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第八章 帝国との紛争

第五百六十一話 空き時間でみんなでピンブローチ作り

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 停戦発効後も戦闘は起きておらず、偵察もピーちゃんだけで行うようになりました。
 それでも軍のやることは変わりなく、常に訓練と警戒を行っています。

「いやあ、この基地にいる間にヤバいくらい強くなったって手応えがあるな。まだ超えないといけない壁があるのも良いな」
「たまに叩き潰されると、慢心ってのが消えてしまう。強者と手合わせできる環境ってかなり貴重だ」

 今日も僕は兵の訓練のお手伝いをしていたけど、手合わせが終わるとみんな満足そうにしていました。
 僕は基本的にやりすぎない程度に身体能力強化を使っているけど、たまにスピード重視で強めにすることはあります。
 アイリーンさんやレイアースさんの方が上手に身体能力強化を使えるので、僕はまだまだヘタッピだと思いますよ。
 そして、午前はレンガ作りをして昼食の時間になりました。

「よし、終わった。やるぞ!」
「俺もだ、頑張らないと」

 早めに昼食を食べ終えた何人かの若い兵が、シロちゃんの指導を受けながらピンブローチを作っていました。
 実はあの男性が告白するために自らピンブローチを作ると宣言したところ、俺もやると更に数人が手を上げました。
 ハーデスさんとブラウニー伯爵曰く、やることをキチンとやっているから自由時間に違反行為じゃなければ別に構わないそうです。
 そして、僕たちだけでなくこの人も兵の手伝いをしていました。

「相手を思って作ることが大切よ。一生懸命に心を込めて作れば、きっと自分の気持ちも相手に届くはずよ」

 レイアースさんも、どういう気持ちで作ればいいかを教えてくれました。
 女性ならではのアドバイスなのかもしれませんね。
 レイアースさんも、一生懸命頑張る人を応援したいタイプだそうです。
 あと、常に最前線にいて気を張っているので、こういう気持ちの切り替えもとても大切だそうです。
 こうしてある程度出来上がったところで、後片付けをして午後のお仕事を始めます。

「はい、息を吐いて。体が硬いと、怪我をする原因にもなりますよ」
「あががが! 無理無理無理、これ以上は無理です!」

 午後はアイリーンさんが体の柔軟性を良くする訓練をしているけど、背中を押されながら長座前屈している兵の悲鳴が聞こえてきました。
 僕は体が柔らかいから、長座前屈するとぺたーって付くんだよね。

「はいはい、柔軟性は筋トレと同じくらいとても大切なことだからしっかりとやりましょうね」
「痛い痛い! こ、これ以上は、これ以上はー!」

 レイアースさんも加わって兵の柔軟体操を手伝っているけど、意外と容赦なくやっていますね。
 そこら中から、柔軟体操をする兵の悲鳴が上がっていました。
 そして、誰がどの柔軟性が良くないかというデータが取られて、訓練の開始前と後で徹底的に鍛えるそうです。

「筋トレのデータも取るわよ。どういう動きに弱点があるか、丸裸にしないとね」
「「「はっ、はい……」」」

 レイアースさんは、データを駆使して効率よく兵を鍛えるそうです。
 ニコリとするレイアースさんに、兵は少し顔を青ざめていました。
 これから半年間、徹底的に兵を鍛えるそうです。
 レイアースさんは、意外とスパルタなんですね。
 でも、体を鍛えるいい手段だとブラウニー伯爵も参考にするそうです。
 色々な方法を使って体を鍛えるから、王国兵はとても強いんですね。
 そして、王国兵を強くしているもう一つの要因があります。

「残さずキチンと食べるんだよ」

 エラさんたち調理班が、栄養満点の料理を作ります。
 昔は炊き出しみたいな料理だったらしいけど、こうしてキチンとした料理が出てくるようになったそうです。
 体力もバッチリ回復するし、何よりもとても美味しいです。
 因みに、おかわりはいいけどお残しは駄目だって。
 こうして、戦闘がなくてもどんどんと鍛えることを日々続けていきます。

「レオも、もう少し食べられるようにならないと駄目だね。その年齢にしては、やっぱり小さいよ」

 うう、僕も頑張って食べているのに同年代よりも小さいんだって。
 前線の基地に来た時に比べると、体は大きくなったんだけどなあ。
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