小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第九章 久々のセルカーク直轄領

第五百九十話 街道で倒れていた女性を治療します

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 五日目の朝になりました。
 今日は、ヨーク伯爵領の第二都市に宿泊する予定です。
 天気もバッチリ良くて、風もとっても気持ちいいです。
 定時連絡をしたら、バーボルド伯爵領から直ぐの駐屯地に調査官が着いたそうです。
 今ごろ、指揮官は滅茶苦茶怒られている頃ですね。
 さて、僕たちは予定通りにヨーク伯爵領の領都を出発しました。
 馬車の中で、いつも通りの勉強を行っています。

「ワフワフ」
「ピィピィ」

 ユキちゃんとピーちゃんの勉強も、中々はかどっていますね。
 計算ができるコボルトとサンダーホークっていうのも、中々珍しいですね。
 シロちゃんはとっても頭が良いし、教えるのも上手です。
 僕にも勉強を教えて欲しいなぁって思いながら、本を読んでいます。
 昼食も食べてもう少しで第二都市に着くところで、思いがけないトラブルが発生しました。

「あっ、旅の人が倒れているよ!」
「アンアン!」

 なんと、街道の端で一人の女性が倒れていました。
 女性の側には連れっぽい男性がいるけど、呼びかけに応じていないみたいです。
 流石に見逃せないので、馬車を停めて二人のもとに向かいました。

「大丈夫ですか? 具合が悪いんですか?」
「あっ、彼女が急に倒れてしまって……」
「うう……」

 女性は脂汗をかいていて、見るからにかなり辛そうでした。
 男性の許可を得て、先ずは鑑定で女性の病状を調べます。

 シュイン、ぴかー。

「うーん、風邪を引いている上に胃腸も良くないですね。これでは辛いのも仕方ないです」
「えっ、そんな……」

 男性はかなり驚いていて、どうも女性の体調が悪いことに気が付かなかったみたいです。
 取り急ぎ治療しないと。
 僕は、魔力を溜め始めました。

 シュイン、ぴかー!

「これで良くなりました。でも、体力をかなり消費しているので、無理に歩かせるのは良くないですね」
「そ、そんな……」

 男性はどうしようかと迷っているけど、ここに女性を放置しておくのは良くないですね。
 僕は、部隊長さんと相談をしました。

「僕たちはこの先の町まで行くので、お二人を馬車に乗せてますね」
「えっ、本当ですか? ありがとうございます!」

 男性が、何度も僕と部隊長さんに頭を下げました。
 それよりも、早く女性を馬車に乗せてあげないと。
 兵が手分けして馬車に女性を乗せ、ジェシカさんが素早く女性の介護を始めました。
 すると、ユキちゃんがあることに気が付いたみたいです。

「アオン!」
「えっ、女性のお腹に赤ちゃんがいる?」
「ええー!」

 男性は、またもやとってもビックリしちゃいました。
 もう一回女性を鑑定すると、確かに妊娠中という表示が出ていました。
 というか、ユキちゃん良く分かったね。
 こうして、無事に町に到着して二人は馬車から降りていきました。
 女性も元気になったみたいで、本当に良かったね。
 ちなみに男性は最後までドキドキハラハラしていたので僕たちのことに気がつかなかったけど、女性は一発で僕のことに気が付いたみたいです。
 定時報告でこの事を報告したら、ブランドルさんから軍は人命救助も任務にあるから何も問題ないと言っていました。
 頑張って、元気な赤ちゃんが生まれるといいですね。
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