452 / 515
第八章 帝国との紛争
第五百四十七話 大幹部も子どものようなもの
しおりを挟む
翌朝、シロちゃんに負けじとピーちゃんも帝国側の陣地に行って様々な情報を集めて来ました。
一匹と一羽の集めた情報に、軍の幹部はかなり驚いていた。
特にナンシー侯爵とビクターさんにとっては、王都にいては絶対に得られない情報だった。
更に、シロちゃんはまたもや大量の武器を奪ってきたみたいだ。
食料や治療薬には一切手を付けないあたりが、シロちゃんの優しさなのかもしれない。
この後、関係者を集めて会議を行う予定です。
でも、その前に警戒に当たっているもの以外を食堂に集めて訓示を行います。
僕たち治療班も、一緒に並んで話を聞きます。
まず最初に、ナンシー侯爵が兵の前に立ちました。
「帝国と国境を接するこの大変な任務を日々こなす諸君に、我々も敬意を表する。帝国の奇襲攻撃から始まった一連の戦闘に耐えることが出来ているのも、勇猛果敢な諸君らのお陰である。治療部隊やレオ宮廷魔術師の活躍も聞こえているが、真に評価をされるべきは諸君らだ。これからも、国を守る諸君らの健闘を祈る」
短いけど、力強い言葉で最後を締めくくりました。
ナンシー侯爵は横暴だった先代と違って兵の面倒見がいいと言われていて、慕っている兵も多いそうです。
続いて、ビクターさんが訓示を行います。
「今回の戦闘には海軍からも兵が参加しているが、国の大事に陸軍海軍の垣根は関係ない。それ程、国を守るということは大切な任務である。諸君のお陰で、多くの国民が安全にそして平和に暮らしていけるのである。諸君らの任が完了するまで、粉骨砕身の気持ちでこの難題にとりかかって欲しい」
奇襲を受けて、急いでシークレア子爵領にある海軍基地から応援が駆けつけていたそうです。
今でも、連絡調整役など数多くの海軍兵がこの国境の基地を支えているそうです。
今後の戦況次第では更なる海軍の投入も検討されているらしいですが、今のところは大丈夫みたいです。
忙しいので訓示は手短に終わり、それぞれが部署に散らばっていきました。
無事に終わってホッとしていると、エラさんがニヤニヤしながら近づいてきました。
「うんうん、あんたたちもしっかり話せるようになったね。演説の練習をしてどもりまくっていた頃とは全然違うじゃんか」
「「あ、ありがとうございます……」」
エラさんはナンシー侯爵とビクターさんの背中を笑顔でバシバシと叩いていたけど、ずっと前から見ていた兵がこんなに立派になって嬉しいのかもしれないね。
当の大幹部二人は、エラさんに褒められて何だか微妙な表情になっていたけど。
そして、会議があると言って足早に食堂を後にしちゃいました。
実際に会議があるのは間違いないもんね。
「あーあー、恥ずかしくなったね。いつまでたっても、褒められて赤くなるのは変わらないねえ」
エラさんにとって、軍の幹部も自分の子どもみたいなもんなんだね。
そして、昼食の準備をすると言って食堂に入っていきました。
でも、エラさんもずっとニコニコしていたなあ。
さてさて、僕もレンガ作りを頑張ろうっと。
ちなみに、シロちゃんは筆談が出来るのでピーちゃんと一緒に会議に参加するそうです。
「うーん、このくらい作れば大丈夫かな?」
「おう、十分だな。じゃあ、昼食を食べてレンガが冷えるのを待つとするか」
いっぱいのレンガを作って、僕も一緒にいた兵もとっても満足です。
一旦レンガ作りもこれで終わりみたいで、明日からはまた別の作業が始まるそうです。
すると、僕たちに声をかける人たちが現れました。
「いやいや、相変わらず凄い魔法だね。流石は宮廷魔術師様だ」
「これだけの魔法を使って、まだ余裕ありそうだな」
ナンシー侯爵とビクターさんが、拍手を送りながら僕に近づいて来ました。
うーん、僕としてはいつも通りに作業しただけなんだよね。
でも、煙を立てずにレンガを焼くのは不可能なので、こうして秘密裏にレンガを作って基地の補修が出来るのは凄いことらしいです。
ちょうどお昼の時間なので、みんなで食堂に移動しました。
すると、笑顔で僕たちを出迎えてくれた人がいました。
「おっ、やっと来たね。今日は大幹部様に相応しい昼食を用意したよ」
「「あっ、ありがとうございます……」」
ニカっとしているエラさんの自信作を前にして、大幹部二人はまたもや複雑な表情をしていました。
どんなに偉くなっても、エラさんにはかなわないんですね。
王都に帰ったら、軍務大臣のブランドルさんやブラウニー伯爵にエラさんのことを聞いてみよう。
どんな話が出てくるのか、とっても楽しみです。
一匹と一羽の集めた情報に、軍の幹部はかなり驚いていた。
特にナンシー侯爵とビクターさんにとっては、王都にいては絶対に得られない情報だった。
更に、シロちゃんはまたもや大量の武器を奪ってきたみたいだ。
