小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第八章 帝国との紛争

第五百四十八話 帝国指揮官を捕縛

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 そして、秋が過ぎて冬になりました。
 僕は、暖房用魔導具の魔石に魔力を注入する作業をせっせと行っていました。
 この国境の基地は寒くなるそうで、こういう暖房用魔導具が欠かせないそうです。
 戦闘は相変わらず続いているけど、王国側が有利に進めています。
 しかし、なんとこのタイミングで帝国側が今までで最大の戦闘を仕掛けてきました。
 しかも、帝国兵も焦っているみたいです。
 何でこんなに焦っているのかなと思いつつ、王国側は着実に反撃していきました。
 それでも怪我人もたくさん出たので、僕たち後方支援部隊も大忙しでした。

「剣と槍だけじゃどうしようもならないって分かっているはずなのに、どうして何回も突っ込んでくるかな」
「物資も届いていないみたいだし、犠牲者を多くするだけだぞ」
「指揮官が無能としか言いようがない。帝国に生まれた連中は、本当に不幸だよな」

 治療を受けている兵も、何だか不思議でしかありません。
 元々帝国は病気の皇帝に良い報告をするために戦闘を仕掛けているところがあるので、もしかしたら病気が良くならないのかも。
 僕たちだけでなく、ハーデスさん、ナンシー侯爵、ビクターさんも同じように考えていました。
 しかし、戦闘が始まって四日目の夕方、敵の偉い人が捕まってから一気に事態が動きました。

「敵の指揮官を捕らえたぞ!」
「「「うおー!」」」

 負傷兵の治療をしていると、軍の基地に威勢のよい声が響いた。
 それとともに、大きな歓声が治療部屋に響いた。
 あのあのあの、皆さんまだ治療していないんですから安静に、ガッツポーズまでしないで下さいよ!
 僕の方がワタワタしちゃったけど、なんとか治療も終えてホッと一安心です。
 すると、司令官室に来てくれと言われたので、僕はシロちゃんたちと一緒に司令官室に向かいました。
 すると、大物貴族に加えてアイリーンさんも部屋にいました。

「すみません、遅くなりました」
「レオ君は、負傷兵の治療をしていたんだ。なにも問題はないさ」

 ハーデスさんが僕に声をかけてくれたけど、どうやら重大な話があるみたいです。
 全員席に座ったところで、ハーデスさんが戦況を話し始めました。

「敵の司令官を捕らえたので、暫く停戦状態になるだろう。休戦になるかは微妙だがな」

 帝国側の被害が甚大で、指揮官もいないから動けないはずだと言っていました。
 帝国側にも治療兵はいるのだけど、単純に治療が追いついていないみたいです。
 そして、ここからが本題でした。

「実は、昼時点で敵の指揮官を捕らえている。おばちゃんがブチギレながら尋問したら、ここ数日の戦闘はどうも私利私欲な面があったみたいだ」
「私利私欲、ですか?」
「ああ。帝国の皇帝の体調が悪いのは間違いない。だが、奴は度重なる作戦の失敗を挽回するために、無理な強行作戦を取ったらしい。兵の犠牲など気にせずにな」

 あまりにも酷い内容に、僕だけでなく他の人も怒っていました。
 そんな人が指揮官にいたら、帝国兵もたまったもんじゃないよね。

「いずれにせよ、帝国側がどう動くかが鍵になる。暫くは、様子見しつつこちらの陣形を整えることに専念する」

 ハーデスさんの方針に、みんな頷きました。
 それに、王国側にも怪我人がいるから、僕たちも頑張らないと。
 あと、シロちゃんとピーちゃんは、偵察活動も頑張るって言っていました。
 ナンシー侯爵とビクターさんも、もう少し様子をみるために残るそうです。
 いずれにせよ、このまま戦況が落ち着いてくれればいいですね。
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