小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
433 / 584
第八章 帝国との紛争

第五百二十八話 バーボルト伯爵領に到着

しおりを挟む
 どうも今回は強行軍で進むのか、飼い葉とかもたくさん用意してありました。
 野営する可能性も、考慮にいれないと駄目ですね。
 もちろん、飼い葉とかも僕とシロちゃんでしまっていきます。
 そして、最後に登場したのが、幌馬車と二頭の馬です。

「本当は、この幌馬車に積めるだけ積もうと思ったのよ。でも、もうこの幌馬車何台分もの荷物をしまってもらったわ」

 アイリーンさんがちょっと苦笑しながら説明してくれたけど、魔法袋を持たない人はこういう幌馬車に大量に荷物を積み込んでいくそうです。
 サンダーランド辺境伯領まであまり坂道はないけど、山登りするところだったらお馬さんが大変だね。

「アオン!」
「「ブルル」」

 いつの間にかシロちゃんとユキちゃんが馬と挨拶をしていたけど、共に旅をする仲間だから僕も挨拶をしておこう。
 そして、残りの三人も荷物を持ってやってきました。

「アイリーンさん、レオ君、お待たせしました」
「出発の手続きが終わりました」
「荷物も、これで最後です」

 これで全員揃ったので、僕たちは馬車に乗り込みます。
 幌馬車は初めてだけど、お尻が痛くならないようにクッションを出しておきます。
 御者は、カーラさんが務めてくれることになりました。
 そして、いつの間にか僕たちを見送るためにたくさんの人が集まっていました。

「では、行ってきます」
「「「「行ってきます」」」」
「怪我には気を付けてな」
「頑張れよ!」

 ギルバートさんとチャーリーさんだけでなく、多くの人に見送られながら僕たちを乗せた馬車は出発しました。
 僕たちも、見送ってくれる人に手を振ります。
 そのまま、馬車は少し速い速度で進め始めました。

「強行軍になるから、道中野営をする可能性もあるわ。まあ、幌馬車内に荷物がないから、わざわざテントを広げる必要もないわね」
「なら、全然大丈夫ですね。僕の土魔法で、簡単なお家を作ろうかと思ったんですけど」
「なら、馬車を覆うように作ってくれるとありがたいわ。馬も守らないといけないからね」

 もし野営になったことを考えて、アイリーンさんと色々話します。
 すると、ユキちゃんを抱いてもふもふしているマイアさんが、話に加わってきました。
 ちなみに、シロちゃんは御者席でカーラさんの側にいます。

「アイリーンさんも、レオ君も、直ぐに色々なことを思いつきます。私はまだまだだなって、ちょっと思っちゃいました」
「そりゃ、まだ新人兵なのだから仕方ないわ。なんせ、レオ君は三歳から冒険者活動をしているわけだし」
「それに、マイアがこのメンバーに選ばれたのは優秀だってのもあるのよ。きっとこの経験が後々生きてくるわ」

 ケイトさんも話に加わりながら、少し悩んでいるマイアさんと話をします。
 新人兵なのに選ばれたのは、僕もマイアさんに才能があると思っています。
 その後、バーボルド伯爵領に到着した僕たちは、そのまま軍の施設に向かいます。
 師団長執務室で、マイスター師団長さんとネストさんが待っているそうです。
 いつもの事務棟前に到着すると、直ぐにコレットさんが僕を出迎えてくれました。
 そのまま、師団長執務室に案内してくれました。

「初めて会った時は小さな冒険者だったのに、騎士爵様になったと思ったら今度は宮廷魔術師様になるなんて。レオ君は、本当にトントン拍子に出世していくわね」
「僕も、まさかこんな大層な称号を貰うとは思っていませんでした」
「謙遜しているところも、レオ君の良いところね」

 階段を上りなからミニッツさんと話をするけど、僕もビックリの展開ですよ。
 そして、無事に師団長執務室に到着しました。

 コンコン。

「師団長、皆さまが到着しました」
「そうか、入ってくれ」

 部屋に入ると、マイスター師団長さんにネストさん、それにバッツさんも僕たちを出迎えてくれました。
 アイリーンさんと僕は皆さんと顔なじみだけど、特にマイアさんは大物を目の前にして緊張していました。
 そして、何故かアイリーンさんと僕がソファーに座って他の人はソファーの後ろに立っていました。
 えっと、僕も後ろで立った方が良いのかな?

「レオ君は、ソファーに座らないと駄目だよ。なんせ騎士爵様で宮廷魔術師様なんだからね」
「そうそう。特に、軍の集まるところでは堂々としていないと駄目だ。今やレオ君は、それだけの地位にいる」
「ガハハ、俺と同じ立場になっちまうとはな。まあ、あれだけの実績があれば十分だ」

 うう、トリプルで色々と言われちゃったよ。
 僕としては、偉くなるために色々したわけじゃないんだよね。
 さてと、いうことでここからはマイスター師団長さんが話をしてくれました。

「時間もないことだから、手短に話す。一連の戦闘で、百を超える重傷者が出ている。一度の戦闘で、これだけの怪我人が出たのは久々だ。また、現在帝国側の魔法使いが投入された形跡はないが、可能性は残っている。最悪のことも考えなければならない」

 特に、後半のところで僕は気が引き締まりました。
 魔法使いが出てくれば、多くの怪我人が出てしまう。
 その時に、魔法使いを止めるために魔法使いが投入される可能性がある。
 そうなると、激しい戦闘で大変なことになりそうです。
 過去にも、魔法使い同士の大規模な戦闘があったそうです。

「このまま戦闘が終結してくれれば良いが、まだ戦闘を始めた理由も分からない。暫くは戦闘が続くと見ていいだろう」

 戦闘が始まった理由が解消すればいいけど、確かになんで戦闘が始まったのか分からないよね。
 その後も、マイスター師団長さんは無駄な戦闘は避けないとならないなどと話をしていました
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。