小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第八章 帝国との紛争

第五百五十三話 新たな襲撃と帝国側の崩壊

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 ちょんちょん、ちょんちょん。

「うん? シロちゃんどうした……って、これは!」

 ある日の夜、満月で月明かりのある中で大規模な夜襲が起きたのです。
 僕はシロちゃんに起こされて探索魔法を使ったら、直ぐに異常なことが起きていると分かりました。

「アイリーンさん、大変です! 敵がいっぱいきました!」
「うーん、レオ君どうし……敵がたくさん?!」

 アイリーンさんも、事態を把握すると直ぐに目が覚めちゃいました。
 僕がアイリーンさんを起こしている間に、シロちゃんが夜勤者の詰所に向かっていきます。

 カンカンカン、カンカンカン!

 直ぐに異常を知らせる鐘が響き渡り、多くの兵が起きて外に飛び出しました。
 僕も、アイリーンさんたちとともに詰所に向かいます。

「おお、レオか。奴らはどれくらいいる?」
「はあはあ、ひ、百人以上います!」
「そいつは数が多いな。まあ、奴らのレベルなら数は問題じゃない」

 たまたま夜勤者の指揮に入っていたのがブラウニー伯爵だったので、すんなりと話が通りました。
 そして、ブラウニー伯爵は半分以上の兵に休むように指示をしました。

「日中も戦闘がある可能性は高い。奴らは、俺たちが疲れるのを狙ってくるだろう。休める奴は休んでおけ」

 もしかしたら、日中と夜で何回も襲撃があるかもしれない。
 兵も、直ぐに部屋に戻りました。
 そして、実際に三十分程で襲撃者を撃退しました。
 しかし、夜なので何人もの兵が怪我をしていました。
 僕とシロちゃんは、直ぐに治療を行いました。

「くそっ、なんだよ奴らは。暗いのもあるから、取り敢えず目の前にいる兵を刺せって感じだな。俺たちは装備で直ぐに見分けがついたから問題ないが、奴らは同士討ちもしていたぞ」

 なんというか、本当になりふり構わないって感じですね。
 そこまでして手柄を上げないといけないなんて、絶対におかしいと思います。
 治療も手分けして行ったので、直ぐに終えました。
 すると、ブラウニー伯爵がこんなことを言ってきました。

「レオは寝ていろ、日中の方が忙しい。ポーションもたくさんあるし、怪我しても応急処置をして日中に回す」

 アイリーンさんもその方が良いと言ってくれたので、僕はシロちゃんとともに屋敷に戻りました。
 もう少し情報を集めた方が良いのかなって、そんなことを思いました。
 眠かったのであっという間に寝ちゃったので、あんまりよく覚えていなかったけど。

 翌朝、眠い目をこすりながら朝食を食べていると直ぐに戦闘が始まったと連絡がありました。
 帝国は、物量で王国を押す作戦に出たのかもしれません。
 でも、帝国側の装備は相変わらず貧相で、王国側は弓矢もたくさんあるので安全に対処できます。
 なので、帝国側の損害がものすごいことになっているそうです。
 そんな激しい戦いが夕方まで続き、更にこの日も夜襲がありました。
 時間を問わず襲撃を繰り返す帝国軍に対し、王国側も上手にローテーションしながら対応しています。
 僕たち治療班も、夜勤メンバーを出して対応することになりました。
 僕はユキちゃんとともに日中の治療を頑張って、シロちゃんとピーちゃんは偵察も頑張りました。
 すると、二週間が経過したら帝国側の攻撃がパタリと止みました。
 何でかなと思ったら、シロちゃんとピーちゃんの偵察で理由が判明しました。

「どうやら、あまりの損害率に集団脱走が発生したらしい。このままだと無駄死することになるって、スラム街の連中も理解したみたいだ。混乱も起きていて、内部で衝突も発生している。だから、帝国側は戦闘どころじゃなくなったみたいだな。まあ、相手は相手で俺たちは自分のやることをするだけだ」

 ブラウニー伯爵曰く、これが正規兵を使わないで起きる一番のリスクだという。
 規律が守られていないので、一度崩壊すると止まらないらしい。
 王国側も損害がでているので、立て直す良い機会だと捉えている。
 僕もシロちゃんたちも、ホッと一安心です。
 
「俺たちは軍人だが、嫌な時は嫌だと言うぞ。充実した施設があるからこそ、前線なのに士気が高いんだ」
「帝国兵に同情する訳じゃないけど、ありゃ指揮官がアホだ。帝国兵も王国側も、馬鹿な作戦の被害者だな」

 なんというか、兵もこうなるのを予測していたみたいだ。
 なので、特にどうこうってのはなかった。
 だからこそ、任務を着実にこなすって言っていた。
 なんだか、もう戦いはこの時点で決着しているみたいたよ。
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