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第九章 久々のセルカーク直轄領

第五百八十六話 勉強が難しすぎます!

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 僕たちの旅も、三日目になりました。
 今日も、朝早くから身支度を整えて出発します。
 そういえば、生活魔法を使って兵の服とかを綺麗にしたらとっても喜ばれました。
 何でも、下着だけ夜の間に洗って干していることが多いそうです。
 毎日はしなくていいと部隊長さんに言われたので、二日に一回のペースでやります。
 僕たちは、毎日生活魔法で服を綺麗にしているけどね。

「今日は空が曇りですね。雨が降らなければいいですけど……」
「日中は多分持つだろう。夜は分からないがな」

 部隊長さんも、出発前に僕と一緒に空を見上げていました。
 本降りはなくても、日中は小雨くらいはありそうです。
 なので、騎馬隊は全員外套の準備をします。
 今日は、お昼すぎには目的地の男爵領に着くそうです。
 ということで、準備が整ったので出発します。

「ワフワフ……」
「ピィ」

 今日も、シロちゃん先生がユキちゃんとピーちゃんに勉強を教えています。
 僕も冒険者学校試験の勉強をしているけど、問題集を一つ解き終わっちゃった。
 ごそごそと、新しい問題集を取り出して勉強を再開します。

「レオ様、一段落したら今度は貴族としての勉強もいたしましょう」
「計算問題はできるけど、統治とか難しいよね」
「レオ様なら問題ないかと。レベルとしては、アレックス様がやられている勉強と同様です」

 ジェシカさん、いきなり僕がアレックスさんと同レベルの勉強はキツイと思います。
 アレックスさんはフランソワーズ公爵家の跡取りだから、とっても難しい勉強をしているんだよ。
 そして、何故かシロちゃんのアイテムボックスからその難しい勉強の本が出てきました。
 うん、シロちゃんとジェシカさんは最初から僕に貴族の勉強をさせる気だったんですね。
 トホホって思いながら、僕はジェシカさんから勉強の本を受け取りました。

「レオ、どうした? いつもの元気がないぞ」

 馬車の中で凄く難しい勉強をしていたので、昼食時にはヘロヘロになっちゃいました。
 兵が珍しいと聞いてきたので、僕は魔法袋から勉強していた本を渡しました。
 すると、部隊長さんも含めて多くの兵が本をペラペラとめくって、そしてこめかみを指で摘んでいました。

「な、なんだこの本は! 難しいってレベルじゃないぞ」
「駄目だ、こんなものを読んだら頭が痛くなる」
「私、こんなに文字が羅列されている本は初めてみたわ」

 次々と兵が感想を言っているけど、僕も同意見です。
 すると、部隊長さんが凄いことを言ってきました。

「この本は、上級官僚試験を受けるレベルの本だ。レオ君ならこなせると思うけど、相当頭が良くないと駄目だろう」

 部隊長さんも思わず苦笑しながら本を僕に返したけど、上級官僚試験レベルってとんでもなく難しいと思いますよ。
 僕は、思わずガックリとしちゃいました。
 テーブルに突っ伏したまま、ジェシカさんの方を向きました。

「旦那様より、レオ様ならこのくらいでちょうどいいと言われましたので。私も、本の中身を全く理解できませんでした」

 おお、犯人はギルバートさんですか。
 僕にもとっても難しくて、全然ちょうど良くないですよ。
 どよーんってしながら、僕はモゾモゾと昼食を食べました。

「あっ、雨だ」
「アオン」

 昼食後は再び馬車に乗ったんだけど、ちょうど男爵領についたタイミングで雨が降り出しました。
 まだポツポツレベルだから、本降りになる前に到着して本当に良かったですね。
 足早に宿に入って、みんなホッと一安心です。
 ちなみに雨に濡れた人がいるので、ユキちゃんがピーちゃんと共に生活魔法で兵の濡れた服を乾かしていました。
 明日の朝までに雨が止めば良いけど、そうとは限らないもんね。
 早めに宿に着いたので、今日は兵はゆっくりまったりするそうです。

「レオ様、夕食までお時間がありますのでお勉強の続きをお願いいたします」

 うう、まさかのジェシカさんからの勉強して指令です。
 僕もベッドに寝転がってまったりしようと思ったのに……
 ちなみに、生活魔法を頑張ってかけ終えたユキちゃんは、シロちゃんとピーちゃんと一緒にベッドで寝ていました。
 そして、今日の定時報告でギルバートさんからの本が難しすぎますと入れたら、陛下から「全く分からないのではなく難しいのなら理解している証拠だ。頑張れ」と、謎の励ましの返信がありました。
 うん、勉強を頑張りなさいということだけわかりました。
 僕は、再びガックリとしちゃいました。
 うう、今日の僕の心の中は土砂降りです。
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