上 下
412 / 506
第七章 王都

第五百七話 盗賊の襲撃

しおりを挟む
 男爵領を出発して、今日はいよいよシークレア子爵領に入ります。
 とはいえ、シークレア子爵領に入るまでは十分に気をつけなければなりません。

「暫く、街道の両脇に森があります。動物や魔物、盗賊が現れやすいです。僕も、前に通った時に盗賊を捕まえました」
「そうなのね。男爵家だと巡回するにも限界はあるでしょうし、私たちも十分に気をつけましょう」
「「「「はい」」」」
「アオン」

 何が出てくるか分からないから、僕も探索魔法を広めにして周囲を警戒していきます。
 すると、目の前から複数の反応がありました。
 僕は、馬車の窓から護衛の騎馬隊に声をかけました。

「人っぽい反応が十個あります。僕も、拘束魔法の準備を行います」
「ご連絡感謝いたします。おい、聞いたな。気を引き締めるぞ」
「「「はっ」」」

 おお、流石はフランソワーズ公爵家の護衛です。
 直ぐに警戒態勢を取っていて、周囲に気を配っています。
 こっそりと、あとどのくらいと周囲に伝え、シロちゃんも拘束魔法の準備を始めました。

 ガサガサガサ。
 ガサガサガサ。

「へへへ、こりゃ良い馬車だな。さっさとやるぞ」
「「「おう!」」」

 すると、前後の茂みから一斉に盗賊が現れました。
 元から貴族の馬車を狙っていたのか、随分と手慣れた感じです。
 でも、僕たちも準備万端です。

「シロちゃんは前にいる盗賊を、僕は後ろにいる盗賊を狙うよ」

 シロちゃんは、一気に馬車の窓から御者席に飛び移りました。
 僕も、馬車の窓から体を取り出します。

 シュイーン、バシン、バシン、バシン!

「がっ、何だこれは?」
「くそ、動けねーぞ!」
「離しやがれ!」

 盗賊は僕とシロちゃんが放った拘束魔法で動けなくなり、地面に転がっています。
 でも、体が動けない状態でも盗賊はいきがっていますね。

「全員拘束するぞ」
「「「はっ」」」

 その間に、護衛が盗賊を縄でぐるぐる巻きにしていきます。
 僕も、窓から体を出した状態で護送用の馬車を土魔法で作りました。
 その間、モニカさんが子どもたちに色々と教えていました。

「旅をすると、道中何があるか分からないのよ。私も魔物に襲われた時があったわ。常にレオ君がいるわけではないし、必ず護衛を付けて行動することよ」
「「「「はい!」」」」

 期せずして良い例が目の前に現れたけど、馬車旅でも危ない時があるもんね。
 安全に気をつけるのは、旅の基本です。
 その後もオオカミとかが現れたけど、護衛が倒していきました。
 本当にフランソワーズ公爵家の護衛は、とっても強いんですね。
 こうして森を抜けて、お昼過ぎにはシークレア子爵領の村に到着しました。
 ここで、お昼を食べて夕方前にはシークレア子爵領の領都に向かいます。
 そして、顔見知りの人が僕に声をかけてきました。

「レオ君、シロちゃん、久しぶりね」
「あっ、マックスさんの娘さんです。久しぶりです」
「また盗賊を捕まえたのね。本当にあの男爵はって思っちゃうわ」

 解体のプロの、シークレア子爵守備隊長の娘さんが僕に話しかけてきました。
 どうも前にも僕が男爵領で盗賊を捕まえた事を知っているらしく、今回も普通にあり得ないと言っていた。
 そういえば、確か多くの貴族が通るから安全に通行できるようにと国から関係する貴族家に通達がいっていたよね。

「よりによって、フランソワーズ公爵家とレオ君が乗る馬車を盗賊が襲ったのよ。これは、ちょっと良くないことよ。今、早馬で父のところに連絡しに行かせたわ」
「他の貴族家がまだまだ通るので、何かあったら大変ですよね」
「今回は軍関係の貴族が多いとはいえ、全て対応できる訳ではないわ」

 娘さんも、腕を組んで考え込んじゃいました。
 でも、僕たちが直接何をするわけでもないし、ここはシークレア子爵家と国の判断待ちですね。
 ちなみに、捕まえた盗賊はここで引き取られて詳しい調査を受けるそうです。
しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。 なのに突然のパーティークビ宣言!! 確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。 補助魔法師だ。 俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。 足手まといだから今日でパーティーはクビ?? そんな理由認められない!!! 俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな?? 分かってるのか? 俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!! ファンタジー初心者です。 温かい目で見てください(*'▽'*) 一万文字以下の短編の予定です!

異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた! 〜仲間と一緒に難題を解決します!〜

藤なごみ
ファンタジー
簡易説明 異世界転生した主人公が、仲間と共に難題に巻き込まれていき、頑張って解決していきます 詳細説明 ブラック企業に勤めているサトーは、仕事帰りにお酒を飲んで帰宅中に道端の段ボールに入っていた白い子犬と三毛の子猫を撫でていたところ、近くで事故を起こした車に突っ込まれてしまった 白い子犬と三毛の子猫は神の使いで、サトーは天界に行きそこから異世界に転生する事になった。 魂の輪廻転生から外れてしまった為の措置となる。 そして異世界に転生したその日の内に、サトーは悪徳貴族と闇組織の争いに巻き込まれる事に 果たしてサトーは、のんびりとした異世界ライフをする事が出来るのか 王道ファンタジーを目指して書いていきます 本作品は、作者が以前に投稿しました「【完結済】異世界転生したので、のんびり冒険したい!」のリメイク作品となります 登場人物やストーリーに変更が発生しております 20230205、「異世界に転生したので、ゆっくりのんびりしたい」から「異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた!」に題名を変更しました 小説家になろう様にも投稿しています

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。