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第八章 帝国との紛争

第五百五十八話 停戦が決定です

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 更に数日間は詰めの停戦交渉が行われていました。
 その間は、会談に出ることなく捕虜だった人の治療を行います。

 シュイン、シュイン、ぴかー!

「はい、これで治療は終わりました。念の為に、生活魔法で体も綺麗にしましたよ」
「おお、ありがとう。まさか、失った両足が元通りになるとはな」

 体が元通りになると、本当に良い笑顔になるんだね。
 痩せ細っているから、暫くは治療しながら体調を戻していかないと。
 捕虜になった兵で治療を終えて調子が良くなった人は、サンダーランド辺境伯領の治療施設に移って体調を整えるそうです。
 全員を治療し終えるのにはあと一週間必要なので、僕ももっともっと頑張らないと。
 そう思っていたら、食堂に全員集まるようにと言われました。
 何だろうなと思っていたら、停戦交渉の件でした。

「皆に報告する、停戦交渉がまとまった。一週間後に発効となるが、あくまでも停戦だ。条約を結んで戦闘が完全に終結するとかではないので、諸君らは引続き警戒勤務にあたるように」
「「「はっ」」」

 ハーデスさんが状況を説明してくれたけど、遂に停戦になるんだ。
 まだまだ緊張状態は続いているけど、ホッと一安心です。
 そして、今度は僕たちのことについて話してくれました。

「治療兵も含めて交代部隊がやってくる。ただし、停戦発効後暫く経過してから王都に帰還となる。まだ、何が起こるか分からないということになる」

 予定では、二週間後にこの軍の施設を出発するそうです。
 因みに、現在帝国側は再編中なので王国に攻め込むだけの兵力はないそうです。
 たくさんの戦死者を出したから、こればっかりは仕方ないですね。
 でも、僕たちが帰るまでシロちゃんとピーちゃんの偵察を続けます。
 こうして、僕たちが帰る予定が決まりました。
 もちろん予定なので、変更することはあります。

「しかし、ここまで馬鹿な戦闘になるとは思わなかったなあ」
「本当だよな。まあ、魔法使いが出てきての殲滅戦にならないだけ良かったのかもしれないな」
「帝国側は魔法使いが少ないって聞いたけど、本当かどうかは分からないな」

 夕食時に兵がしみじみと話をしていたけど、衝突は今までに何回もあったとはいえスラム街の住民を投入するようなことはなかったそうです。
 しかもスラム街の住民だから、死んでも引き取り手がないそうです。
 帝国側はそういう対応もしないといけないから、相当大変だそうです。

「私たちも、ようやく王都に戻れるわね。しかし、久々に長い戦闘だったわ」

 アイリーンさんもだいぶお疲れみたいだけど、宮廷魔導士としてだいぶ成長できたと言っていました。
 そういえば、アイリーンさんは治療よりも戦闘指導や指揮とかで経験を積んでいたもんね。
 僕も、治療よりかはレンガ作りと魔導具への魔力充填作業の方が多かったかもしれない。
 今は毎日シロちゃんとともに治療しているけど、ユキちゃんの治療の腕がとっても上がったんだよね。
 ピーちゃんも雷魔法を使えるようになったし、高速飛翔もできるようになりました。
 でも、何故かユキちゃんをもふもふするのが大好きなんだよね。
 ユキちゃんは、やっぱり魔性のもふもふです。
 こうして皆で夕食を食べ終えて、後片付けをします。
 因みに、食堂のエラさんはまだこの基地に残るそうです。

「あと二週間なんだ、今まで本当に色々とあったね。もう少しだけど、最後まで頑張ろうね」
「アオン!」
「ピー!」

 うるさくない様にベッドの中でみんなが小さく声を上げたけど、周りからくすくすと声が聞こえちゃいました。
 こうして、少しずつ帰還に向けて動き始めました。
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