しく揺れる…。
夏実さん、自分のお腹の右上(本人から見て)の辺りを指差します。そこが振動の震源ってことですね。
つまり、その位置が、現在カメラの先端が入っている十二指腸の最初の部分の位置です。
「うん、予想通りの位置ね。となると、その左が胃袋か…」
美紀さん、自分のお腹をまくって見ながら、胃の位置を想像している…。
そう、この調査、内臓の位置を確認するって意味もあるのです。
切腹ではお腹を切って内臓を取り出すのですからね。内臓の位置をしっかり把握したいのですね。
さて、続き。カメラをもっと突っ込みます。十二指腸の奥です。
入れて行くと、あ、何かある。食べ物の消化物だ。ドロドロのモノがあります。ご飯粒?夏実さん、何食べた? オニギリ?
これ以上は、もう無理ですね。本当はもっと深くの空腸部分まで入れて、お湯を抽入して小腸の絨毛観察までする予定でした。
しかし、腸管内が汚れているから無理だろうってことになりました。
「はい、お疲れ。終了します。夏実さん、カメラを抜き出しますよ」
結局、管は90cm弱突っ込んだようですね。人間の胴体に90cm。真っ直ぐだったらお尻から出ちゃっています。それだけの長さ、まがりくねりながら、スコープは今、夏実さんの体内に入っているのです。
美紀さん、その管をグッと引きます。
夏実さんの中に入っていたスコープ、鼻からズルズルズル~っと抜き出されます。
「お、おえ~。お、お、お、おうえ~…」
うわ~、入れる時よりも、ずっと苦しそう。大丈夫かな…。
あ、出ました。
終了です~。夏実さん、ホント、お疲れ様~。
感想は?
「う、ううう~。やっぱ、これは最悪ですね。気持ち悪すぎっす~!
麻酔で鼻の中が超変ですし~、喉も麻痺していて、つばも飲み込めないんすよ~。サイッテイです~」
「噴門を通過しますよ。胃の内部に侵入します」
へ~。この入口は噴門って言うんだ。勉強になります。
あ、通過…胃袋内です。
胃の中はクシャクシャ縦方向メインのシワシワがいっぱいあります。内容物はありません。やっぱり、既に消化して小腸へ送られてしまったようですね。
「空気を入れますよ」
シューッと空気が送られ、胃が膨らまされます。
うわ、シワがどんどん広がってくね。クニュクニュ動いています。生きている人間の胃の中を見ているのですよ。もう、感動です!
胃の壁はタップリの粘液でヌルッとしてますね。血色良い肌色で、滑らか。健康な胃です。
「奥の方へ入れますね」
湾曲した袋になっている胃。それに沿うように曲がって、ズーッとカメラを突っ込んでいって、奥は…。少し細くなってきました。
「幽門前庭部ね。胃の端っこの方よ」
お尻の穴のような感じで、シッカリ閉じている穴があります。
「幽門ね。胃の最終部分ね。この先が十二指腸。突っ込むわよ」
閉じている穴の中央、そこにグニュッと入り込みます。十二指腸の中ですね。空気が送られて膨らまされます。細く丸い管。輪状のたくさんの襞が特徴ですね。胃とは様子が違います。
先がずーっと続いています。
「夏実さん。いま、十二指腸に入ったところよ。カメラの位置、分かる?」
いや、訊かれても夏実さんは答えられませんよ。手振りで「分からない」と示します。
「長さ的には70cmくらい体内に入れているのよね。でも、真っ直ぐ入ってはいないからね。曲がりくねって入っているはず。どの位置なのか知りたいから、先を振動させてみるね」
あら、そんな機能までついているの? 普通はそんなのないでしょ? 特別製なんですかね…。
モニター画面が激しく揺れる…。
夏実さん、自分のお腹の右上(本人から見て)の辺りを指差します。そこが振動の震源ってことですね。
つまり、その位置が、現在カメラの先端が入っている十二指腸の最初の部分の位置です。
「うん、予想通りの位置ね。となると、その左が胃袋か…」
美紀さん、自分のお腹をまくって見ながら、胃の位置を想像している…。
そう、この調査、内臓の位置を確認するって意味もあるのです。
切腹ではお腹を切って内臓を取り出すのですからね。内臓の位置をしっかり把握したいのですね。
さて、続き。カメラをもっと突っ込みます。十二指腸の奥です。
入れて行くと、あ、何かある。食べ物の消化物だ。ドロドロのモノがあります。ご飯粒?夏実さん、何食べた? オニギリ?
これ以上は、もう無理ですね。本当はもっと深くの空腸部分まで入れて、お湯を抽入して小腸の絨毛観察までする予定でした。
しかし、腸管内が汚れているから無理だろうってことになりました。
「はい、お疲れ。終了します。夏実さん、カメラを抜き出しますよ」
結局、管は90cm弱突っ込んだようですね。人間の胴体に90cm。真っ直ぐだったらお尻から出ちゃっています。それだけの長さ、まがりくねりながら、スコープは今、夏実さんの体内に入っているのです。
美紀さん、その管をグッと引きます。
夏実さんの中に入っていたスコープ、鼻からズルズルズル~っと抜き出されます。
「お、おえ~。お、お、お、おうえ~…」
うわ~、入れる時よりも、ずっと苦しそう。大丈夫かな…。
あ、出ました。
終了です~。夏実さん、ホント、お疲れ様~。
感想は?
「う、ううう~。やっぱ、これは最悪ですね。気持ち悪すぎっす~!
麻酔で鼻の中が超変ですし~、喉も麻痺していて、つばも飲み込めないんすよ~。サイッテイです~」
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