小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第八章 帝国との紛争

第五百五十話 交代でやってきた人

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 年末に近づいたころ、ナンシー侯爵とビクターさんの交代要員が国境の施設にやってきました。
 交代兵も一緒に引き連れてやってきたのは、ブラウニー伯爵でした。

「おお、レオ久しぶりだな。元気そうでなによりだ」

 相変わらず、ブラウニー伯爵は豪快な人ですね。
 それでも有能な人なので、きっとみんなの力になるはずです。
 ナンシー侯爵とビクターさんも、握手をしながらブラウニー伯爵を出迎えました。

「皆さま、お疲れ様です」
「正直なところ、疲れるようなことはしていない。帝国側が自滅しているようなものだ」
「情報収集と分析官の方が大変だ。レオ君のお友達はとにかく凄いからな」

 僕も一緒に出迎えたけど、少し前の攻勢以外は全然大丈夫なんだよね。
 相変わらずシロちゃんとピーちゃんは情報収集に励んでいるし、ユキちゃんも活躍しています。
 最近の僕は、治療しないで魔導具の魔力充填がメインなんだよね。
 ナンシー侯爵とビクターさんは、色々と引き継ぎをしてから王都に帰るそうです。

「しかし、まさに戦闘が行われている最前線なのに、こんなに施設が充実しているとは。他の基地の方が、かなりきったないぞ」
「ほほう、汚い基地があるんだね。ここは、あたしがいる限り綺麗にしておくよ」
「げっ……」

 あっ、ブラウニー伯爵もエラさんを見て固まっちゃったよ。
 やっぱり、エラさんは凄い人なんだね。
 この前線の軍事施設が綺麗なのも、毎日エラさんたちがお掃除しているからだもんね。
 僕も、お掃除のお手伝いをする時がありますよ。
 平時の訓練もきちんとしているし、治療もバッチリです。
 だから、王国兵は強いんだよね。
 あと、もう一つ強くなれるものがあると兵が言っていました。

「正直なところ、おばちゃんの存在を知ったら怖いものなしだな」
「ああ、そうだな。おばちゃん以上に怖いものはないぞ」

 ここの兵は、一回以上エラさんに怒られているそうです。
 だからかなのか、とても真面目だし帝国兵もへっちゃらだそうです。
 でも、僕はエラさんに怒られたことはないからよくわからないんだよね。
 シロちゃんだけはたまたま兵がエラさんに怒られているところをみたことがあるらしいけど、怖くて思い出したくないって言っていました。
 僕は、アイリーンさんや他の人と共に会議に参加しました。

「とにかく帝国側の損害が大きいので、立て直すのに時間は掛かるはずです。警戒と情報収集を進めていますが、少なくとも年明けにならないと帝国側は体制は整えられないでしょう」
「ただ、帝国側も偵察などは行ってくるだろう。引き続き、監視は強化しないとならないな」

 ハーデスさんが現状を説明してブラウニー伯爵が直ぐに補足したけど、結局のところは今やっていることと変わらないってことですね。
 僕としては、このまま戦闘が終結してくれることを祈るばかりです。
 そして数日後、ナンシー侯爵とビクターさんは王都に帰っていきました。
 今度二人と会うときは、王城で行われる謁見だねと少し笑いながら言っていました。
 そう思うと、戦闘が始まってから随分と時間が経ったなと実感しました。
 フランソワーズ公爵家とは相変わらず手紙のやり取りをしているけど、早く会って話をしたいなと、そう思いました。
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