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第九章 久々のセルカーク直轄領
第五百八十八話 何とか解決です
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「うっ、こ、ここは……」
「ヨーク伯爵、気がついたか! 黒髪の魔術師が貴殿を治療したのだ」
「おお、そうか。私は助かったのだな」
声を発したヨーク伯爵に、部隊長さんがホッとした感じで話しかけた。
部隊長さんも、ヨーク伯爵の容体をかなり気にしていたんですね。
そして、ゆっくりとベッドから体を起こしました。
体の節々を触りながら、驚きの表情を浮かべていました。
「信じられん、肩や膝の痛みが全くない。まるで生まれ変わったかのようだ」
「あっ、体中の悪いところも一緒に治しましたよ。軍人さんって、腰や膝も悪くなる人が多いんですよね」
「ははは、それは訓練をしているからだ。宮廷魔導師の力、この身で実感したぞ」
すると、ヨーク伯爵はおもむろに立ち上がりました。
二人の子どもが心配そうに両脇についたけど、ヨーク伯爵は心配いらないとニコリとしました。
本人曰く少し痩せたと言っていたけど、それでも筋肉質の体型だと思いますよ。
そして、ヨーク伯爵は執事に問いかけました。
「あの二人はどこにいる?」
「応接室におります」
「では、私の手で裁くとするか。わざわざレオ君の手を煩わせる必要はない」
おお、ヨーク伯爵からゴゴゴって怒気が膨れ上がったよ。
それほど、正妻と側室に怒っているんだ。
もちろん、僕たちも後をついていきます。
ガチャ。
「待たせたようだな……」
「あっ、あなた!」
「そんな、歩いて!」
ヨーク伯爵が睨みを利かせながら応接室に入ると、正妻と側室の顔は真っ青になりました。
思わずソファーから立ち上がりそうになったけど、兵が肩を押さえて無理矢理二人を座らせます。
うん、俯いてガクガクと震えていますね。
「お前たちのやっていることは、全て把握している。横領だけに飽き足らず、互いの子どもを毒殺しようとして毒を購入したこともな」
「「えっ!」」
立ったまま二人を尋問するヨーク伯爵の隣にいた子どもが、思わず父親の顔を見ていました。
そして、母親の顔を信じられないという表情で見ていました。
「そして計画が私にバレて、互いに私を毒殺しようとしたこともな。鍛えた体がなければ、今頃は天国に行っていただろう」
「「うぐっ……」」
それぞれ別々に行動していて、たまたま同タイミングでヨーク伯爵を毒殺しようとしたんだ。
これには、僕たちも呆れるばかりです。
すると、今度は部隊長さんがやってきました。
「二人の部屋から、即効性、遅効性両方の毒物が発見された。鑑定を進めれば分かるが、そもそも毒物があること自体駄目だ」
「アオン!」
「ピィ!」
そういえばいつの間にかシロちゃんたちがいないと思ったけど、あっという間に毒物を見つけたんだ。
特にユキちゃんの鼻の良さは凄いもんね。
更にヨーク伯爵の怒りは止まりません。
「息子に対する理不尽な虐待も把握している。それに、その格好はいったいなんだ? ふざけているにも程がある」
「「うう……」」
もはや、正妻と側室は顔面蒼白です。
自分のやっていたことが、ここまでバレていたとは思わなかったのでしょう。
そして、ヨーク伯爵が決断を下しました。
「二人を死刑囚牢に入れるように。服も相応しいものを用意するのだ。厳しい尋問をするように!」
「「「はっ」」」
「し、死刑囚?!」
「旦那様、お、お許し下さい!」
ヨーク伯爵は、二人を許すつもりはないのだろう。
二人が醜く叫ぶが、最後まで謝罪の言葉はありませんでした。
そして、ヨーク伯爵が二人の子どもを抱きしめました。
「二人とも、辛い思いをさせて済まなかった。これからは、私もできるだけそばにいよう」
「「お父様!」」
きっと、子どもも辛い思いをしていたんですね。
母親のことを全く庇わなかったのを考えると、そういうことなのでしょう。
僕たちも、ホッと安堵の表情を浮かべました。
あっ、無事に解決できたと連絡しないと。
僕は、通信用魔導具を取り出して何があったかを連絡しました。
「ヨーク伯爵様、ブランドルさんが調査官を派遣すると言っています」
「これだけの事件になったのだ、軍務大臣が動くのは当然だろう。了解したと伝えてくれ」
街道を預かる大貴族当主への毒殺未遂だから、国が動くのも仕方ないね。