食料や治療薬には一切手を付けないあたりが、シロちゃんの優しさなのかもしれない。
この後、関係者を集めて会議を行う予定です。
でも、その前に警戒に当たっているもの以外を食堂に集めて訓示を行います。
僕たち治療班も、一緒に並んで話を聞きます。
まず最初に、ナンシー侯爵が兵の前に立ちました。
「帝国と国境を接するこの大変な任務を日々こなす諸君に、我々も敬意を表する。帝国の奇襲攻撃から始まった一連の戦闘に耐えることが出来ているのも、勇猛果敢な諸君らのお陰である。治療部隊やレオ宮廷魔術師の活躍も聞こえているが、真に評価をされるべきは諸君らだ。これからも、国を守る諸君らの健闘を祈る」
短いけど、力強い言葉で最後を締めくくりました。
ナンシー侯爵は横暴だった先代と違って兵の面倒見がいいと言われていて、慕っている兵も多いそうです。
続いて、ビクターさんが訓示を行います。
「今回の戦闘には海軍からも兵が参加しているが、国の大事に陸軍海軍の垣根は関係ない。それ程、国を守るということは大切な任務である。諸君のお陰で、多くの国民が安全にそして平和に暮らしていけるのである。諸君らの任が完了するまで、粉骨砕身の気持ちでこの難題にとりかかって欲しい」
奇襲を受けて、急いでシークレア子爵領にある海軍基地から応援が駆けつけていたそうです。
今でも、連絡調整役など数多くの海軍兵がこの国境の基地を支えているそうです。
今後の戦況次第では更なる海軍の投入も検討されているらしいですが、今のところは大丈夫みたいです。
忙しいので訓示は手短に終わり、それぞれが部署に散らばっていきました。
無事に終わってホッとしていると、エラさんがニヤニヤしながら近づいてきました。
「うんうん、あんたたちもしっかり話せるようになったね。演説の練習をしてどもりまくっていた頃とは全然違うじゃんか」
「「あ、ありがとうございます……」」
エラさんはナンシー侯爵とビクターさんの背中を笑顔でバシバシと叩いていたけど、ずっと前から見ていた兵がこんなに立派になって嬉しいのかもしれないね。
当の大幹部二人は、エラさんに褒められて何だか微妙な表情になっていたけど。
そして、会議があると言って足早に食堂を後にしちゃいました。
実際に会議があるのは間違いないもんね。
「あーあー、恥ずかしくなったね。いつまでたっても、褒められて赤くなるのは変わらないねえ」
エラさんにとって、軍の幹部も自分の子どもみたいなもんなんだね。
そして、昼食の準備をすると言って食堂に入っていきました。
でも、エラさんもずっとニコニコしていたなあ。
さてさて、僕もレンガ作りを頑張ろうっと。
ちなみに、シロちゃんは筆談が出来るのでピーちゃんと一緒に会議に参加するそうです。
「うーん、このくらい作れば大丈夫かな?」
「おう、十分だな。じゃあ、昼食を食べてレンガが冷えるのを待つとするか」
いっぱいのレンガを作って、僕も一緒にいた兵もとっても満足です。
一旦レンガ作りもこれで終わりみたいで、明日からはまた別の作業が始まるそうです。
すると、僕たちに声をかける人たちが現れました。
「いやいや、相変わらず凄い魔法だね。流石は宮廷魔術師様だ」
「これだけの魔法を使って、まだ余裕ありそうだな」
ナンシー侯爵とビクターさんが、拍手を送りながら僕に近づいて来ました。
うーん、僕としてはいつも通りに作業しただけなんだよね。
でも、煙を立てずにレンガを焼くのは不可能なので、こうして秘密裏にレンガを作って基地の補修が出来るのは凄いことらしいです。
ちょうどお昼の時間なので、みんなで食堂に移動しました。
すると、笑顔で僕たちを出迎えてくれた人がいました。
「おっ、やっと来たね。今日は大幹部様に相応しい昼食を用意したよ」
「「あっ、ありがとうございます……」」
ニカっとしているエラさんの自信作を前にして、大幹部二人はまたもや複雑な表情をしていました。
どんなに偉くなっても、エラさんにはかなわないんですね。
王都に帰ったら、軍務大臣のブランドルさんやブラウニー伯爵にエラさんのことを聞いてみよう。
どんな話が出てくるのか、とっても楽しみです。
1,121
お気に入りに追加
5,454
あなたにおすすめの小説
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
チート転生~チートって本当にあるものですね~
水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!!
そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。
亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。