小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第九章 久々のセルカーク直轄領

第六百二十話 今日の僕は休憩がお仕事です

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 翌朝、僕は朝から訓練をして準備を整えます。
 宮廷魔導師の服を着て準備をしているけど、いったい何をするのだろうか。
 よく分からないまま、迎えに来たマヤさんとセラさんの後をついていきます。

「そういえば、明日にはレオ君もアマード子爵領に出発するのよね。なんか、さみしくなるわ」
「そうね。滞在五日間も終わるし、もうすぐお別れなのね」

 町を歩きながら二人がしんみりとした感じで言っていたけど、予定では明日の午前中にアマード子爵領に向けて出発します。
 僕一人の旅行だったら日程を変更出来たかもしれないけど、軍としての行動だからこればっかりはどうしようもありません。

「マヤさんとセラさんも、そのうち王都に来て研修を受ける時がありますよ。その時に、また会えると思います」
「そっか、その手があったか」
「レオ君は、たまに軍で訓練官みたいなことをしているよね」

 確かアイリーンさんの妹のケイトさんも、時々王都に来て訓練をしてるもんね。
 セレンお姉さんたちも王都に来たことがあるみたいだし、マヤさんとセラさんもどこかのタイミングで王都に来るかもしれない。
 その時を、楽しみにしておきましょう。
 そして、僕たちは守備隊の施設に到着しました。
 すると、複数の馬車と馬が用意されていました。
 うーん、ますます分からなくなっちゃったよ。
 すると、守備隊長さんがこんなことを言ってきました。

「これから、新人守備隊員と新人兵による合同巡回を開始する。街道の周囲は森林地帯なので、十分に気をつけるように」
「「「はい!」」」

 おお、これから街道の巡回を行うんですね。
 となると、僕は何かあった時のための治療役ですね。
 と思ったら、話が違ってきました。

「レオがいると、新人の訓練にならない。そこの小さいスライムとサンダーホークがいれば十分だろう」
「ピィ!」

 まさかの、シロちゃんとピーちゃんだけで十分宣言です。
 とはいえ、この二匹のコンビで森の中にいた大蛇を簡単に倒しちゃったんだよね。
 治療もできるし、ピーちゃんなら周囲の索敵もできます。
 ということで、この面々で行くことになりました。
 えーっと、じゃあ僕は何をすれば良いのだろうか。
 出発する面々を見送りながら、またもやはてなって思いました。
 取り敢えず事務棟の応接室に行くことになったので、ジェシカさんたちと一緒に向かいました。

「じゃあ、この後の流れについて確認しよう」

 応接室に入ると、部隊長さんがベテランの兵と共に僕に話しかけました。
 そっか、明日から短い期間だけど馬車旅が始まるもんね。

「アマード子爵領へは、通常通り三日間を予定している。アマード子爵領に到着次第、アマード子爵や町の代表と面会する。翌日はフリーとなるが、レオ君には教会での治療の依頼が来ている。そして、翌日は王都行きの街道経由で王都に帰還する」

 ふむふむ、何となく予想できた流れです。
 教会での治療に関しても、僕も精一杯頑張りたいです。
 そして、アマード子爵領から出発して十二日で王都に到着するそうです。
 とはいえ、特に何か問題になることは今のところ起きていないそうです。

「王都から、特段こうしてくれというリクエストも来ていない。というか、レオ君が住人を治療したり道中の問題を解決したりと、逆に感謝されているくらいだ」
「うーん、僕としては町の人に恩返しするつもりで治療しただけなんですけどね」
「レオ君にとって何気ない行動でも、町の人にとってはありがたいのだよ。色々な諸問題を解決し、軍のみならず王国としても助かったのは間違いない」

 うーん、そんなに褒められるとちょっと恥ずかしいなあ。
 町の人が喜んでくれたのは、ちょっと嬉しいけどね。
 えーっと、じゃあ次の話はっと……

「じゃあ、これで話は終わりだ。レオ君はお土産でも買っているといい」

 えー!
 まさかの、今日は何もやることがないと言われちゃいました。
 確かにフランソワーズ公爵家の人たちにお土産を買う予定だったけど、直ぐに決まっちゃいそうな気がします。
 というか、今日何もやることがないから、みんな僕に黙っていたんですね。
 部隊長さんは明日の出発に向けてやることがあるので手伝うと言ったら、部隊長がやらないといけないことだからとやんわりと断られちゃいました。
 ベテラン兵も、休む時は休んだ方がいいと言われちゃいました。
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