小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第九章 久々のセルカーク直轄領

第六百三十四話 おめでたい話

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「戻りました」
「レオ君、おかえりなさい」

 屋敷に戻ると、デイジーさんが僕たちを出迎えてくれました。
 そして、そのまま応接室に向かいました。
 うん、何故かデイジーさんはユキちゃんをひょいと抱っこしているね。
 ユキちゃんも、当たり前のように抱っこされていますね。

「いま、お父様たちはお仕事中なのよ。お兄様も、一緒に仕事をしているわ。夕食の時には、全員揃うはずよ」

 お仕事中にお邪魔をするのは悪いし、夕食の時に報告をすればいいよね。
 それに、町の人もとてもいい人ばっかりだったし、改めてアマード子爵領はいいところだなって思います。
 すると、デイジーさんがこんなことを教えてくれました。

「アマード子爵領はレオ君が一年間活動したところってのもあって、多くの人が訪れているわ。それくらい、レオ君の存在は大きいって改めて感じたのよ」

 おお、まさかそんなことが起きていたなんて。
 僕も、とってもビックリしました。
 でも、ソファーの後ろにいるジェシカさんはこれくらい当然って表情ですね。

「あと、レオ君の直弟子のナナさんにも工房で会ったわ。レオ君から色々なことを教えてもらっているだけあって、とてもいい人だったわ」
「ナナさんも、アマード子爵領の人によくしてもらったって言っていました。僕も、ホッとしています」
「コバルトブルーレイク直轄領で色々あったって聞いたけど、この町はレオ君の関係者に悪いことはしないわよ」

 アマード子爵家の人にこう言ってもらえるなんて、ナナさんたちは本当に良かったですね。
 僕としては、あの時は目の前にあるお仕事を一生懸命頑張ろうと思っただけなんだよね。
 でも、そんな僕のことを町の人が評価してくれたんだ。
 結果的に、ナナさんたちの為になってホッとしています。

「レオ君のお陰かわからないけど、アマード子爵家に対する評価もとても上がったわ。兄や私の婚姻関係も、いい方向に纏まりそうなのよ」
「わあ、そうなんですね。できることなら、僕もお二人の結婚式に参加したいです」
「ふふ、そうね。もう少し先になると思うけど、色々決まったら連絡するわ」

 とっても嬉しいことが決まって、僕も思わずほっこりとしちゃいました。
 お二人の結婚式が、今からとっても楽しみですね。
 その後は、僕がどこで何をしていたかを話しました。
 やっぱり、噂だけでは分からないことも多いですよね。
 シロちゃんたちとお友達になった経緯も教えてあげました。
 特に、ドラゴンのソラちゃんにはデイジーさんも興味津々でした。
 こうして、夕食前のお話も終わったので、僕は客室に戻ってお風呂に入ります。
 その後は、夕食の時間です。

「メアリーは、少しだけど水や流動食を食べることができた。治療直後よりも、だいぶ調子を取り戻している」

 サイオンさんがホッとしながら話してくれたけど、メアリーさんの体調はかなり良くなっているみたいですね。
 明日の朝ももちろん治療するけど、僕の懸念は体に障害が残っちゃうかもってことです。
 メアリーさんは高齢だから、僕の治療に体が耐えきれるかどうか分からないんだよね。

「レオ、たとえメアリーの体に障害が残っても儂はキチンと面倒を見る。メアリーを襲った病気になったものを、他にも見ていた。だから、何となくどういうものか分かるのだよ。それに、逆に儂の体調が悪かった時にメアリーは献身的に助けてくれた。今度は、儂の番だ」

 おお、サイオンさんがニコリとしながらカッコいいことを言ったよ。
 他の人たちも、もちろんメアリーさんを支えるつもりです。

「お祖母様には、私の結婚式に参加してもらいたいと思っています」
「ふふ、そうね。そうなって欲しいわね」

 ジョセフさんの希望に、グレイスさんがにこやかに頷いていました。
 メアリーさんの病気を期に、アマード子爵家の団結がより一層強くなった感じだね。
 こうして、和やかな雰囲気で夕食は進んで行きました。
 みんな暗い雰囲気にならなくて、僕もホッとしました。
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