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第4話 新しい日々
しおりを挟む「痛い!!!やめて...。お願いします...」
床から涙が零れ落ちている。でも、俺は続ける。
「お前の全財産がある場所を教えろ!」
「わかったわ...。扉を出て、右に行った突き当たりの部屋にある青色の箱の中にあるわ」
「あと、俺の首枷の鍵とリアの首枷と手錠の鍵はどこだ?」
「それもさっき言った部屋にあるわ」
「わかった。リア、先行ってくれ」
「ピーさんは?」
「俺はこいつを処理したら行く」
「そんなことしません」
「え?」
一瞬、リアが何を言っているのかわからなかった。
「ピーさんは一人で解決しようとしています。それはダメ。これからは二人で解決する。そうでしたよね?」
「あははっっっ。そうか。そうだな」
俺のことを、俺が言った言葉を信じてくれたんだな。
「あの、、、ピーちゃんさん。さっき処理って言葉が聞こえてきたのだけれど。私の勘違い?」
「な訳ないだろ!!!」
そして、太った女は殺された。
俺は太った女を殺した。初めて人を殺した。だけど、罪悪感などは一切感じられず、達成感が俺を埋め尽くしていた。
「さて、まずはこの部屋を出るか」
「そうですね。行きましょう!」
ここから俺の物語が始まった。
「私は本当に自由になれたのですか?」
「何を言ってるんだ。リアは自由だ。もう何も縛られなくていいんだ」
今まで散々辛いことがあったのだろう。その辛いことから解放されたことにまだ実感がないのかもしれない。
「ピーさんがそう言うなら...そうですね。あ!これ見て下さい!袋一杯に聖金貨が入ってます!私図鑑でしか見たことがなくて、実際に見るのは初めてです!」
俺たちは太った女が言っていた、財産や鍵がある隣の部屋に来ていた。そして、鍵を見つけ、俺の首枷とリアの首枷と手錠を解除した。リアは今、豪華な箱の中をくまなく見ている最中だ。満面の笑みを浮かべながら、俺に見せてくる。宝物を見つけた子供のようにワクワクした様子でこちらまで嬉しくなる。
「俺はよくわからないんだが、聖金貨はいくらなんだ?そもそも通貨は金貨やその聖金貨が使われているのか?」
「私も詳しくはわからないのですが、多分、聖金貨、金貨、銀貨、銅貨が使われています。それで、聖金貨は金貨10枚分で、金貨は銀貨100枚分で銀貨は銅貨100枚分と言われていますよ」
あまりピンとこないが、まずはこの聖金貨が一番高いお金だということがわかった。お金の価値は地道に市場とかで確かめて行こう。
「そうか、後は何か見つかったか?」
「...」
「いや、なんでもない」
リアの反応を見て、箱の中にあるものを察し、言葉を紡いだ。多分、人に関する何かなのだろう。あの太った女の趣味が異常なのがここでもわかった。
すると、リアは立ち上がり、俺に袋一杯の聖金貨を渡してきた。
「これはピーさんが預かって下さい」
「いいのか?俺が勝手に使ってしまうぞ?リアを置いて逃げてしまう可能性だってあるかもしれない。それでも俺に預けるのか?」
「何を言うんですか。私はピーさんを信じています。拷問の日々を送ってきた私を。死にそうだった私を。助けてくれたピーさんは私の唯一信じられる人です。だから、そんな被害妄想はやめて下さい」
俺は裏切られて、この世界にきた。だけど、この世界にも裏切られた俺はどこか信じられない自分がいた。でも、リアは違う。こうして、俺を信じてくれる。俺の代わりに命だってかけてくれたんだ。だから、俺もリアを信じる。
「わかった。俺もリアを信じる。これからは二人で一緒に行こう」
「はい。嬉しいです!でも、たまには刺激が欲しいので、死なない程度の拷問はお願いしたいです!」
「たまにならな」
二人とも少し狂ってしまったのかもしれない。拷問の日々を送ってきたリアは刺激が必要な身体になってしまったようだ。毎日同じ物を食べるのは飽きるように拷問もたまにならやって欲しいのだと思う。
「おいリアー。タンスにローブが入ってるぞ」
「良かったです!これで身体を隠せますね」
俺たちには見られていけないものがある。獣耳と尻尾だ。それらは見られたら最後、この国では生きていけない。また、奴隷として扱われてしまうのだ。
「あぁ。良かった。それと、今後について話すぞ」
「はい!」
「俺たちはここを拠点にして、ある程度、生活に充実してきたら家を買おう。太った女が住んでいた家はやだからな。後、俺は冒険者になろうと思うんだが、リアはどうする?」
「決まってます!何処へでもピーさんについていきます!」
「わかった。リア。それと俺はもうピーさんではない。本当の名前があるんだ。リアもそうだろう?」
「あ、そうですよね。気づかなくてごめんなさい。あの人にはそのままの名前で大丈夫と言われたので、私はリアです」
「俺は佐藤龍太郎。改めてこれからよろしくなリア!」
「よろしくお願いします。龍太郎さん!」
そして俺たちは部屋のベッドで仲良く寝た。
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