小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

第九章 久々のセルカーク直轄領

第六百三十話 昼食会の始まり

　ベッドにちょっとだけ寝転んで休んでいると、昼食会の準備が整ったと連絡がありました。
　ジェシカさんに服をちょっと整えてもらい、パーティー会場となる大部屋に向かいました。
　前に、新年のパーティーが開かれていたところですね。
　すると、そこには懐かしい人たちが僕を待っていました。

「あっ、親方さん、ドモンさん！　久しぶりです」
「おお、レオか。随分と大きくなったな。はは、立派な服を着ているな」
「今や、国を代表するお貴族様だもんな。でも、雰囲気は変わらないな」

　二人とも、僕の頭を撫でながらニコリとしながら話をしてくれました。
　昔の面影そのままで、とっても嬉しくなりました。
　更に、僕に声をかけてきた人がいました。

「おっ、レオじゃないか」
「薬屋さんのおじさん、久しぶりです！」
「レオも、元気そうで何よりだ。活躍は、常々聞いていたぞ」

　薬屋さんのおじさんは、僕の肩をバンバンと叩きながら話をしてくれました。
　そういえば、ジェフさんとサラサさんはどうなったのかな？
　後で話を聞いてみよう。
　そして、この人も声をかけてきました。

「レオ君、久しぶりね。お元気そうで何よりだわ」
「あっ、ローラさん。ローラさんもお元気そうですね」
「ふふ、元気だけが取り柄なのよ。レオ君が素晴らしい功績をなし得たと、色々と話を聞いているわ」

　教会の司祭様のローラさんも、変わらずお元気でした。
　僕が何をやったかってことは、国中に広まっているんだよね。
　何だか、ちょっと恥ずかしいなあ。
　そんな中、ウィリアムさんが工房の親方さんと何か話をしていました。
　僕のことをチラチラと見ているけど、何かあるのかな？
　そして、グレイズさん、デイジーさん、ジョセフさんも、大部屋に姿を現しました。
　商店街の人たちも、集まってきました。
　すると、ウィリアムさんが前の方に行き、そして僕のことを手招きしました。
　ウィリアムさんが、執事からマイク型の魔導具を受け取って集まった人に話し始めました。

「昼食会に先立ち、ここに集まった皆に伝えることがある。先ほど、母上が病に倒れた。かなりの重病だったが、レオ君の治療を受けて何とか命を取り留めた」

　ウィリアムさんがメアリーさんのことを話すと、少しどよめきが起きた。
　まさかあの元気なメアリーさんが病気で倒れただなんて、ちっとも思わないよね。
　そして、同時にここにサイオンさんがいない理由も分かって貰いました。

「レオ君には、父上の命も助けて貰った。あの小さかったレオ君が、このアマード子爵領で数々のことをなし得たことは皆の記憶に刻まれていると思う。そこで、レオ君が貴族になった記念も込めて、親方にミスリルの剣を打って貰うことになった。これは、国王陛下にも許可を貰った」
「「「うおー！」」」

　えー？！
　な、何だか大事になっちゃったよ。
　僕の方がアマード子爵家の皆さんに良くして貰ったから、治療なんて当たり前だと思っていたのに。
　集まった人も、かなり盛り上がっちゃいました。
　僕はというと、あわあわしながらウィリアムさんとニヤリとしている親方を交互に見ていました。
　その間に、飲み物が配られました。
　昼食会なので、アルコールはありません。

「それでは、我がアマード子爵家とここに集まった皆の、そして宮廷魔導師ポラリス男爵の益々の発展を祈願し乾杯とする。乾杯！」
「「「乾杯！」」」

　そして、わたわたしているうちに乾杯になっちゃいました。
　と、とにかく話をしないと。
　ちょうど親方さんがこっちに来たので、話を聴いてみよう。

「ウィリアムさん、親方さん、ミスリルの剣っていったいどういうことですか？　僕の方が、皆さんにお世話になっているのに……」
「そういうレオ君だからこそ、我々も恩返しをしたいのだよ。それに、父上も是非にと言っていた。レオ君にとって当たり前は、私たちにとっては特別なことなんだよ」
「そうそう。それに、レオの家の剣を作るんだ。俺たちにとっても、気合の入る仕事になる」

　ウィリアムさんも、親方も、その他の人も僕にニコリとしていました。
　念のために通信用魔導具で各所に確認したら、何も問題ないと回答がありました。
　ということで、剣をお願いすることになりました。
　ちなみに、既に工房に連絡がいっているそうなので、後でお礼をしないといけないですね。