小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第九章 久々のセルカーク直轄領

第五百九十一話 旅も折り返しです

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 旅も六日目に入りました。
 いよいよ、目的地であるセルカーク直轄領まで半分のところにきました。
 今日はニース伯爵領の第二都市から男爵領に行くんだけど、道中坂道がある上に森も周囲に広がるそうです。
 なので、今日はシロちゃんたちの勉強はお休みで、シロちゃんは馬車の御者席に乗って周囲を警戒し、ピーちゃんも空から周囲の警戒にあたるそうです。

「うう、僕も勉強をお休みしたかった……」
「レオ様の勉強のお休みはございません。皆さんの強さは私も良く知っておりますので、ゴブリンキングが十頭も出ない限りレオ様の出番はないかと」

 ジェシカさんにも軽くあしらわれちゃったし、そもそもジェシカさんはシロちゃんたちの実力を良く知っています。
 確かにシロちゃんだったらゴブリンキングやオークキングでも簡単に倒しちゃうし、ピーちゃんも強力な雷魔法を放ちます。
 ユキちゃんも以前よりも強くなっているし、そもそも僕の乗っている馬車は多くの兵によって守られています。
 そう考えると、僕が出ていくことって本当に稀なことなのかも。
 そう思いながら、僕は本を読んでいきました。
 そして、ここである問題が発生しました。

「冒険者ギルドの入学試験用の問題集、全部終わっちゃった……」

 いつもよりも勉強する時間が取れたので、一気に問題集を解いちゃいました。
 旅があるから、念のために三冊用意したんだけどなあ。
 どうしようかなと思ったら、ジェシカさんが一言。

「レオ様、復習のためにもう一度問題集をやりましょう。繰り返し勉強することは、とても有意義なことです」

 ジェシカさんの最もな意見に、僕は従わざるを得なくなりました。
 うん、何だか以前よりもジェシカさんの迫力が増している気がします。
 僕が国境の基地にいる際にジェシカさんも侍従としての勉強をしたらしいけど、きっとその成果が出たのかな。

「よし、動きを止めている間にトドメを刺すように」
「「「はい!」」」

 馬車の外では、森から現れたオオカミの対応を部隊長さんが部下に指示をしていました。
 シロちゃんとピーちゃんは手出し無用みたいだし、僕の出番は全くないなあ。
 馬車の窓から、ちょっぴり羨ましいなあって思いながら見ていました。

「結局、動物や魔物が出ても全く影響はありませんでしたね。みんな、兵が倒していましたし」
「そのくらいはやらないと駄目でしょう。仮にも新人とはいえ、遠征部隊に選ばれる実力の持ち主なのですから」

 昼食時に部隊長さんと話をしたけど、このくらい当然だといった感じでした。
 怪我をした場合も、いつも怪我をしたらどう手当てをするかをやってからシロちゃんが治療していました。

「今回は、レオ君という要人警護の訓練も兼ねている。実際に宮廷魔導師だし、ポラリス男爵様だ。レオ君が要人ってのも、あながち間違いではない」

 うん、僕の出番は全くないんですね。
 逆に、要人が手出しをすることがあってはならないみたいです。
 いつもの馬車便だと、逆に先頭に立って動物や魔物を倒したんだよね。
 立場って、とっても難しいです。
 その後も、現れる動物や魔物を兵が倒していくのを馬車の窓から眺めていました。
 最初の時よりも連携もスムーズになっていて、手際よく現れたものを倒して行きました。
 確かに国境の兵みたくとんでもない強さじゃないけど、十分に強いともいえました。
 こうして、無事に今日泊まる宿に到着しました。
 因みに、定時報告で「要人として守られるのって難しいです」って送ったら、「レオらしい答えだな」ってブラウニー伯爵から返信がありました。
 他の人も、僕らしいとか良い訓練だって書いてありました。
 うーん、やっぱり要人って難しいね。
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