小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第八章 帝国との紛争

第五百四十六話 前線基地にやってきた人

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 そして、翌朝シロちゃんがまたもや大量の武器をアイテムボックスにしまいながら帰ってくると、流石に手持ちに武器がないためなのか翌日の交戦はなかった。
 その代わりにまたもや夜間に斥候が王国側に侵入したけど、これまたシロちゃんのお陰で全部捕縛した。
 更にピーちゃんが様々な情報を集めてくるので、帝国側の動きも筒抜けです。
 偽情報を流している可能性も考慮しながら情報を分析しているけど、それでも効果はかなり高かった。
 戦闘を有利に進めている影響か怪我人も少なく、ユキちゃんたちで対応可能なので僕はあんまりやる事がなかった。
 なので、せっせとレンガ作りに精を出しています。

「何だか、レンガ作り職人さんになっちゃいそうですね」
「ははは、ちげーねーな。レオは、どんな職業も出来ちまうな」

 隣にいた兵も思わず笑っちゃったけど、きっと本職の職人さんにはかなわないよね。
 こんな感じで、今日一日はレンガ作りに励んでいました。
 そして夕方になると、支援物資とともに僕も良く知っている人が一緒についてきました。

「あっ、ナンシー侯爵、それにビクターさんも一緒です」
「やあ、レオ君久しぶりだね。レオ君の武勇は、常々聞いているよ」
「それに、今回は海軍兵も戦闘に参加している。私が顔を見せるのは同然のことだ」

 ナンシー侯爵とビクターさんは、当分この前線基地にいて各種情報を集めるそうです。
 というのも、外交ルートで帝国側が情報をシャットアウトしていて中々情報が手に入らないそうです。
 そこで、シロちゃんとピーちゃんの情報収集能力を最大限に生かす作戦を取るそうです。

「これも、レオ君が凄いお友達と一緒だから出来る作戦だ。レオ君への評価は、日に日に高まっているぞ」
「もちろん、治療班自体への評価も高い。これだけの戦闘がありながら、殆ど死者が出ないのはありえない事だ。レオ君がこうしてレンガ作りに勤しむのも、王国側の状況が良いからだろう」

 二人とも、僕の頭を撫でながらそんなことを言っていました。
 状況が良いのは、僕も嬉しいことです。
 明日朝訓示を行うそうなので、今日はゆっくり休むことになりました。
 因みに、シロちゃんは今夜も隠密行動する気満々でした。
 各部屋に移動して夕食時に食堂に集まると、何故かエラさんがニヤニヤとしながらこちらにやってきました。

「おやおや、久々に見る顔だね。随分と偉くなったね」
「「げっ!」」

 ナンシー侯爵とビクターさんは、かなり驚いた表情をしていた。
 どう見ても、エラさんの接し方は軍の大幹部に対してのものじゃないよ。
 固まっている二人に変わって、苦笑しているハーデスさんが理由を教えてくれた。

「エラさんは、昔軍の若手訓練場の食堂で働いていたんだよ。だから、大幹部の若い時を知っているんだよ」
「あたしにとっては、大幹部だろうがまだまだひよっこだよ。それこそ、今の軍務大臣様も知っているさ」

 前にエラさんがこの基地で一番強いっていうのを聞いたけど、そんな裏話があったんだ。
 しかも、エラさんが軍事基地で働き始めたのって子育てが終わってからって聞いたことがあったよ。
 その後もエラさんはみんなの新兵の時のことを色々話したので、ナンシー侯爵とビクターさんは肩身が狭くなっちゃったよ。
 夕食を食べ終えると、早々に部屋に戻っちゃった。
 でも、エラさんも新人から見ていた人が立派になって嬉しいはずだよね。
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