でも、ヨーク伯爵が悪いことをしたわけではないし、陛下も後は軍務大臣に任せると返信していました。
まだヨーク伯爵家の屋敷に入って三十分経っていないけど、ひとまず一件落着ですね。
「ヨーク伯爵、気がついたか! 黒髪の魔術師が貴殿を治療したのだ」
「おお、そうか。私は助かったのだな」
声を発したヨーク伯爵に、部隊長さんがホッとした感じで話しかけた。
部隊長さんも、ヨーク伯爵の容体をかなり気にしていたんですね。
そして、ゆっくりとベッドから体を起こしました。
体の節々を触りながら、驚きの表情を浮かべていました。
「信じられん、肩や膝の痛みが全くない。まるで生まれ変わったかのようだ」
「あっ、体中の悪いところも一緒に治しましたよ。軍人さんって、腰や膝も悪くなる人が多いんですよね」
「ははは、それは訓練をしているからだ。宮廷魔導師の力、この身で実感したぞ」
すると、ヨーク伯爵はおもむろに立ち上がりました。
二人の子どもが心配そうに両脇についたけど、ヨーク伯爵は心配いらないとニコリとしました。
本人曰く少し痩せたと言っていたけど、それでも筋肉質の体型だと思いますよ。
そして、ヨーク伯爵は執事に問いかけました。
「あの二人はどこにいる?」
「応接室におります」
「では、私の手で裁くとするか。わざわざレオ君の手を煩わせる必要はない」
おお、ヨーク伯爵からゴゴゴって怒気が膨れ上がったよ。
それほど、正妻と側室に怒っているんだ。
もちろん、僕たちも後をついていきます。
ガチャ。
「待たせたようだな……」
「あっ、あなた!」
「そんな、歩いて!」
ヨーク伯爵が睨みを利かせながら応接室に入ると、正妻と側室の顔は真っ青になりました。
思わずソファーから立ち上がりそうになったけど、兵が肩を押さえて無理矢理二人を座らせます。
うん、俯いてガクガクと震えていますね。
「お前たちのやっていることは、全て把握している。横領だけに飽き足らず、互いの子どもを毒殺しようとして毒を購入したこともな」
「「えっ!」」
立ったまま二人を尋問するヨーク伯爵の隣にいた子どもが、思わず父親の顔を見ていました。
そして、母親の顔を信じられないという表情で見ていました。
「そして計画が私にバレて、互いに私を毒殺しようとしたこともな。鍛えた体がなければ、今頃は天国に行っていただろう」
「「うぐっ……」」
それぞれ別々に行動していて、たまたま同タイミングでヨーク伯爵を毒殺しようとしたんだ。
これには、僕たちも呆れるばかりです。
すると、今度は部隊長さんがやってきました。
「二人の部屋から、即効性、遅効性両方の毒物が発見された。鑑定を進めれば分かるが、そもそも毒物があること自体駄目だ」
「アオン!」
「ピィ!」
そういえばいつの間にかシロちゃんたちがいないと思ったけど、あっという間に毒物を見つけたんだ。
特にユキちゃんの鼻の良さは凄いもんね。
更にヨーク伯爵の怒りは止まりません。
「息子に対する理不尽な虐待も把握している。それに、その格好はいったいなんだ? ふざけているにも程がある」
「「うう……」」
もはや、正妻と側室は顔面蒼白です。
自分のやっていたことが、ここまでバレていたとは思わなかったのでしょう。
そして、ヨーク伯爵が決断を下しました。
「二人を死刑囚牢に入れるように。服も相応しいものを用意するのだ。厳しい尋問をするように!」
「「「はっ」」」
「し、死刑囚?!」
「旦那様、お、お許し下さい!」
ヨーク伯爵は、二人を許すつもりはないのだろう。
二人が醜く叫ぶが、最後まで謝罪の言葉はありませんでした。
そして、ヨーク伯爵が二人の子どもを抱きしめました。
「二人とも、辛い思いをさせて済まなかった。これからは、私もできるだけそばにいよう」
「「お父様!」」
きっと、子どもも辛い思いをしていたんですね。
母親のことを全く庇わなかったのを考えると、そういうことなのでしょう。
僕たちも、ホッと安堵の表情を浮かべました。
あっ、無事に解決できたと連絡しないと。
僕は、通信用魔導具を取り出して何があったかを連絡しました。
「ヨーク伯爵様、ブランドルさんが調査官を派遣すると言っています」
「これだけの事件になったのだ、軍務大臣が動くのは当然だろう。了解したと伝えてくれ」
街道を預かる大貴族当主への毒殺未遂だから、国が動くのも仕方ないね。
でも、ヨーク伯爵が悪いことをしたわけではないし、陛下も後は軍務大臣に任せると返信していました。
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