小さな大魔法使いの自分探しの旅　親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第九章　久々のセルカーク直轄領

第六百三十三話　薬屋さんでビックリすることが

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　そして、アクアさんはこんなことを話してくれました。

「ナナさんは、正真正銘のレオ君の直弟子よ。きっと他の町で活動していたら、色々なことを言われたかもしれないわ。コバルトブルーレイク直轄領からアマード子爵領に来て、本当に良かったと思うわよ」

　アクアさん曰く、僕ならこう出来たって言う人が必ずいるはずって言いました。
　確かにナナさんに失礼な話だけど、その可能性は大いにあるかも。
　だから、僕の師匠の一人であるアクアさんの下で色々勉強しているのはとても良いことです。
　更にフローネさんが色々なことを教えているので、人として成長しているそうです。

「レオ君は、魔法の力だけでなく色々なことを成し遂げたからこそ貴族になったのだと思うわ。そんな人の弟子だったなんて、私にとって誇りでもあるのよ」

　ナナさんだけでなく、ユマさんとハナさんもうんうんとナナさんの話に同調するように頷いていました。
　僕は、本当にいい人に恵まれていたよね。
　作業の邪魔をしては駄目なので、ここで次のところに行くことにしました。
　親方さんとドモンさんが本気で作った剣がどんなものなのか、とっても楽しみです。
　みんなに挨拶をして、馬車に乗り込みました。

「次は薬屋さんだね。みんなに会えるのがとっても楽しみだなあ」

　ワクワクしているうちに、あっという間に薬屋さんに到着しました。
　やっぱり、馬車だと移動がとっても早いですね。
　ちょうどお客さんもいないみたいだし、タイミングが良かったのかもしれません。
　僕たちは、さっそく薬屋さんの中に入りました。

「こんにちは」

　ぽすっ。

「あうー？」

　あれ？
　薬屋さんの中に入ったら、僕の足によちよち歩きの赤ちゃんが抱きついてきて、僕のことを見上げているよ。
　えーっと、この子は誰なのかな。
　すると、僕に声をかけてきた人がいました。

「おや、レオ君じゃないかい。久しぶりだね」

　昔の記憶のままのおばさんが、僕にニコリとしながら声をかけてきました。
　そして、僕のところにやってきて足に抱きついている赤ちゃんを抱っこしました。

「ふふふ、お兄ちゃんに会えて良かったわね」
「あぶー」

　おばさんがニコニコしながら赤ちゃんをあやしているけど、この赤ちゃんってもしかして……

「おばさん、この子ってもしかしてサラサさんの子どもですか？」
「そうよ、良くわかったわね。二人は買い出しにいっていないから、私が孫の面倒を見ていたのよ」

　おお、遂にサラサさんとジェフさんは結婚したんですね。
　よく見るとサラサさんの髪色とそっくりだし、とても可愛い赤ちゃんですね。
　すると、店の中に駆け込んでくる人が現れました。

「あっ、ジェフさんとサラサさんです。お久しぶりです」
「おっ、やっぱりそうか。久しぶりだな」
「大きな馬車が店の前に停まっていたから、もしかしてそうかなって思ったのよ」

　大きな袋を抱えながら現れたのは、こちらも昔と変わらないジェフさんとサラサさんでした。
　ついでということで、おじさんとパン屋のおかみさんにも来てもらうことになりました。

「一応、キチンと結婚してから子どもができたぞ。まあ、その辺はしっかりとしていたみたいだがな。キチンと修行もしているし、まあこのまま頑張ればいいさ」

　おお、おじさんも認めるほどジェフさんも頑張っているんですね。
　きっと修行は大変だったんでしょうね。
　そして、パン屋さんのおかみさんも赤ちゃんを抱いてニコニコとしていました。

「息子が結婚できるとは思わなかったわよ。それもこれも、サラサちゃんのおかげよ。こうして、孫と触れ合うのも楽しいものさ」
「あぶあぶ」

　二人が認められるまで、きっと大変な苦労があったんだね。
　みんながほっこりしていると、ユキちゃんがちょんちょんと僕の服を引っ張りました。

「アオン」
「えっ、なになに？　サラサさんのお腹に反応がある？」
「「「えっ？！」」」

　僕たちはビックリしちゃって、急いで許可を貰ってサラサさんを鑑定しました。
　病気とかだったら大変だもんね。
　すると、とってもビックリする結果が待っていました。

「あの、病気ではなかったんですけど、妊娠中って表示が出ていました」
「そういえば月ものが遅れているかなと思ったけど、そういうことだったのね」

　他の人はとてもビックリしていたけど、サラサさんは平然としていました。
　つわりも全く無くて、全く普通に過ごしていたそうです。
　軽く魔力を流しても、サラサさんは健康体そのものでした。

「まあ、特に心配はないよ。あたしだって、子育てしながら接客していたわけだもんね」
「そうね、そうよね。孫は聞き分けのいい子だし、全然平気よ」

　あっ、おばさんとおかみさんが平然としているのに、おじさんとジェフさんがおどおどしちゃっていました。
　でも、これなら大丈夫かなって思っちゃいました。
　そして、今後のことで話があるそうなので僕は薬屋さんを後にしました。
　みんな幸せそうで、本当に良かったです。

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